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新しい女神  作者: ジュルカ
天体アーク
203/217

第201話 上昇

大宝庫はもはや守られていなかった。


それは破壊されていた。


天使の鎧の破片が、捨てられた羽根のように大理石の床に散らばっていた。神聖な光が壁に沿って消えゆく脈動のように揺らめいていた。アルテミスはその中心に立ち、弓を下げ、息は整えながらも、目は目的に燃えていた。


最後の大天使は、儀式もなく倒れた。


彼女は最後の一撃さえ覚えていなかった。


彼女にわかっていたのはただ一つ――


宝庫は開いていた。


そして中には――


何十億もの。


何十億、何十億もの存在。


考え事をしている途中で凍りついた。


息をしている途中で。


人生の半ばで。


螺旋状の廊下を果てしなく続く結晶の静止ポッドの中に、まるでトロフィーのように文明全体が並べられていた。農民の隣には人間の王が、悪魔の隣には精霊が、長老の隣には子供たちが。


コレクションの品々。


アルテミスの顎が引き締まった。


「これは裁きではない」と彼女は呟いた。「これは執着だ」


彼女はさらに奥へと駆け込んだ。


時を超えて研ぎ澄まされた彼女の進化した感覚は、真実へと放たれた矢のように彼女を導いた。


そして彼女はそれを感じた。


三つの存在。


巨大な。


原始的な。


弱まりつつある。


彼女の心臓は高鳴った。


彼女は歩みの途中で方向を変え、補強された廊下を突き抜け、崩れ落ちる神聖な建築の梁の下をすり抜けた。


その奥には――


収容室。


壁に埋め込まれた四つの巨大な独房。


それぞれの独房は、幾重にも重なる原始的なエネルギー拘束具に包まれていた。周囲の現実は、まるで宇宙そのものが内部に潜むものを恐れているかのように、内側へと歪んでいた。


アルテミスは一歩近づいた。


神聖な銘板に刻まれた名前がかすかに輝いた。


ルナ ― 時空の始原。

ローグ ― 混沌の始原。

フレイ ― 生と死の始原。


彼女の目は大きく見開かれた。


そして――


四番目。


他のものよりも厳重に封印されている。


さらに注意書きが重ねられている。


その上に真紅のタグがちらついた。


件名:アリス・クリムゾン

タイトル:夢と物語の始原

警告:極度の実存的危険


アルテミスは本能的に後ずさりした。


タグの下に、さらに詳しい情報がスクロール表示された。


全ての夢の創始者。

全てのフィクションと物語構築の起源。

全ての物語、現実、そして彼女の潜在意識から生まれた形而上学的構築物。

セクターB568 ― ハイゾーン制圧。

誕生領域:想像領域。

亜種:物語領域実体。

捕捉時刻:午後1時30分


彼女の喉が締め付けられた。


「一体どんな怪物…」彼女は囁いた。


アリスを取り囲む封印は、他の封印を合わせたよりも濃密だった。


神々でさえ彼女を恐れていた。


ゼウスでさえも。


そして、それは何かを意味していた。


その時――


Vault全体が激しく震えた。


上から爆発音が響き渡った。


上層階が揺れた。


アルテミスはかすかに微笑んだ。


「リリア。」


彼女は集中した。


任務第一。


彼女は中央制御室へと駆け込んだ。そこは神聖なモニターと水晶パネルが並ぶ大聖堂だった。オリンポスよりも古い言語で、データが次々と流れていった。


彼女はメインコンソールに手を叩きつけた。


「プロトコル解除。」


システムは即座に反応した。


アクセス拒否。


彼女はもう一度試みた。


オーバーライド。


原初の認識。


古き神の権威。


アクセス拒否。


彼女の目がピクッと動いた。


「やめろ。」


彼女はコンソールを殴った。


制御装置全体が火花を散らして爆発した。


エネルギーフィードバックがVaultのシステム全体に連鎖的に流れ込んだ。


警告灯が点灯した。


収容フィールドが明滅した。


彼女は主電源導管を掴み、物理的に引き抜いた。


Vaultが悲鳴を上げた。


セルが不安定になった。


凍結したポッドが割れた。


一つずつ――


収容が失敗した。


果てしない廊下を越えて――


数十億の人々が解凍し始めた。


呼吸が再開した。


目が瞬きして開いた。


忘れ去られた日の出のように、現実が彼らの中に押し戻された。


収容ホールが破裂した。


最初のセルが砕け散った。


エネルギーが爆発した。


そして何かが動いた。


速かった。


アルテミスが振り返った途端、巨大な天体構造物が彼女に激突した。


幾重にも重なった神聖な合金と宇宙砲で構成されたウォーフレーム。


それは収容室の床にクレーターを作るほどの力で彼女に体当たりした。


巨大な機械の指が彼女の喉に巻きついた。


押し潰す。


絞め殺す。


空気が消えた。


機械の目に処刑プロトコルが光った。


「不正な原始的放出を検出しました。終了を開始します。」


アルテミスは抵抗した。


彼女の指は機械の手首に食い込んだ――


それはさらに締め付けられた。


視界がぼやけた。


彼女の意識が揺らめいた瞬間――


機械は横に蹴られた。


強く。


それは廊下を横切って壁にめり込んだ。


アルテミスは息を呑み、激しく咳き込んだ。


影が一歩前に出た。


黒髪。


満面の笑み。


混沌とした輝きを帯びた瞳。


「ああ」彼は何気なく首を鳴らした。「あの独房は本当に厄介だったよ」


彼はアルテミスに視線を向けた。


「あの神々が背後から忍び寄ってきた?本当に意地悪なやり方だわ。」


彼女はすぐに彼だと分かった。


ローグ。


混沌の原初。


鎖を解かれた神。


彼のオーラは荒々しく、不安定で、電撃的で、予測不能だったが、制御不能ではなかった。


混沌を封じ込める。


方向づける。


機械は再び立ち上がった――


ローグは消えた。


その背後に再び現れた。


彼は機械の背面を軽く叩いた。


「解き放たれた混乱。」


機械はスクラップへと崩壊し、無害な粒子へと溶けていった。


隣の独房からさらに二人の人影が出てきた。


フレイが最初に現れた。


長い銀髪。穏やかな表情。生と葬送を内包する瞳。


彼女は袖を払い落とした。


「不意を突かれたわね。」


彼女の声は柔らかかった。


致命的だった。


「卑怯なことは認めない」


そして――


ルナ。


彼女の存在だけで、部屋が歪んだ。


彼女の周囲では、壊れたフィルムの不安定なフレームのように、時間が揺らめいた。


空間が微妙に歪み、彼女の近くでは形を保てなかった。


彼女の視線は冷たかった。


容赦なかった。


「彼らは私を歩みの途中で凍りつかせた」と彼女は静かに言った。


「その大胆さ」


三体のプライモーディアルは自由に立ち尽くした。


一瞬――


ヴォールトが小さく感じられた。


アルテミスはゆっくりと立ち上がった。


「お前たちは全員封印された」


ローグは肩をすくめた。


「ああ。三つのパンテオンと怪しげなアーティファクトを奪った。安っぽい戦術だ」


フレイは上の階を見やった。


「リリアが戦っている」


ルナの目が暗くなった。


「ゼウス」


その言葉だけで、収容室はわずかにひび割れた。


アルテミスは四番目の牢獄を指差した。


「彼女も?」


彼らは振り返った。


三人の表情が変わった。


ローグの笑みがわずかに消えた。


フレイは目を細めた。


ルーナは封印に近づいた。


アリス・クリムゾン。


夢と物語の原初。


封印は無傷だった。


他の封印よりもきつく。


実存的な抑圧が重なり合っていた。


「彼女は違う」ルーナは静かに言った。


ローグは腕を組んだ。


「彼女は戦争をしない。」


フレイは優しく付け加えた。「彼女は戦争を夢見ている。」


ヴォルトが再び震えた。


頭上で――


また爆発が起きた。


オリンポスの戦いは激しさを増した。


アルテミスは唾を飲み込んだ。


「彼らは彼女を恐れていた。」


ローグはかすかに笑みを浮かべた。


「そうあるべきだ。」


ルーナは指で封印をなぞった。


「今彼女を解放すれば、全てが不安定になる。」


フレイは頷いた。


「彼女は自力で目覚めるはずだ。」


封印は微かに脈動した。


まるで内部で何かが変わったかのように。


一瞬――


柔らかな囁きが収容室に響き渡った。


聞こえない。


感じた。


そして、それは消えた。


ローグは肩を回した。


「よし。もう観光は十分だ。」


彼は指の関節を鳴らした。


「ゼウスはどこだ?」


アルテミスは上を指差した。


「玉座の間だ。」


ルーナのオーラが強まった。


意識することなく、彼女の周りの時間がゆっくりと流れ始めた。


フレイの存在が拡大し、Vaultに新たに解放された数十億もの生命体の生命反応を安定させた。


ローグはさらに大きく笑った。


「よし。」


彼は出口へと歩み寄った。


「恩返しに行こう。」


アルテミスも続いた。


彼らの後ろで、収容室が明滅した。


解放された何十億もの存在がゆっくりと意識を取り戻した。


天界は震え、四つの原初レベルの痕跡が同時に現れた。


上空では――


雷鳴が轟いた。


下空では――


神々の最大の過ちが、今まさに解き放たれたのだ。


そしてアリス・クリムゾンは?


彼女の独房はかすかに光った。


まるで――


彼女は眠りながら微笑んでいるかのようだった。


グランド・ヴォールトはもはや静まり返っていなかった。


それは生きていた。


数十億もの声が一斉に湧き上がった――混乱、パニック、信じられないといった声。地球と異界から来た人間たち。半透明の体を持つ霊魂たちが不安定に揺らめく。角を生やし、鎧が割れた悪魔たち。本能的に武器を掴むモンスターキンたち。魂の形態を持つ者たちは、なぜ自分たちの来世が牢獄に取って代わられたのか理解しようと震えていた。


泣く者もいた。


叫ぶ者もいた。


祈る者もいた。


そして、誰も答えなかった。


結晶構造の収容室は、壊れた棺のように粉々に砕け散っていた。オリンポス上層からの遠くの衝撃波が天界を波打つ中、神聖な建築物が頭上で揺らめいていた。


そして――


何かがアーチ型の天井を突き破った。


光、混沌、空間の裂け目。


煙が立ち上った。


晴れると――


リサは空中で逆さまに立ち、腕を頭の後ろで組み、まるで昼寝から目覚めたばかりのようにニヤリと笑っていた。


ルーシーは滑らかに彼女の隣に着地し、外科手術のような落ち着き払って眼鏡を直した。


エタニティは地面からわずかに浮いた状態で、金色の瞳は読み取れなかった。


そしてエイルは後ろに静かに立っていた。霊的なオーラは安定していたが、ヌル・ゼロの緊張によって薄れていた。


Vault全体が凍りついた。


プライモーディアルを除いて。


ローグはニヤリと笑った。


「随分と時間がかかったな。」


ルーシーは瞬時に周囲を見渡した。


「人口密度:壊滅的。パニックのエスカレーション曲線が上昇中。構造安定性が損なわれている。」


リサは物憂げに手を振った。


「わあ。遠足のエネルギーだ。」


エタニティは数十億もの混乱した生命体を感じ取り、わずかに首を傾げた。一度だけ――


彼女は微笑まなかった。


混乱はますます激しくなった。


誰かが叫んだ。「俺たち、死ぬの?!」


別の者が叫んだ。「神々が俺たちを裁いている!」


ある霊が抑えきれないほど泣き叫び始めた。


恐怖は疫病よりも速く広がる。


ルーシーは前に出た――


しかし、誰かが先に進んでいた。


ダリウスだ。


彼は崩壊した収容塔の壊れた骨組みを駆け上がり、群衆の上に立った。


そして彼は叫んだ。


「おい!!!!」


彼の声は大砲のように金庫室に響き渡った。


静寂が波紋のように広がった。


彼は深呼吸をした。


「みんな怖がってるだろ!」

「信じてくれ、俺もだ!」


視線は上を向いた。


「君たちが混乱し、ショックを受け、激怒していることは分かっている!君たちの中には、別の惑星から来た者もいる!別の銀河から来た者もいる!別の現実から来た者もいる!霊魂の者もいる!怪物だ!悪魔だ!君たちが見分けもつかない体に宿った魂の者もいる!」


彼の声は落ち着いた。


「でも、叫んだり逃げ回ったりしても解決しない!」


群衆は動揺した。


「神々が私たちを創造してくれたことは知っている!私たちは神々に祈り、崇拝し、守ってくれると信じていた!」


彼は拳を握りしめた。


「でも今はどうだ?あの人たちが私たち全員にしたことの後では、私たちを救いに来る神はいないだろう。」


その言葉は、


強く響いた。


「私たちを裏切った神々もいる。見捨てた神々もいる。私たちのために戦っている神々もいる。だが、今大切なのはただ一つ…」


彼は下を指差した。


「私たちは互いに支え合う必要がある。共に。」


沈黙が深まった。


「私たちは共に生き残る。」


彼の声は強くなった。


「私たちは共に帰る。」


精霊の子供が鼻をすすった。


悪魔が折れた刃を握りしめた。


「私たちはここで死ぬのではない!今日も!決して!決して!」


「たとえ命を落とそうとも、最後まで戦うからな!」


彼は拳を振り上げた。


「じゃあ、誰が俺に味方するんだ?」


一瞬――


何もなかった。


それから――


一拍手。


ゆっくりと。


じっくりと。


ルーシー。


そしてもう一度。


リサ。


それからローグは笑い、大きく拍手した。


フレイは優しく頷いた。


エターニティはかすかに微笑んだ。


それから――


ヴォルトが爆発した。


歓声。


雄叫び。


戦いの雄叫び。


手が挙がる。


神のためではない。


自分たちのために。


互いのために。


エネルギーが変化した。


恐怖は消えなかった。


しかし、それは変化した。


決意へと。


アルテミスはダリウスの傍らに歩み寄った。


「中央大聖堂の地下にポータルがある」と彼女は明瞭に告げた。「安定した脱出ルートに繋がっている。リリアが大天使の駐屯地を排除した。今のところは安全だ」


ざわめきが広がる。


「残りの天界の軍勢が再集結する前に、我々は行動を起こさなければならない」


ダリウスは飛び降りると、すぐに人々を組織し始めた。


「精霊は左へ!悪魔とモンスターキンは境界部隊を形成!戦闘能力のある者は護衛だ!」


ロナンは戦士たちを鼓舞した。


セレーネは最弱者のために鎮静バリアフィールドを張った。


ケイルは崩壊する建築物を通るルートを描き始めた。


ライラは弓を構えて最前線に進んだ。


エイルは最弱の魂を安定させるために霊的なオーラを放った。


避難が始まった。


組織的。


統制された。


決意に満ちた。


アルテミスはアレスとザカリーの方を向いた。


「また問題が起きた。」


床がかすかに揺れた。


はるか下で、深い機械音がオリンポスに響き渡った。


アレスは顎を引き締めた。


「オメガキャノンだ。」


ザカリーの目が暗くなった。


「まだ突撃中だ。」


アレスは肩を回した。


「じゃあ、鎮圧するぞ」


三人はためらうことなく下層砲室へと向かった。


その間に――


ルーシーは眼鏡を直した。


「上層に神の痕跡が残っているのが検出された」


リサは大きく笑った。


「やっと。エンターテイメントだ」


エターニティのオーラが微妙に変化した――宇宙の層が彼女の周囲に折り重なるように。


ルーナが前に出た。


彼女の周りの時間がわずかに歪んだ。


フレイの存在は生と死の均衡を放っていた。


ローグは首を鳴らした。


「これは面白くなってきた」


ルーシーは冷静に彼らの方を向いた。


「目的:神の抵抗を排除する。解放された人々への巻き添え被害を最小限に抑える。構造的な消滅を回避する」


リサは首を傾げた。


「それとも?」


ルーシーは眼鏡を上げた。


「それとも、リリアがエスカレートするの?」


それで十分だった。


彼らは動いた。


上へ。


天上の回廊は先の戦闘で裂け目があいていた。神々の像は粉々に砕け散り、天使の残骸は彼らが近づくとちらつき、消えていった。


生き残った神が彼らを阻止しようとした。


昇天した小さな軍神。


ローグが言葉を言い終えるよりも早く、彼は瞬きをして額を叩いた。


神は無害な混沌の霧へと消え去った。


「次だ」ローグは呟いた。


宇宙支配のヴィクトリアが、オーラを輝かせながら前方に現れた。


ルーシーが前に出た。


「交戦せよ」


回廊が爆発した。


一方、下では――


避難者たちが大理石のホールを抜けて大聖堂へと押し寄せていた。


ダリウスは市民と並走し、命令を叫んだ。


「前進しろ!しっかりしろ!隊列を崩すな!」


魂がよろめいた――


セレーネは倒れそうになりながら彼女を支えた。


「集中して。息を吸って。」


大聖堂の扉が見えてきた。


巨大だ。


開いている。


その向こうに――


ポータルが脈動した。


アルテミスのアクセスオーバーライドによって安定化された。


人々は波のように押し寄せた。


世界から世界へ。


現実から現実へ。


故郷へ。


生き残るために戻る。


上空へ――


オリンポスは激しく震えた。


原初のエネルギーの衝突が下方へと波紋のように広がった。


ゼウスの雷鳴が轟いた。


リリアのオーラが燃え上がった。


天界は自らの傲慢さの重みにひび割れ始めた。


そして、幾世紀もぶりに――


人間たちは跪かなかった。


彼らは去っていった。


彼ら自身の意志で。


祈りはなし。


神の許しもなし。


ただ意志のみ。


ダリウスは大聖堂の入り口で立ち止まり、最後の波が通り過ぎるのを見守った。


彼はゆっくりと息を吐いた。


「奴らを脱出させる」と彼は囁いた。


頭上では雷鳴が空を砕いた。


そして玉座の間のどこかで――


嵐と自由が、真に天国を支配する者を決めようとしていた。



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