第4話 最初の戦い
森は静かだった。
静かすぎる。
その時、影が動いた。
ドカーン。
何かが踏み出し、踏み鳴らすたびに地面が割れた。
私は凍りついた。
狼でも、ゴブリンでも、トロルですらなかった。
トラックほどもある棍棒を持った、燃え盛る巨大なトロルだった。
「一体全体、何だ、これは!?」と私は叫んだ。
トロルは咆哮し、マグマを飲み込んだかのように口から炎を噴き出した。
「おい、あれはシュレックの鍛えた従兄弟か!?」
違う。違う、違う、違う、違う、違う。
「絶対に違う!」
私は踵を返して、ステロイドを打ったウサイン・ボルトのように走った。
枝が折れ、背後で火の玉が炸裂し、森全体がバーベキューのように燃え上がった。
「なんで火の玉を撃ってるんだ?一体どんなトロールがそんなことをするんだ!」
私は身をかがめ、転がり、燃え盛る炎の流星をかろうじて避けた。巨大な岩の後ろに身を潜めたとき、肺が息を切らして悲鳴を上げた。
ドカーン!
一秒後、岩は瓦礫と化した。
「ちくしょう、あそこが隠れ場所だった!」
トロールは足音を立てて前に進み出た。皮膚からは溶岩の汗のように炎が滲み出ていた。
「おい、こいつ火山でも浴びたのか!」
そして再び咆哮を上げ、棍棒を回転させた。巨大な火の玉が生まれ、まるで地獄から飛び出した野球ボールのように、棍棒で叩きつけられた――
そして、それはまっすぐ私めがけて飛んできた。
「待って――待って、いや――」
ドカーン!
森が揺れ、炎が木々を突き破り、すべてが白く染まった。
…
…
私は咳をした。耳鳴りがした。服は焦げたが――
「私…私…生き残ったの?」
私はかすかに光る自分の姿を見下ろした。私の神聖な体はまだ無傷だった。
「なんてことだ。本当に生き残ったんだ。」
しかし、トロルはまだ終わっていなかった。咆哮を上げ、口から燃えさしを雨のように吐き出し、再び私に向かって突進してきた。その目は悪魔の炉のように燃えていた。
「…ああ、もうだめだ。」
私の手は震えた。全身が震えた。しかし、私の中で何かが切れた。
「もうだめだ!」私は叫んだ。「シュレック強化なんて、死ぬほど嫌じゃない!コピー!」
視界がちらついた。
世界の動きが遅くなった。
私の目は青く輝き、燃え盛るトロルの体をデータのような流れが流れていった。私はそれを見ることができた――その本質、核、プログラムのように書き込まれた存在そのものが。
そして――
[完全コピー発動]
[スキル習得:炎操作 → 炎支配にアップグレード]
[パッシブスキル習得:溶岩耐性 → 絶対耐熱にアップグレード]
[隠し特性習得:トロルの血統 → 原初の炎の体格に完成]
情報が私の中に溢れ出した。体が燃え上がった――だが、燃えるわけではなかった。何かがしっくりきた。
炎が手袋のように私の手に巻きつき、髪は溶けた銀のようにきらめいた。
拳を握りしめると、皮膚から炎が噴き出した。
「…真似しただけだよ。」
トロルは突撃の途中で止まった。燃え盛る目を見開いた。
「ああ、そうだ。」私はニヤリと笑った。「お前の炎を真似したんだ。」
周囲の炎はより高く、より熱く、より強く、うねった。いや、ただ強くなっただけじゃない。完璧だ。
「もう火の玉は持ってない…」
私は手を上げた。巨大な炎の嵐が渦巻き、手のひらの上に燃え盛る太陽を形作った。
「…炎の支配を手に入れた。」
トロルは挑発するように咆哮した。
私はニヤリと笑った。「第2ラウンド、溶岩のブレスだ。行くぞ。」