第215話 ダンスの戦争
四日目。
祭りまであと一日。
オルガリアはすっかり様変わりしていた。
かつて工事の騒音で満ちていた通りは、今や提灯や旗、そして浮かぶ魔法の装飾で輝いていた。市場の屋台は完成し、ステージはテスト中だった。遠くでは花火師たちが練習していた。
街全体が、下層地帯史上最大の祝祭の準備をしているように見えた。
正直に言うと?
すべてが…順調に見えた。
ほぼ準備完了。
ほぼ。
街が準備の最終段階、つまり歴史上最も期待されるイベントである祭りの踊りに差し掛かっている間、全く異なる戦いが、どこか別の場所で始まろうとしていた。
天界との戦争よりも危険な戦いになる可能性もある戦い。
踊りの対決。
宮殿の裏庭にある中庭で、オーレリアとルーシーは小さなテーブルに向かい合って座っていた。
二人の間には、お茶が手つかずのまま置いてあった。
雰囲気は?
重苦しい。
敵対的ではない。
だが、二頭の頂点捕食者がどちらに先に食らいつくか決めているような緊張感だ。
オーレリアが先に口を開いた。
「ルーシー、もうすぐフェスティバルのダンスパーティーよ」と彼女は静かに言った。「それに、リリアとは最初から知り合いなんだから」
「一緒にダンスパーティーに誘ってみようかしら」
ルーシーは眼鏡を少し直した。
表情は完全に無表情だった。
「なるほど」
彼女は紅茶を一口飲んだ。
「でも、統計的に言えば、リリアと私は細胞レベルで知り合いなのよ」
オーレリアは瞬きした。
「…何ですって?」
ルーシーは静かに両手を組んだ。
「私たちの同期率は非常に高い。認知の相性は最高。戦術的な連携効率も抜群よ」
オーレリアは少し身を乗り出した。
「あなたが彼女にとって良いって言うの?」
ルーシーは首を傾げた。
「リリアが私を選ぶ確率は論理的に見て高いって言ってるのよ。」
オーレリアは微笑んだ。
幸せそうな笑顔ではない。
剣を抜こうとする騎士の笑み。
「え、本当?」
二人の間の空気が、明らかに重苦しくなった。
そよ風が庭を吹き抜けた。
葉がざわめいた。
そしてどこか遠くで、一羽の鳥が別の大陸へ移住する方が安全だと判断した。
ルーシーは静かにもう一口紅茶を飲んだ。
「客観的に見て、感情的な執着は偏見を生み出すわ。」
オーレリアの眉がぴくっと動いた。
「あなたの科学への執着はそうじゃないって言うの?」
ルーシーはティーカップを置いた。
「私は『献身』という言葉の方が好きだわ。」
オーレリアは立ち上がった。
ルーシーは立ち上がった。
中庭の気温は5度ほど下がった。
もし誰かがその瞬間に中に入ってきたら、二人の将軍が戦争を始めようとしていると思っただろう。
正直に言うと?
その通りだった。
この議論のテーマは?
祭りの踊り。
祝賀会全体で最も重要な瞬間。
新たな女神リリア自身が舞台に上がる瞬間。
そして踊る。
誰かと。
そして今?
オーレリアとルーシーは二人ともその場所を求めていた。
オーレリアは腕を組んだ。
「リリアのことは、私が長く知っているわ。」
ルーシーは即座に答えた。
「私の方が彼女を研究してきた時間の方が長い。」
オーレリアはニヤリと笑った。
「文字通り、彼女が先にキスをしたのよ。」
ルーシーはひるまなかった。
「統計的には関係ない。」
オーレリアの目が再びぴくっと動いた。
「…無理してるわね。」
ルーシーは静かに立っていた。
「観察:あなたは動揺しているように見える。」
「ああ、動揺なんて通り越しているわ。」
二人の足元の地面がわずかにひび割れた。
魔法が渦巻き始めた。
たった一度の侮辱で、庭はクレーターと化しそうだった。
中庭の向こう側で――
セラフィーナが見ていた。
そして、彼女はそれを気に入っていた。
彼女の深紅の瞳がきらめいた。
彼女の笑みがゆっくりと広がった。
「ああ…これは美味しい。」
彼女の隣に座っていたフェンリルは、深くため息をついた。
「…やめて。」
セラフィナは立ち上がった。
遅すぎた。
だって、セラフィナが混沌の匂いを嗅ぎつけた時だって?
彼女はそれを止めなかった。
彼女はそれを育て上げた。
彼女はオーレリアとルーシーの間をさりげなく歩いた。
「皆さん、皆さん。」
二人とも彼女を見た。
「何?」オーレリアが尋ねた。
ルーシーは眼鏡を直した。
セラフィナの笑みが広がった。
「もっといい考えがあるわ。」
二人は見つめ合った。
彼女は両手を握りしめた。
「競争はどう?」
沈黙。
ルーシーは首をかしげた。
「競争?」
セラフィナは熱心にうなずいた。
「もちろん。」
彼女は司会者が特賞を発表するかのように、大げさな身振りをした。
「優勝者はフェスティバルでリリアと踊れるわ。」
二人は凍りついた。
その考えはすぐにひらめいた。
オーレリアの目が鋭くなった。
ルーシーはすぐに計算を始めた。
セラフィナはさらに身を乗り出した。
「でも…あなたが怖がっていなければね。」
それで決まった。
オーレリアは前に出た。
「私は何も怖くないわ。」
ルーシーは即座に答えた。
「私も怖くないわ。」
セラフィナは嬉しそうに拍手した。
「完璧!」
残念ながら…
会話は秘密のままではなかった。
なぜなら近くにいたから…
他のグループのメンバーも聞いていたのだ。
最初はナリ。
次にアニー。
そしてライラ。
それからエリス。
それからフレイ。
それからアルテミス。
それからマリア。
それからエイル。
するとクリエイションも、木との哲学的な議論からゆっくりと振り返った。
「…競争?」クリエイションが尋ねた。
セラフィナはゆっくりと振り返った。
彼女の笑顔はさらに広がった。
「ああ、そう。」
今や皆が注目していた。
セラフィナは続けた。
「ダンス競争よ。」
「優勝者はリリアと祝祭のダンスを踊れるわ。」
中庭は静まり返った。
そして大混乱が巻き起こった。
「え、何?」アニーが叫んだ。
ライラはすぐに身を乗り出した。
「ちょっと待って。楽しそう。」
ナリは腕を組んだ。
「…面白そう。」
エリーゼは瞬きをした。
「…参加してもいいの?」
フレイは笑った。
「ああ、これは厄介なことになるな。」
アルテミスの目がきらめいた。
「競技?いいわ。」
マリアは眉を上げた。
「参加してもいいわね。」
エイルは静かに首を傾げた。
創造は優しく微笑んだ。
「私は何宇宙も踊ったことないから。」
エターニティまでが突然口を挟んだ。
「踊る?」
フェンリルは顔を覆った。
「…これは失敗だった。」
そして…
アリスは恐る恐る手を挙げた。
「…私も参加してもいいの?」
セラフィナは思わず吹き出しそうになった。
「ああ、もちろん。」
だって、今は…
これはもはや二人の決闘ではなかった。
これは完全なトーナメントになっていた。
ルーシーは中庭を見回した。
「…参加者がかなり増えたわね。」
オーレリアは小声で呟いた。
「よかった。」
セラフィナは皆の方を大げさに振り返った。
「よし、みんな!」
彼女はまるでトーナメントの主催者のように手を挙げた。
「ルールは簡単よ!」
彼女は遠くの宮殿のステージを指差した。
「明日はフェスティバルダンス選抜トーナメントを開催するわ!」
「優勝者はリリアと最初のダンスを踊る権利を得るわ。」
中庭は沸き立った。
興奮した声。
議論。
策略。
競争心があらゆるところに爆発していた。
ルーシーはすでに振り付けの確率を計算していた。
オーレリアはまるで騎士の決闘であるかのように心の準備を整えていた。
アルテミスは何かを狩ろうとするかのように背伸びをした。
フレイはまるで一日中大混乱を待っていたかのように笑った。
創造はダンスの哲学的性質について議論を始めた。
アリスは興奮しつつも、緊張しているようだった。
セラフィナ?
セラフィナは満足感に輝いていた。
彼女は今まさに、これ以上ないほど混沌とした出来事を作り上げてしまったのだ。
フェンリルはため息をついた。
「…リリアはこのことを知らないのね。」
セラフィナの笑みが鋭くなった。
「ああ、分かってる。」
一方…
まさにその瞬間――
宮殿の反対側で。
私は少年たちと座っていた。
ダリウス。
ロナン。
ザカリー。
アレス。
ローグ。
ケイル。
私たちはフェスティバルのトーナメント表について話し合っていた。
私はのんびりと伸びをした。
「…やっと落ち着いたな。」
ローグが私を見た。
「…呪いをかけたな。」
「どういう意味だ?」
ケイルはメモから顔を上げた。
「…統計的に言えば、大事件の前の平穏な時期は、たいてい予期せぬ混乱の前兆となる。」
私は手を振ってそれを無視した。
「落ち着いて。」
「今、何も問題が起きるはずがない。」
宮殿の遥か向こう側で――
セラフィナはトーナメントの参加申込書を書き終えた。
参加者:
オーレリア
ルーシー
セラフィナ
アルテミス
フレイ
マリア
エイル
クリエイション
ライラ
エリーズ
ナリ
アリス
エタニティ
そして、数え続けている。
セラフィナは笑顔でリストを折りたたんだ。
「わあ、楽しそう。」
仲間たちと再び集まり、私は椅子に深く腰掛けた。
夕焼けが空を金色に染めた。
すべてが穏やかに感じられた。
ローナンは飲み物を飲んだ。
「明日の準備はいいかい?」
「ああ。」と私は言った。
「ただのお祭りだよ」
ダリウスは頷いた。
「別におかしなことじゃない」
アレスはニヤリと笑った。
「喧嘩はしない」
ローグは笑った。
「たぶんね」
ケイルは考え込むような表情をした。
「うまくいけばね」
私は微笑んだ。
「ほらね?万事順調だ」
宮殿のどこかで――
ダンストーナメントの組み合わせ表が作成されていた。
13人の出場者がいた。
全員が勝利を決意していた。
全員が私と踊る決意をしていた。
そして、誰もまだ私に告げていなかった。
だから今のところは――
私は平和なひとときを楽しんだ。
だって明日は?
大混乱になるだろうから。




