第196話 その啓蒙ハント
大宝庫が震えた。
爆発のせいではない。
崩れ落ちる柱のせいでもない。
存在の重みそのものから。
その中心には三柱の神が立っていた。
パエアン――小さな太陽のように燃える、黄金の神性を放つ神性。
ヴィクトリア――生ける銀河のように、彼女の周囲を流れる宇宙の光。
カオス――貪り食う者、深淵をまとう姿。
そして彼らに立ち向かう――
ニャ。
彼女の傍らで、血を流しながらも壊れていない――
アルテミス。
パエアンの黄金の槍がニャの刃に激突し、空気が裂けた。火花は火花ではなく、断ち切られた確率線が塵と化すように。
彼らの背後で、カオスは唇のない口のように広がった。
ヴィクトリアは上空に浮かび、指先で崩れ落ちる星々の槍に星座を織り成していた。
アルテミスは血を吐きながらよろめきながら立ち上がった。
ヴィクトリアは微笑んだ。
「鹿や獣を狩るのよ、坊や」と彼女は優しく言った。「こんな格の神を狩るなんて、ありえないわね。」
星の槍が放たれた。
アルテミスはかろうじて避けた。
弾丸は彼女の肩をかすめ、壁に激突して爆発し、空間の層を紙のように引き裂いた。
部屋の向こう側で、ニャはパアンの突撃をかわし、旋回しながら、瞬く間に6兆3000億通りの未来の順列を分析した。
[脅威評価を更新しました。]
混沌が押し寄せた。
虚空の津波が床を飲み込み、まるで言葉の途中で現実が消え去るかのように、ニャに向かって突進してきた。
ニャは息を吐き出し、すぐそばまで迫ってくる虚空の津波を切り裂いた。
カオスは激怒し、巨大な虚空の球体を召喚する。攻撃を溜めている最中に、パエンはニャを攻撃する隙を狙って突進する。
ニャはこの2対1の状況に苛立ち、まずは厄介なカオスから始末することにした。
ニャは手のひらを掲げる。
「無限の虚空空間。」
宇宙が反転した。
カオスは消え去った。静止した静寂の中に漂う、封印された別の次元の襞に閉じ込められていた。
「後で仕返しするわ。」ニャは冷静に言った。
パエンはカオスの姿を見て、激昂し、咆哮した。
黄金のオーラが爆発し、全身に鎧が姿を現した。輝き、華麗で、止められない。
「黄金昇天モード。」
床は彼の圧力で溶けた。
彼は電撃を放った。
最初の一撃は空気を砕いた。二発目の矢はニャを半キロ押し戻した。
三発目の矢は金庫室の天井を割った。
アルテミスが宇宙の権威の重力に捕らえられ、肋骨を折るほどの力で柱に叩きつけられると、ヴィクトリアは笑った。
アルテミスは咳をした。
血だ。
神聖な血だ。
彼女は体を起こした。
弓が手の中で震えた。
ヴィクトリアは面白がりながら、さらに近づいてきた。
「お前はオリンポスを裏切ったのか。お前より大きくなる娘のために。」
アルテミスは唸り声をあげ、矢を放った。
一万本の矢が空中に現れ、ヴィクトリアの死角を狙った。
ヴィクトリアは動かなかった。
矢は彼女の肌から数インチのところで砕け散った。
「あなたには先見の明がないのね」ヴィクトリアは優しく言った。
二人の頭上で、パエアンとニャが再びぶつかり合った。黄金の光と純粋な計算がぶつかり合った。
パエンの槍は一撃ごとに巨大化し、その一振りごとに惑星ほどの質量を帯びていった。
ニャは最初の一撃を防いだ。
二度目は方向を変えた。
三度目、彼女は三枚の壁を突き破って後方に吹き飛ばされた。
ストーンは崩れ落ちた。
彼女は無傷で現れたが、表情が変わっていた。
無駄が見破られた。
アルテミスは再び倒れた。
ヴィクトリアはアルテミスの胸に足を押し付けた。
「あなたはいつも無謀だったわね。」
アルテミスは立ち上がろうとした。
失敗した。
ニャの視線が彼女に向けられた。
そして彼女は決断した。
彼女は手を挙げた。
「真のヌヴァーナ。」
現実が揺らめいた。
激しくではなく。
優しく。
まるでベールが持ち上げられるかのように。
ニャの掌から脈動が広がり、アルテミスを包み込んだ。
アルテミスは息を呑んだ。
痛みは消えた。
癒されたからではない。
痛みの向こう側が見えたからだ。
大宝庫の壁は溶けた。
床は消えた。
神々はぼやけた。
アルテミスの視界は無限に広がった。
彼女は糸を見た。
基盤。
存在の根底にある足場。
因果律の背後にあるパターン。
彼女がこれまで手がけてきたあらゆる狩り。
あらゆる獲物。
あらゆる追求。
あらゆる失敗。
あらゆる成功。
あらゆる幻想。
彼女は肉を狩っていたのではない。
彼女は常に真実を狩っていた。
偽りの層が剥がれ落ちた。
ヴィクトリアは凍りついた。
パエンはそれを感じた。
無限の虚空空間に封じ込められても、混沌は動き出した。
アルテミスは立ち上がった。
彼女の胸の傷は閉じた――再生ではなく、傷という概念が意味を失ったからだ。
彼女の目は変わった。
もはや鋭い捕食者の金色ではなく、
輝くような透明感だった。
「進化は完了した」とニャは言った。
「対象:狩猟の女神アルテミス。」
「状態:昇天。」
「分類:古き神」
部屋は静まり返った。
アルテミスは息を吸い込んだ。
そして微笑んだ。
傲慢にではなく。
怒りにもなく。
穏やかに。
「わかったわ」と彼女は囁いた。
ビクトリアは後ずさりした。
ありえない。
パアンは唸り声をあげ、再びニャに突進した。槍は死にゆく星のように燃え上がった。
ニャは消えた。
彼の頭上に再び現れた。
下方へと受け流した。
二人の衝突で天井が半分吹き飛んだ。
しかし今回は――
パアンの一撃は圧倒的ではなかった。
それは…
予想通りだった。
アルテミスは動いた。
ビクトリアは三本の宇宙の槍を放った。
アルテミスは前に歩み寄った。
槍は空中で凍りついた。
割れた。
そして無害な光子へと分解された。
ビクトリアは目を見開いた。
「何をしたんだ…」
アルテミスが彼女の前に現れた。
閃光も、
速度痕跡も、
ただそこにいるだけだった。
「私は影を狩っていた」アルテミスは冷静に言った。「今は影を投げかけるものを狩っている」
ビクトリアは銀河の刃を振り回した。
アルテミスは横に歩み寄った。
刃は数ミリの差で外れた。
ビクトリアは瞬きをした。
「あなたが思いつく前に、その攻撃は見えていた」
アルテミスはビクトリアの手首を軽く叩いた。
一撃ではない。
訂正だ。
ビクトリアの宇宙オーラは脆いガラスのように砕け散った。
パアンは怒りに燃えて咆哮し、背後からアルテミスに槍を突きつけた。
彼女は振り返らなかった。
彼女は二本の指を立てた。
槍は止まった。
防がれたのではない。
止まった。
かつて彼女が頼りにしていた未来予測は、時を超えた理解に取って代わられた。
「あなたは強い」アルテミスは優しく言った。「だが、あなたはシステムの内側から戦うのだ。」
彼女は槍を放った。
パエンは三次元を駆け抜け、金庫の壁に激突した。
無限の虚空空間に封じられていた混沌が激しく噴き出し、生々しい虚空の滝となって牢獄を突き破った。
「よくも…」
混沌は無限の黒い海のように広がった。
ニャは前に出た。
彼女の声は穏やかだった。
「あなたの予測不可能性は、データの欠如に基づいていた。」
彼女は手を差し出した。
「お前の虚空は、私の虚空と比べてあまりにも非効率で、修復不可能なほど弱い。さらに悪いことに、女主人はお前のような弱い相手にいつもこの言葉を使う。お前は餌食だ、つまりお前の感覚では詐欺師だ。」
カオスが突進した。
ニャは一度動いた。
一撃。
カオスは分裂した。
破壊ではない。
分割された。
権威は剥奪された。
虚空はニャの掌を周回する、扱いやすい破片へと崩れ落ちた。
パエンは再び突撃し、黄金の鎧はより輝きを増した。
ヴィクトリアは宇宙物質の残骸を崩壊する特異点へと集めた。
彼らは同時に攻撃した。
アルテミスは目を閉じた。
彼女は線を見た。
嘘。
壮大さの幻想。
そしてそれらを踏み越えた。
ヴィクトリアの特異点は糸のように解けた。
パエンの黄金の槍は、アルテミスの掌に触れて砕け散った。
彼女は彼の手首を掴んだ。
彼の目を見つめた。
「あなたは支配を神聖と勘違いしている。」
彼女は押しやった。
パエンは床に激しく叩きつけられ、地下室の核が揺れた。
ビクトリアは宇宙の権威を刷新しようとした。
アルテミスは弓を構えた。
しかし今回は――
彼女は矢を放たなかった。
彼女は洞察を放った。
純粋な理解の光線がビクトリアのオーラを貫いた。
ビクトリアは叫んだ。
苦痛のためではない。
悟りを得たのだ。
彼女の姿は不安定になった。
カオスは再び膨張しようとした。
ニャは手首をひらりと動かした。
「再構築。」
カオスの存在はニャの支配下で再構築された。
戦いは完全に様変わりした。
ほんの少し前まで、アルテミスは血を流していた。
今――
ヴィクトリアは膝をついていた。
パエンは立ち上がろうともがいた。
混沌は抑えられていた。
ニャはアルテミスの傍らに浮かんでいた。
「あなたは仏陀の悟りさえも超えたのね」ニャは淡々と言った。
アルテミスは首を傾げた。
「それが誰なのか、私には分からないわ」
「高尚な基準よ」
ヴィクトリアは星屑を咳き込んだ。
「あなたは私たちの下にいるはずだったのよ」
アルテミスの視線には冷酷さも、傲慢さもなかった。
「捕食者は、獲物が油断すると進化するのよ」
彼女はヴィクトリアの額を正確に叩き、意識を失わせた。
パエンは最後の必死の一撃を放った。
アルテミスは刃を受け止めた。
そして、それを折り砕いた。
黄金の鎧は砕け散った。
彼は倒れた。
ニャは無限の虚空空間を解放し、カオスの断片化された権威を貯蔵庫に吸収した。
「戦闘は終結した」と彼女は静かに告げた。
グランド・ヴォールトは安定した。
封じ込められた凍りついた存在たちがちらついた。
アルテミスは自分の手を見た。
彼女は…静寂を感じた。
均衡が取れていた。
「悟りはもっと大きな音で感じるものだと思っていた」と彼女は優しく言った。
ニャは頷いた。
「滅多にないわね。」
アルテミスは大広間の方を一瞥した。
「リリアは戦いを終えたのね。」
「ええ。」
ニャの瞳がきらめいた。
「もし彼女が今のままの勢いで続けば、オリンポスは建築再建が必要になるわ。」
アルテミスは小さく微笑んだ。
「珍しく…私はこの建物で最も危険な存在ではないわ。」
ニャはかすかに微笑み返した。
「その通り。」
新たに昇天した長老神とデジタル存在のネクサスは共に、より深い階層へと向かった。
オリンポスは震えていた。
そして狩りは…
始まったばかりだった。




