第37話 その 勝利
先に動いたのはオーレリアだった。
瞬き一つで彼女は既に私の前に立ち、剣は天の審判のように閃光を放っていた。
私は囁いた。「タイムドミニオン」
世界がシロップのようにゆっくりと動いた。彼女の黄金の刃は糖蜜のように動き、私に向かって這い寄り、私たちの間には塵の粒子が星のように漂っていた。私は脇に避けた。足音一つ一つが引き伸ばされた秒のように響き、フィールドを解放すると宇宙が逆戻りした。戻ってきた時間の衝撃波が塵を金色の輪のように外へと投げ出した。
オーレリアは目を見開いてよろめいた。「あなた…時間を止めたのですか?」
「借りたのよ」と私は言った。
彼女は咆哮し、オーラはより輝きを増した。神聖なエネルギーが彼女の剣の周りに集まり、温度が急上昇した。彼女は再びぼやけた。限界突破が既に彼女の血管を駆け巡っていた。しかし、私は既に動いていた。
クロノステップ。
一拍で私は彼女の前にいた。次の拍で、私は彼女の後ろにいた。彼女には、私が現実を畳み込んだかのようだったに違いない。私の刃は彼女の鎧の端を切り裂き、火花を散らした。彼女は身をよじり、受け流し、反撃した。
鋼鉄がぶつかり合い、雷鳴のような音が響き渡った。
私は因果律の糸を紡ぎ、新たな本能に、既に起こったことを囁かせた。彼女の次の一撃――右肩、二十三度――を、私は彼女が動く前に防いだ。彼女が攻撃する直前、私たちの刃がぶつかり合うと、彼女の目は大きく見開かれた。
因果律の権威。
見ている者全てにとって、それは私が未来を予言しているように見えた。
私には、まるで未来を書いているかのようだった。
彼女は歯を食いしばった。「素晴らしい。」
そして空が燃え上がった。
彼女の体から光が噴き出し、半神が完全に解放されたかのような輝きを放った。彼女が再び聖なる技――天界断絶――を発動すると、空気さえも悲鳴を上げた。かつて天を裂いた技と同じ技だ。
「またか」と私は呟いた。
私は手を挙げた。「エポック・リライト!」
世界が揺らめいた。私を焼き尽くすはずだった光線が反転し、逆再生の映画のように彼女の剣へと流れ込んだ。光が消えると、彼女の表情は衝撃に歪んだ。
私は突進し、圧縮された風と稲妻の斬撃を隙間に放った。彼女はそれを受け止め、回転し、地面を砕く下向きの斬撃で反撃した。
私たちは二人とも、靴の下で火花を散らしながら、崩れ落ちた闘技場を滑り降りた。
「まだ立ってるの?」と彼女は叫んだ。
「かろうじて。」私の笑みは野性味を帯びていた。「君が避ける番だ。」
私はあらゆるエレメント――火、水、風、土、稲妻、影――を取り込み、それらを軌道を描く印へと凝縮した。タイム・ドミニオンがその回転を導き、それらは一つの無限の回路、色彩の輪となった。
「時空の大変動!」
印章が次々と放たれ、一つ一つの弾丸が前の弾丸が存在する前に着弾した。数秒の間をループする、あり得ない因果の連鎖。オーレリアは腕を組み、オーラが黄金の光の十字となって身を守ったが、攻撃は彼女の体勢を崩し、足元に蜘蛛の巣のような亀裂を走らせた。
「もうたくさん!」彼女は叫び、下へと斬りつけた。
聖なるエネルギーの裂け目が攻撃を分断し、私は光の嵐の中へと後方に投げ飛ばされた。私の体は悲鳴を上げ、鎧は半分溶け、肺は燃えるように痛んだ。
私は地面に叩きつけられ、転がり、咳をした。「わかった…ああ…彼女は相変わらず神のトラックみたいに攻撃する。」
彼女は息を切らしながら、疲労でオーラが揺らめきながら私の方へ歩み寄ってきた。「降参、リリア。あなたの主張は証明されたわね。」
剣を落として崩れ落ちたい衝動に駆られた。しかし、頑固な人間である私の一部はそれを拒んだ。
「いいえ」私は息を吐いた。「まだだ」
目を閉じた。頭の中のカチカチという音が心臓の鼓動と重なり合った。秒が刻々と過ぎていくのを感じ、幾百もの結末が織りなす。その全てにおいて、私は負ける――ただ一つを除いて。
目を開けた。目は金糸を帯びた深い青色に輝いていた。
[タイムドミニオン:オーバードライブ]
世界は静まり返った。音も、光も、動きも、全てが凍りついた。数秒の間の静寂に包まれ、私だけが動いていた。
私はオーレリアへと歩み寄った。一歩一歩が凍てつく空気を揺らした。黄金の刃は弧の途中で微かに揺れていた。私は自分の剣を掲げ、ひび割れた刃先がかすかに光るのを彼女の肩に当てた。
「申し訳ありません、姫様」私は囁いた。「でも、私はもう自分の力を証明するのは終わりました」
私はフィールドを解放した。
オーレリアの攻撃は完了した――しかし、私を切り裂く代わりに、彼女の刃は私の胸のすぐ手前で止まった。私の剣は彼女の鎧に同じ距離で接していた。
完璧な引き分け。
彼女は瞬きをした。ゆっくりと、彼女を取り巻く黄金のオーラが薄れていった。そして彼女は微笑んだ――疲れた、しかし心からの。「よく戦いましたね…コピーの女神よ。」
信じられないといった様子で嗄れたアナウンサーの声が、破壊された闘技場に響き渡った。「決闘は…引き分けです!」
観客は歓声を上げた。
私は剣を落とし、胸を激しく上下させながら膝から崩れ落ちた。ニャの声が頭の中で響いた。
[バイタルサインは危篤だが安定。時間出力0%。技術的に勝利。]
私は弱々しく笑った。「もう十分だ。」
オーレリアは剣を鞘に収め、手を差し出した。私はそれを取った。彼女の握りは力強く、しかし優しかった。
「次回は」と彼女は言った。「世界を壊そうとせずに、スパーリングをしましょう。」
「了解」顔に血がついていても、私はなんとか微笑んだ。
私たちの頭上では、空の裂け目がついに閉じ始め、私たちの力の最後の痕跡が消えつつあった。王は玉座から立ち上がったが、表情は読み取れず、貴族たちは怯えた鳥のようにささやき合っていた。
しかし、私はそうした。気にしない。この世界に来てから初めて、私は逃げることも、隠れることも、非難されることもなかった。
輝かしい一瞬、私は自分らしく戦い、
生き延びた。




