第202話 その最終決戦
このエピソードは私が今まで書いた中で最も長い章ですが、この最終決戦を楽しんでいただければ幸いです
玉座の間はもはやオリンポスの面影を失っていた。
そこは天空の骨に刻まれた戦場だった。
稲妻が頭上の砕けたドームを裂き、現実の裂け目から生々しい天の光がこぼれ落ちた。大理石の大陸が宙に浮かび、柱は崩れ落ち、玉座自体も以前の衝突で真っ二つに割れていた。
そしてその中心には――
ゼウス。
オーディン。
トール。
シヴァ。
この戦争の終結と私との間に立ちはだかる四人の最高神。
部屋の向こう側には――
オーレリア。
ハデス、イシュタル、よろめきながらも立ち上がったラー、そしてアテナのオリンピアの化身が立ちはだかっていた。
これは決闘ではなかった。
起こるべくして起こる虐殺だった。
そして、それが我々の手に渡らないようにしなければならなかった。
ゼウスが先に突進した。
サンダーブランドは大陸をも切り裂くほどの垂直の弧を描きながら、空を裂き、叩きつけた。
私は身をよじり、受け流した。衝突は衝撃波を爆発させ、玉座の間の土台を突き破った。
オーディンはすでにルーンを詠唱していた。
トールは稲妻の筋となって消えた。
シヴァは増殖した。
私の周りに三つの分身が現れ、それぞれが同等の圧力を発していた。
「不公平だ」と私は呟き、トライデントの突きをかわした。
トールのハンマーが私の肋骨に叩きつけられた。
骨が砕けるのを感じた。
私は空中で回転し、シヴァの最も近い分身に拳を叩き込んだ。
「究極の力だ。」
パンチは爆発しなかった。
それは消え去った。
分身は内側に折り畳まれ、完全に消滅した。
オーディンはルーン陣を完成させた。
空間がロックされた。
トールのハンマーが再び放たれた。
ゼウスが左からクロススイングで続いた。
シヴァの残された分身が背後から私の首をはねようとした。
私はゼウスをかわした。
トールをショルダーチェックした。
シヴァのトライデントを蹴り飛ばした。
そして流れるような動きで――
炎のエレメントと魂神の威光を混ぜ合わせた。
「火魂斬り」
ジョワイユーズは青金色の炎を放った。
私はオーディンへとまっすぐ突進した。
刃は彼の胸を切り裂いた――
物理的にではなく。
魂を。
オーディンはよろめき、精神核で燃焼が噴き出すのを感じ、目を見開いた。
「雷の爬虫類!」
蛇のような稲妻構造物が彼の体から噴き出し、内部の炎を飲み込み、そして彼を焼き尽くした。
彼は即座に反撃した。
彼の背後に、轟く嵐のエネルギーを纏った巨大な雷竜が姿を現した。
トールはその上に飛び乗った。
「やっつけろ!」
竜は咆哮を上げ、都市を呑み込めるほどの顎で私へと突進してきた。
私は歯を食いしばった。
「襲われるのはもううんざりだ。」
竜の影が戦場の半分を覆った。
ゼウスはニヤリと笑った。
オーディンはルーンの運命縛りでその構造を強化した。
シヴァの最後の分身が私の退路を塞いだ。
もうたくさんだ。
私はジョワイユーズを空へと掲げた。
「ハイパー・ゴッデス。」
静寂。
部分的な静寂ではない。
完全な静寂。
時間が止まった。
直線的な時間だけではない。
前進だけではない。
非直線的な分岐も凍りついた。
因果律が停止した。
未来の可能性は固定された。
神の本能さえも停止した。
ドラゴンは咆哮の途中で宙に浮いた。
トールは跳躍の途中で凍りついた。
ゼウスの稲妻は弧を描く途中で止まった。
オーディンのルーンは輝きの途中で止まった。
シヴァの分身は攻撃の途中で身動きが取れなくなった。
私はゆっくりと息を吐いた。
2.5秒。
それが私の限界だった。
これ以上続けば、天界の枠組み全体が崩れてしまうだろう。
私は動いた。
まず、ドラゴン。
私はその背骨をきれいに切り裂いた。
その構造物は無害な火花へと崩壊した。
トール。
太陽神経叢への制御された一撃。
彼を意識を失わせるには十分だが、殺すには至らなかった。
オーディン。
私は彼の顎に肘を打ち込み、彼を部屋の向こう側に蹴り飛ばし、彼のルーンを彼に向けて跳ね返した。
シヴァの分身――
現実が一瞬ひねり出された。
除去された。
ゼウス――
攻撃しなかった。
まだだ。
時間が再開した。
ドラゴンは瞬時に蒸発した。
トールは遠くの柱に激突した。
オーディンは割れた天井を突き破って落下した。
シヴァの分身は振りかざす途中で蒸発した。
ゼウスはわずかによろめき、驚きの表情が顔に浮かんだ。
「これで二人目だ」と私は呟いた。
しかし、彼はすぐに立ち直った。
稲妻が激しい渦を巻きながら彼の周りに集まった。
「オリンポスの玉座の前で、時間を操るなんて、よくもそんなことができるな」
彼は突撃した。
そして今回は――
彼は一人だった。
部屋の向こう側――
オーレリアの戦いも、劣らず残忍だった。
ハデスは冥界の鎖の川を召喚した。
イシュタルは誘惑の呪いを込めた、戦争の祝福を受けた矢を放った。
ラーは槍へと凝縮された太陽フレアを放った。
そしてアテナのオリンピアの化身は、あらゆる動きを計算していた。
オーレリアはその中心に立っていた。
黄金のオーラが燃え盛る。
原初の決意は揺るぎない。
ハデスの鎖が彼女の胴体に巻き付いていた。
彼女は身をよじった。
鎖は砕け散った。
ラーは太陽の光線を放ち――
彼女はそれを切り裂いた。
イシュタルは神聖な矢を一斉に放った――
オーレリアは刃を防御の弧を描くように回転させ、矢を天井へと弾き返した。
アテナは槍を正確かつ鋭く突き刺し、突進した。
オーレリアは正面からアテナと対峙した。
二人の刃がぶつかり合った。
アテナはかすかに微笑んだ。
「洗練されていないわね。」
オーレリアはそれに応え、神聖な大理石の上を滑らせるほどの強烈な顔面を殴りつけた。
「いいえ。」オーレリアは冷静に言った。
「私は忍耐が足りないの。」
ハデスはハデスの影を下に引きずり下ろそうとした。
彼女は足を上げて踏み鳴らした。
「決意の地平線。」
黄金の衝撃波。
冥界のエネルギーが放出された。
ラーは太陽の崩壊で彼女の目をくらませようとした。
彼女は目を閉じた。
その中を踏み抜けた。
そして彼の胸を突き刺した。
彼は三本の柱を突き抜けた。
イシュタルは叫び声をあげ、神々の戦車を召喚した。
オーレリアは突撃の途中で車輪を切断した。
戦車は激しく横転した。
アテナは再び立ち上がり、今度は苛立った。
「あなたは人間だったのよ。」
「そして傲慢だったわ。」オーレリアは答えた。
彼女は光よりも速く動いた。
アテナの槍を真っ二つに切り裂いた。
そして彼女を冥府へと蹴り落とした。
二人はぶつかり合った。
私のところへ戻って。
ゼウスは遊びを終えた。
嵐の雲が彼の背後で一つの渦に凝縮した。
彼のオーラは完全な嵐の君主へと拡大した。
稲妻が次元を越えて弧を描いた。
「もうたくさんだ。」彼は唸った。
彼はサンダーブランドを振り下ろした――
星ほどの大きさの稲妻が降り注いだ。
私はジョワイユーズを裏切った。
衝撃。
腕が震えた。
足元の床が砕け散った。
ゼウスはさらに強く押し付けた。
「よく戦ったな。だが、お前は孤独だ。」
彼は前に突き出した――
四方八方に稲妻が噴き出した。
私は後ろに滑り、ブーツが天上の大理石に溝を刻んだ。
「私は一人じゃない。」
ゼウスの背後で――
オーレリアがぼんやりと動き出した。
彼女は詠唱中のハデスを遮った。
ラーを殴り倒し、意識を失わせた。
イシュタルを戦場の向こうへ蹴り飛ばした。
そして、私の横に着地した。
背中合わせに。
彼女の呼吸は安定していた。
私の呼吸は荒かった。
「大丈夫?」と彼女は優しく尋ねた。
「最高だ。」
ゼウスは咆哮した。
嵐は激しさを増した。
シヴァは完全に姿を変え、真の姿――四本腕の宇宙破壊の構え――を降りてきた。
「共に」オーレリアは囁いた。
「共に」
我々は動いた。
私はゼウスへと突進した。
オーレリアはシヴァを迎撃した。
サンダーブランドは稲妻の弧を描きながらジョワユーズと対峙した。
ゼウスの攻撃はより重く、抑制のきかないものになっていた。
私は水平の斬撃をかわし、膝を彼の肋骨に突き刺した。
彼は雷撃の肘打ちで反撃した。
痛みが走った。
私は彼の腕を掴み、オーレリアの方へ振り回した。
彼女はシヴァとの戦闘中に旋回し、ゼウスの背中に刃を突き刺した。
彼は咆哮した。
シヴァは彼女に突進した――
私は彼の顎に回し蹴りを放ち、これを阻止した。
戦場は動きの嵐と化した。
ゼウスはコズミック・サンダー・バラージを試みた――
オーレリアは決意の地平線を掲げ、その一部を吸収した。
私は残りを切り裂いた。
シヴァは宇宙崩壊を試みた――
私はアルティメット・ヴォイドの圧縮で対抗した。
ゼウスの雷撃が空間を不安定にし始めた。
オリンポスは震えた。
もしこれがエスカレートし続ければ――
天界全体が崩壊するかもしれない。
私は再びそれを感じた。
誘惑。
全力。
これを終わらせる。
オリンポスを書き換える。
ゼウスを消す。
しかし、もし私がそうしたら――
巻き添え被害が下層圏に波及するだろう。
危険を冒すことはできなかった。
ゼウスは再び突きを放った。
サンダーブランドがジョワユーズにロックオンした。
彼は身を乗り出した。
「躊躇しているな」
「計算している」
彼はニヤリと笑った。
「それは弱さだ」
オーレリアが彼の傍らに現れ、顎を真っ向から殴りつけた。
「間違った答えだ」
ゼウスはよろめきながら後ずさりした。
初めて――
彼の唇から血が滴り落ちた。
嵐の雲が揺らめいた。
彼は血を拭った。
それを見た。
それから私たちを見た。
オリンポスの王はもはや面白がっていなかった。
もはや退屈していなかった。
彼は激怒した。
そして天はそれに応じて震えた。
しかし、私たちは毅然と立ち向かった。
共に。
嵐は異常に抗い、
雷は決意に抗い、
オリンポスの最後の戦いは、真の始まりを迎えたばかりだった。
オメガ・キャノン・ルームは絶滅のための大聖堂のように建造されていた。
オリンポス山そのものよりも広く、天界の中心に刻まれていた。大陸ほどの大きさの歯車が階層的な次元を回転し、天界の導管は下層圏から奪ったマナで脈動していた。宙に浮いたコア・チャンバーには、圧縮された消滅エネルギーの球体が収められていた――白く、金色で、そして邪悪な。
その中心には――
カウントダウン。
00:01:00
そして――
00:00:59
アレスは凍りついた。
ザカリーは罵声を浴びせた。
アルテミスの目が鋭くなった。
「…飾りじゃない」ザカリーは呟いた。
頭上の巨大な投影クリスタルに照準レチクルが映し出されていた。
施錠。
下層圏。
全ての現実。
全ての層。
アレスはためらわなかった。
彼は中央制御プラットフォームへと駆け出し、ボタンを叩き始めた。
「何をしているんだ!」アルテミスは怒鳴った。
「止めようとしてる!」
ザカリーも彼に加わり、ルーンを適当に押し始めた。
画面が激しく点滅した。
カウントダウンが不具合を起こし――
そして、中断した。
00:00:30
三人とも凍りついた。
「…馬鹿野郎」アルテミスは息を呑んだ。
彼女は二人を押しのけ、制御インターフェースに両手を置いた。
神聖な建築プロトコルにアクセスすると、彼女の目は銀色に輝いた。
「これは致命的な武器じゃない」彼女は呟いた。「階層化された認証を実行している。総当たり攻撃すれば、フェイルセーフが加速する。」
アレスは唸った。
「ならハッキングしろ。」
「私はそうである。」
彼女の指は思考よりも速く動いた。
神聖な暗号が投影アレイを流れた。
彼女は暗号を次々と解き放った――
そして――
空気が裂けた。
二つの存在が処刑命令のように降り立った。
ミカエル。
創造の大天使。
起源の炎に輝く黄金の鎧。
ガブリエル。
正義の大天使。
白い翼を広げ、刃を抜いた。
彼らは言葉を発しなかった。
彼らは行動した。
ミカエルは手を挙げた――
創造の権威が湧き上がり、動き始めたアルテミスを拘束した。
黄金の幾何学模様の拘束具が彼女の四肢にカチッと音を立てて固定された。
ガブリエルは前方に閃き――
アレスの剣を一撃で受け止めた。
ザカリーはミカエルの二番目の顕現と正面から対峙した。
部屋は戦闘へと突入した。
アレスの刃がガブリエルの光り輝く剣と衝突した。
衝撃で部屋が揺れた。
「制御不能だ」アレスは唸り声を上げた。
ガブリエルは遠くを見つめていた。
「私は神の意志に仕える。」
「利用されている!」
二人は再び衝突した。
聖なるエネルギーの火花が制御デッキを駆け巡った。
ザカリーは咆哮し、コロレスを虚空の弧を描いてマイケルに振り下ろした。
マイケルは二本の指を立てた。
創造の権能がフラクタルシールドへと顕現した。
虚空の斬撃は三次元を分断した――
しかし、大天使は動じなかった。
アルテミスは拘束具に抵抗しようとした。
タイマーが刻々と進んだ。
00:00:15
「アレス!」彼女は叫んだ。「時間が必要なの!」
アレスはガブリエルの刃を弾き返し、胸に蹴りを放った。
「ザカリー!」
「頑張れ!」
ザカリーはクリムゾン・ヴォイドを放ち、プラットフォームの基礎を半分飲み込んだ。
マイケルはジェネシス・フレイムで反撃し、瞬時にプラットフォームを再構築した。
アルテミスは片腕を無理やり解放した。
オーバーライドコードを入力。
00:00:10
マイケルの威圧感が強まった。
彼女の体はコンソールに叩きつけられた。
金色の鎖が彼女の首と手首に再び巻き付いた。
彼女はもがいた。
「5秒…欲しい!」
アレスはガブリエルのガードを突破し、顎を強烈に殴りつけた。
「起きろ、畜生!」
ガブリエルの翼が激しく開き、アレスを押し戻した。
ザカリーはマイケルの圧力に屈して膝をついた。
タイマーが点滅した。
00:00:05
アルテミスは叫んだ。
彼女の指は最後の命令シーケンスを叩きつけた。
マイケルの威力が最大限に発揮された。
釘付けになった。
彼女の手は最後の執行キーからわずか数インチのところで宙に浮いていた。
00:00:02
アレスは咆哮し、彼女に近づこうとした。
ゲイブリエルは歩みの途中で彼を阻止した。
ザカリーは突進した――
マイケルは部屋の向こう側で彼をバックハンドで倒した。
00:00:01
アルテミスは手のひらを叩きつけた――
遅すぎた。
オメガ砲が発射された。
下へ。
下層ゾーンを越えて。
定命の領域を越えて。
精霊、悪魔、怪物の領域を越えて。
あらゆる階層の現実を越えて。
光線が降り注いだ。
それは光ではなかった。
それは消去だった。
純粋な反存在が、一つの神聖な放出へと圧縮された。
人々は叫び声を上げた。
精霊たちは凍りついた。
悪魔たちは恐怖に震えながら空を見上げた。
ダリウスの声は喉元で途切れた。
空が裂けた。
現実そのものが圧力によって薄れていった。
上の階で――
戦いの最中にも――
オーレリアはそれを感じた。
彼女は見上げた。
瞳孔が縮んだ。
彼女の故郷。
彼女の人々。
彼女の世界――
消去されつつあった。
ゼウスはニヤリと笑った。
「遅すぎたな。」
オーレリアのオーラは瞬時に爆発した。
原初の決意が制御不能に迸り上がった。
玉座の間が崩れ落ちた。
神々はよろめきながら後ずさりした。
彼女の瞳は金色に輝いた。
「お前は…」
彼女は前に出た。
部屋にいるすべての神々が、死が迫っているのを感じた。
しかし…
笑い声が緊張を切り裂いた。
柔らかな笑い声。
動揺することなく。
ゼウスは瞬きをした。
リリアは笑っていた。
ヒステリックに笑っているのではなく。
打ちひしがれているわけでもなく。
面白がっているのだ。
「…なぜだ?」ゼウスは尋ねた。「笑っているのか?」
オーレリアは言葉を詰まらせた。
それからゆっくりと息を吐いた。
なぜ笑っているのか、戸惑っているようだった。
彼女はその笑い声を知っていた。
リリアはわずかに首を傾げた。
「本当に私を舐めていたな?」
ゼウスの表情が暗くなった。
「お前はたった今、自分の領域が燃えるのを見たばかりだろう。」
「燃える?」リリアは軽く繰り返した。「それでうまくいくと思ってたのか?」
投影スクリーンの光線は下降を続け――
それから――
速度が落ちた。
停止した。
それから――
縮小し始めた。
吸収され、
吸収された。
ゼウスの微笑みが消えた。
「何だ?」
リリアはさりげなく肩を回した。
「あなたは私を新たな女神として知っているかもしれない。」
彼女の目がかすかに輝いた。
「だが、私には別のものも宿っている。」
空気が重くなった。
「私が最初の女神の器であることを忘れているな。」
ゼウスの指がサンダーブランドを強く掴んだ。
「それだけじゃないわ。」リリアは優しく続けた。
「彼女はまだ生きている。」
部屋は静まり返った。
眼下のビームが内側へと崩壊した――
まるで何か見えないものに飲み込まれたかのように。
投影が動いた。
オメガキャノンの中核にある消滅球が明滅した。
眼下では――
人々は困惑して見上げた。
彼らを消し去るはずだったビームが――
縮小していた。
圧縮されていた。
そして――
それは球体になった。
小さくなった。
閉じ込められた。
そして――
視界が動いた。
小さな少女が空に立っていた。
白い髪。
金色の瞳。
子供のような姿。
アテナ。
オリンポスのアテナではない。
始祖の女神。
彼女は凝縮されたオメガキャノンの弾丸を玩具のように手に持っていた。
彼女はそれを好奇心を持って見つめた。
そしてそれを砕いた。
球体は無害な光となって消えた。
彼女は映写スクリーンに手を振った。
「やあ~」
静寂。
そして――
下層圏は歓声に包まれた。
精霊たちは安堵の叫びを上げた。
悪魔たちは咆哮した。
モンスターたちは地面に武器を叩きつけた。
ダリウスは信じられないという表情で膝をついた。
「消えた…」
玉座の間に戻ると――
ゼウスはよろめきながら後ずさりした。
「…ありえない。」
リリアは優しく微笑んだ。
「私の家に削除砲を向けたのか。」
声のトーンが落ちた。
「可愛いわね。」
オーレリアは息を止めていたことに気づかず、吐き出した。
彼女はリリアを横目で見た。
「無謀。バカ。天才。」
リリアはウインクした。
「創造性よ、ベイビー。」
ゼウスの嵐のオーラが激しく燃え上がった。
「お前は…」
彼は言葉を止めた。
初めて…
真の恐怖が彼の目に忍び寄った。
なぜなら今…
目の前にいるのは、ただの異形ではなかった。
彼女の傍らにいるのは、ただの原初の騎士ではなかった。
地下に潜むのは、ただの反逆の神々や大天使ではなかった。
それは、もっと古い何かだった。
オリンポスよりも前に存在していた何かだった。
万神殿よりも前に。
権威よりも前に。
最初の女神。
生きている。
見守っていた。
そして彼女は、彼らの究極の武器を雪玉のように粉砕したのだ。
ゼウスの握力が震えた。
「お前は…彼女を連れ戻したのだ。」
リリアは肩をすくめた。
「彼女は決して去らなかった。」
玉座の間の雷鳴は静まった。
侵略が始まって以来初めて――
天界が小さく感じられた。
とても小さく感じられた。
オーレリアは剣を構えたまま、前に出た。
「それで」と彼女は静かに言った。
「第二ラウンドか?」
ゼウスは天空の投影に映る少女を見た。
それからリリアを見た。
それからオーレリアを見た。
オリンポスの王はついに理解した。
彼は人間に宣戦布告したのではない。
彼は神の境界内に留まることを拒む何かに宣戦布告したのだ。
しかも、もっと悪いことに――
援軍がいたのだ。
大砲室の下の方で――
ミカエルの権威が揺らいだ。
ガブリエルはためらった。
アレスはゆっくりと立ち上がった。
ザカリーは唇から血を拭った。
アルテミスは身を引いて、吸い取られた核を見上げた。
「……彼女はそれを吸収した。」
アレスは息を切らして笑った。
「あれは俺の娘だ。」
二階で――
リリアは再びジョワユーズを抱き上げた。
嵐が吹き荒れた。
決意が燃え上がった。
天界は震えた。
神々は最後の解決策を放った。
そしてそれは、子供の手の中で砕かれた。
今――
慈悲はない。
交渉はない。
神の権威はない。
あるのは結果だけだ。
玉座の間は崩壊寸前だった。
オリンポスの天井に亀裂が走り、柱が空中で浮き上がり、砕け散った。神々の嵐が原初の圧力と激突し、天界そのものが権威の崩壊を待つ戦場と化した。
オーレリアと私は肩を並べ、剣を掲げた。
ゼウスは崩れ落ちる星のように雷鳴を集めた。
そして――
彼の背後の結界が爆発した。
ひび割れたのではない。
砕けたのではない。
爆発したのだ。
混沌、生命、時間、そして概念のエネルギーの衝撃波が外へと爆発し、ゼウスが戦場の周囲に築いた黄金のドームを吹き飛ばした。
煙が部屋を漂った。
そしてその煙の中を――
六人の姿が歩いてきた。
息が止まった。
ローグ。
フレイ。
ルナ。
ルーシー。
リサ。
永遠。
生きている。
皆生きている。
ほんの一瞬――
他の全てが消え去った。
戦争。
神々。
嵐。
私は剣を落としそうになった。
「…この馬鹿どもめ」私はかすれた声で囁いた。
ローグは首を回し、まるで昼寝から目覚めたかのようにニヤリと笑った。
「檻の中に閉じ込められるとでも思ったのか?」
フレイはゆっくりと前に出た。その存在感は冷たく、集団墓地の前の静寂のようだった。
「殺すべきだった」と彼女は呟いた。「今になって、そうしなかったことを後悔するだろう。」
ルーナは一言も発しなかった。
彼女はただシヴァを見つめた。
そして消えた。
着弾音は丸々一秒遅れて聞こえた。
シヴァの体は玉座の間を後方に、そして現実そのものを突き抜けて飛んだ。
時間が断裂した。
ルナが飛行中の彼を掴み、再び殴りつけるのを私は見ていた――今度は別の時間軸を。
一撃ごとに現実の枝が一つずつ閉じられた。
シヴァは増殖しようとした。
ルナは指を鳴らした。
すべての並行した顕現が一つに収束した。
彼女は彼を蹴り上げた――
そして、彼の周りの五つの次元を内側に折り畳んだ。
彼は叫んだ。
そして――
静寂。
時間軸は特異点へと圧縮され、瞬く間に存在を消滅させた。
シヴァは消え去った。
存在から消去されたわけではない。
破壊さえも逃れられない、時間圧縮された特異点の中に封じ込められたのだ。
ルナは静かに振り返り、何もなかったかのように部屋へと歩いていった。
ローグは拳を鳴らし、やっとのことで立ち上がろうとするオーディンとソーを見た。
「覚えているか?」ローグは何気なく尋ねた。
オーディンの片目が見開かれた。
「…原初の抑制者だ。」
ソーは稲妻を召喚しようとした。
ローグはすでに彼の前にいた。
当たったパンチは爆発しなかった。
それはソーの肉体の物理法則を書き換えた。
ソーは12本の柱を突き抜けた。
オーディンはルーン詠唱を試みた。
ローグは彼の顔を掴み、オリンポスの概念的基盤を砕くほどの力で床に叩きつけた。
「お前は俺を檻に閉じ込めたんだな。」ローグは静かに言った。
「お前は逃げる資格はない。」
ソーは怒りに燃えて飛びかかった。
ローグはくるりと振り返り、裏拳でソーの顎を砕いた。
オーディンは運命を縛る鎖を召喚した。
ローグは生々しい混沌でそれらを引き裂いた。
そして、彼は彼らを打ち負かした。
優雅にではなく。
戦略的でもなく。
ただ残酷に。
一撃一撃が圧縮されたエントロピーを帯びていた。
一撃一撃が神の骨を砕いた。
神々が大理石を叩く音が、戦いの太鼓のように響き渡った。
フレイはイシュタルに向かって歩いた。
ゆっくりと。
イシュタルは落ち着こうとした。
彼女は死を超えた存在だった。
定命の限界を超えた存在だった。
戦女神。
宇宙的存在。
しかし、フレイが近づくと――
空気が冷たくなった。
温度ではない。
概念。
イシュタルは昇天する前以来感じていなかった何かを感じた。
恐怖。
「あなたは――」イシュタルは言い始めた。
フレイは優しく彼女の頬に触れた。
「あなたは私を、生死を覆そうとする何かで閉じ込めたのね。」
彼女は小さく笑った。
「それが気に入らなかった。」
イシュタルは戦場のオーラを放った。
フレイはその中を歩み入った。
霧のように。
そして彼女はイシュタルの胸に手を当てた。
生と死が逆転した。
イシュタルの不死性が極性を逆転させた。
彼女は自身の神性が内側に崩れ落ちるのを感じた。
フレイはさらに身を乗り出した。
「お前はまだ概念に縛られている。」
彼女は握りしめた。
イシュタルは膝から崩れ落ち、自身の永遠の存在が折り重なっていくように叫び声を上げた。
フレイは彼女を放った。
死んではいない。
だが、剥ぎ取られた。
神性が切り離された。
縮小された。
ルーシーは眼鏡を直した。
「残りの戦闘員を確認しました。」
リサは大きく笑った。
「やっと。パーティーモードだ。」
永遠は何も言わなかった。
彼女はただ上昇していった。
残りの神々はそれを感じ取った。
そして初めて――
彼らはためらった。
ルーシーが先に突進した。
彼女の剣が一度閃いた。
ラーの太陽核が裂けた。
リサが続いた。
「コレクションを書き換えろ。」
彼女は指を鳴らした。
二柱の卑しい神は攻撃の最中に凍りついた。彼らの神聖さが反転し、裏目に出たのだ。
永遠は片手を挙げた。
空間が歪んだ。
三柱の昇天した神は、彼女が何気なく作り出した宇宙の空間へと消え去った。
玉座の間は大虐殺と化した。
オーレリアと私は呆然と立ち尽くした。
「…奴らは恨みを抱いていたのね」オーレリアは呟いた。
私はゆっくりと息を吐いた。
「…ああ。」
ゼウスは咆哮した。
彼のオーラは激しく膨張した。
稲妻がオリンポスの上半分を飲み込んだ。
「よくも…」
彼の雷は無差別に降り注いだ。
しかし、ルナは時間の壁でそれを防いだ。
ローグは逸れた稲妻をキャッチし、彼に投げ返した。
ルーシーは本能的に隊列を組んだ。
リサは首を鳴らした。
エタニティの目がかすかに光った。
それはただの怒りではなかった。
もう終わりだ。
そして、圧倒的だった。
しかし、私は前に出た。
もう、大切な神はただ一人しか残っていなかった。
ゼウス。
私はオーレリアの方を向いた。
「下層への門へ行け。」
彼女の目は大きく見開かれた。
「リリア――」
「これを終わらせなければならない。」
ゼウスの怒りが玉座の間を揺るがした。
オーレリアは理解した。
彼女はさらに近づいた。
私の額に優しくキスをした。
「戻ってきてくれ。」
「いつもそうしている。」
彼女はゼウスに最後の睨みを向け、下層の門へと走り、オリンポスを確保した他の者たちに合流した。
そして――
そこにいたのは私だけだった。
そして彼だけだった。
ゼウスは嵐の支配者へと完全に降臨した。
稲妻が血管に取って代わった。
雲が彼の体の周囲を渦巻いた。
彼の存在だけで次元が破壊された。
「原初の影に隠れていれば助かると思っているのか?」
私は肩を回した。
「にゃ。」
「はい、女主人。」
「ポケットマルチバースを作成。」
「初期化:思考マルチバース。」
現実が分裂した。
オリンポスが消えた。
天界が溶けていった。
私たちは開けた野原に立っていた。
私たちの頭上には――
無限に積み重なったマルチバース。
それぞれが独自の階層構造を持つ。
独自の時空。
独自の次元構造。
無限の世界が無限の空に映し出されていた。
ゼウスは辺りを見回した。
初めて――
彼は環境を制御できていなかった。
「私を孤立させるのか?」
「私はダメージを孤立させる。」
私はジョワユーズを掲げた。
その刃が唸りを上げた。
黒い柄。
銀の刃。
永遠の勝利と自由。
ゼウスはサンダーブランドを召喚した。
嵐は彼の周りに一つの宇宙の螺旋へと凝縮した。
「私の権威を理解することはできない。」
「理解する必要はない。」
我々は同時に動いた。
我々の最初の衝突は、背後の無限の多元宇宙層を爆発させた。
嵐と星が衝突した。
彼は速かった。
以前よりも速かった。
束縛はない。
玉座もない。
観客もいない。
ただの戦争。
サンダーブランドが下へと切り裂いた――
私は弾き返し、稲妻を空虚な階層へと方向転換させた。
ゼウスは空中で身をよじり、膝を私の脇腹に突き刺した。
痛みが燃え上がった。
私は究極の力を込めた回転バックフィストで反撃した。
彼はそれを受け止めた。
至近距離に稲妻が噴き出した。
私たちは異なる多元宇宙の層へと投げ飛ばされた。
彼は即座に姿を現した。
私も現れた。
サンダーストームは、神々の滅びを司る一本の槍へと崩れ落ちた。
彼はそれを投げつけた。
私はアンバウンド・コピーの完璧な反撃力でそれを切り裂いた。
槍は崩壊した。
ゼウスは咆哮した。
ストーム・ソブリン・マニフェストは膨張した。
彼は成長した。
肉体的にではなく。
権威において。
彼の存在は積み重なった多元宇宙にまで及び、確率を支配した。
あらゆる未来から雷が落ちてきた。
ニャの声が頭の中で響いた。
「警告:確率飽和度が87%を超えています。」
私は目を閉じた。
「無限の知覚。」
時間が膨張した。
確率の糸が姿を現した。
私はそれらの間を横に歩いた。
雷鳴が私がいた場所を通り過ぎた。
私は彼の背後に再び現れた。
「星斬り。」
刃が彼の背中を刺した。
ゼウスはよろめいた。
初めて――
血。
象徴的なものではない。
現実の血。
嵐の血。
彼はゆっくりと振り返った。
怒りが沸き立った。
「お前は異端者だ。」
私はかすかに微笑んだ。
「あなたは私の民を誘拐した。」
稲妻が爆発した。
彼は突撃した。
今回は…
私はそれほど手加減しなかった。
ハイパー・ゴッデスは一瞬だけチラついた――完全に凍り付いたわけではなかった。
体勢を立て直すには十分だった。
私たちは再び衝突した。
そしてまた。
一撃ごとに無限の層が砕け散った。
衝突ごとに嵐の模様が書き換えられた。
ゼウスは宇宙の支配を解き放った。
稲妻がすべての層を同時に満たした。
私は全現実で応戦した。
権威は書き換えられた存在と衝突した。
思考多元宇宙は震えた。
しかし、持ちこたえた。
ゼウスのオーラはオーバードライブへと燃え上がった。
彼は叫んだ。
そして初めて――
私はそれを見た。
傲慢ではない。
怒りではない。
恐怖だ。
彼は何かに気づいた。
彼は感情的にエスカレートしていない相手と戦っていた。
私は創造的にエスカレートしていた。
私はゆっくりと前に出た。
「よし、ゼウス。」
嵐が私たちの周りで吠えた。
「浄化が欲しかったのか?」
私はジョワユーズを掲げた。
無限の多元宇宙がその刃に映し出された。
「浄化しよう。」
そして今回は…
私はもう我慢しなくなった。
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