第29話 スタッフと休憩
よろめきながらアエテリスに戻った頃には、すでに太陽は昇り始めていた。
ダリウスは半死半生で、傷だらけで鎧はひび割れ、まるでジャガイモの袋のように私を背負っていた。私の頭は彼の肩に寄りかかり、銀髪は血と煤でベタベタしていた。
セレーネは彼の隣を歩いた。ローブは引き裂かれ、震える手で覇王の巨大な杖を握りしめていた。その黒い金属は冷たく不吉なオーラを放っていたが、それは証拠だった。不可能を可能にしたという証拠だった。
ケイルは足を引きずりながら、「死霊術の法則を書き換える」などと呟いた。
ロナンは脇腹にしがみつき、足を引きずりながら、まるで運命そのものを奪ったかのようにニヤリと笑っていた。
ライラは相変わらず沈黙し、矢は折れ、震えはほとんど空っぽのまま、まだ危険から逃れていないかのように街路を見渡していた。
そして、ルナは私たちの後ろに浮かんでいた。いつものように汚れひとつなく、金色の瞳は穏やかで、まるで息をする間もなかったかのようだった。
私たちはギルドの巨大な扉を押し開けた。
ホールは静まり返った。
冒険者たちは皆、振り返ってこちらを見つめた。
鎧はへこみ、服は破れ、顔は青ざめ、マナは吸い取られ、まるで地獄から這い戻ってきた屍のようだった。
ダリウスは私をまっすぐ受付へと運んだ。セレーネは重い足取りで、魂よりも重い杖を握りしめながら、後を追った。
彼女は何も言わずに、杖をカウンターに置いた。
ガチャン。
覇王の杖が磨かれた木に叩きつけられ、暗いオーラがギルド中に広がった。
受付係は目を見開いて凍りついた。ペンが手から落ちた。
セレーネの声は柔らかく、疲れていたが、力強かった。「…クエストクリア。」
ギルドホールは大騒ぎになった。
「何だって?!」
「あいつら…本当に覇王を殺したのか?!」
「ありえない!」
「新人がAランクのネクロポリスレイドをクリアするなんて!」
私はダリウスの背中から滑り落ちそうになりながら、震える笑みを浮かべた。「…言ったでしょ。最初のクエストで。」
受付嬢は顔を青ざめ、素早く瞬きをした。「…杖を…生きて持ち帰ったのね…」
ケイルは息を切らした。「かろうじて生きていた。」
ロナンは鼻を鳴らした。「まあ、生きてるわ。」
ライラはかすかに笑った。「生きてるわよ。」
ギルドマスターは杖を見つめながら、轟音とともに階段を駆け下りてきた。顎は引き締まり、筋肉は硬直していた。「…あの杖は覇王の物だったの…」
セレーネは頷いた。「…もう違うわ。」
ホールは再び静まり返った。
ギルドマスターは血とスライムの汚れと煤にまみれた私を見て、初めて怒鳴り声を上げなかった。
彼はただ囁いた。「…お前は何者だ?」
私は口を拭い、もう一度無理やり笑みを浮かべた。「…冒険者だ。」
宿屋に着く頃には、食事も飲み物も風呂にも入らず、ベッドに顔面から突っ伏した。ブーツは履いたまま。ジャケットはまだ破れていて、血と煤がシーツに染み付いていた。
気にしなかった。
体は休息を求めて悲鳴を上げ、魔力回路は焦げ、魂はあの忌々しい棺桶呪文のせいでまだ痛んでいた。
そして私は眠りについた。
深く、重く、夢を見ることのない眠り。
…隣の椅子にはルーナが座っていた。
彼女の金色の瞳は月明かりに微かに輝き、瞬きもせず、微動だにせず、ただ私を見つめていた。私を守り続けていた。まるで眠りという概念すら理解していない、執念深いボディガードのように。
廊下のきしむ音、ドアをよろめき通り過ぎる酔っぱらい――彼女のオーラは歪み、周囲の空間を歪ませ、まるで無言の警告のように。「女主人に近づいたら、存在を消し去る」と。
一方、階下では…
宿屋は笑い声とマグカップのカチャカチャという音で沸き立った。
ダリウスはジョッキをテーブルに叩きつけ、泡が飛び散った。「なんてことだ! オーバーロード・キングを殺してしまった!」
ケイルは修復不能なほどひび割れていたグラスを直し、呟いた。「訂正:リリアが殺した。俺たちは名誉ある援護兵だったんだ。」
「援護兵か?」ロナンは酒を一気に飲み干しながら怒鳴った。「将軍たちの気を逸らして、もう少しで腕をもぎ取られるところだった!」
ライラはマグカップ越しにニヤリと笑った。「なのに、まだその腕で飲んでるんだね。運がいいって言うのよ。」
初めてのリアルエールで顔を赤らめたセレーネは、杖を強く握りしめた。「…彼女は…私を祝福してくれた。見たか?彼女の聖域――私の光を神聖なものに変えたんだ。」頬が赤くなった。「わ、天使になった気分だった。」
ケイルは疲労の色を露わにしながらも後ろに寄りかかった。「…いや。それ以上だ。彼女は死霊術そのものを模倣した。それを完璧にした。それがどういう意味か分かるか?定命の者、不死の者を問わず、そんなことは許されない。あらゆる魔法の法則を破る。」
ダリウスはうめいた。「俺が理解しているのは、また彼女に従うということだけだ。俺たちは生きている、そうだろ?」
セレーネは小さく頷いた。「…彼女のおかげで生きている。」
ロナンはマグカップを高く掲げた。「人間の皮を被った狂気の女神に!」
テーブルは爆笑に包まれ、マグカップがぶつかり合った。
二階では、その声は何も聞こえなかった。
私はただシーツに深くくるまり、静かに呼吸をしていた。ルーナの冷たい声が空っぽの部屋に囁いた。
「…お休みください、女主人。眠っている間、世界はあなたに触れません。」




