第163話 その精神戦争パート2
精霊王国の上空は既に色を失っていた。
かつてマナのオーロラと、漂う精霊光の星座で輝いていた空は、今や生々しい神の圧力によって砕け散っていた。雲は螺旋状にねじれ、空間は悲鳴を上げ、現実は過熱したガラスのように歪んだ。
そしてその中心で――
二つの姿が衝突した。
技ではなく。魔法ではなく。
意志で。
私はヘラクレスと正面から対峙した。
拳と拳がぶつかり合った。
衝撃は崩壊する星のように爆発した。
衝撃波は戦場に峡谷を刻み、精霊の構造体を何キロメートルにも渡ってなぎ倒した。私は砕けた地面を後ろ向きに滑り、ブーツは結晶化したマナに溝を刻んだ。ヘラクレスはほとんど動かず、かかとだけが地面に食い込み、腕には神々しい稲妻が這い回っていた。
「君はなかなか強いな」私は唇の血を拭いながら認めた。
ヘラクレスは首を回し、ニヤリと笑った。筋肉はまるで生きた山のようにうねっていた。
「お前もか、新たなる女神よ」
我々は消えた。
テレポートではなく、移動したのだ。
私が先に姿を現し、空中で体をひねり、彼のこめかみに回し蹴りを放った。ヘラクレスは前腕でそれを防いだ。衝撃とともに神の火花が散り、空間そのものを折り畳むような腹パンチで反撃した。
私は間一髪で腕を組んだ。
一撃は私を流星のように打ち上げた。
私はくるりと回転し、安定を取り戻した。ブーツが空中で燃え上がり、城壁に激突する数インチ手前で立ち止まった。背後の石はいずれにせよ蒸発した。
息をする間もなく――
彼はすでにそこにいた。
我々は再び拳を突き合わせた。
顔を突き合わせた。
言葉もなかった。
ためらいもなかった。
ただ力だけがあった。
「楽しんでるんだね」私は歯を食いしばって言った。
ヘラクレスは笑った。「私の前に立つなんて、久しぶりだな」
私たちは離れた。
ほんの一瞬、戦場は静まり返った。
それから私は息を吐いた。
首を鳴らした。
肩を回した。
「よし」私は呟き、低い姿勢を取った。「第二ラウンドだ」
私は消えた。
ヘラクレスが目を見開く間もなく、私の拳が彼の腹部に突き刺さった。衝撃は、水中を伝わる衝撃波のように、彼の体に波紋のように広がった。
私も膝蹴りを放った。
そして回し蹴りを放った。
彼は宙を舞い、空中に浮かぶ精霊の塔を破壊しながら飛んだ。
しかし、彼は飛行の途中で立ち止まった。
着地の瞬間に。
彼の足は虚空に叩きつけられた。まるで現実そのものが彼を支えているかのように、足元で稲妻が炸裂した。
彼は微笑んだ。
私はもうそこにいた。
私は攻撃した。
一度だけ。
そして二度。
そして何兆回。
目に見えない拳が、知覚を超える速さで彼を叩きつけた。あらゆる角度、あらゆるベクトル、あらゆる打撃の可能性が、圧倒的な嵐へと凝縮された。ヘラクレスの周囲の空気は残像と音の虚空へと砕け散った。
彼はうめき声を上げた。
実際にうめき声を上げた。
私は彼を蹴り上げ、瞬時に追従し、空中で彼の足を掴み、全速力で回転し、投げ飛ばされた神のように彼を下へと投げ飛ばした。
彼は地面に叩きつけられた。
クレーターは戦場の半分を飲み込んだ。
精霊のレイラインが破裂し、生々しいエネルギーの間欠泉が噴き出した。
私は手を挙げた。
「火の雨:驚異。」
空が燃え上がった。
無数の燃え盛る彗星が上空から落下し、それぞれが神々を消し去るほどの熱を持っていた。それらはヘラクレスに何度も激突し、彼を灼熱の破壊に沈めた。
一瞬――
もう終わりだと思った。
そして雨は止んだ。
雷鳴のようなカチッという音が、すべての存在に響き渡った。
ヘラクレスは立ち上がった。
かろうじて焼け焦げた。
彼は再び両手を合わせた。
二度目のカチッという音は、まるで宇宙の誕生のように爆発した。
衝撃波は波紋のように広がり――精霊の王国を、精霊界を、下層圏のあらゆる層をも超えて。無限の現実全体が震えた。
私は足を踏ん張り、全身の筋肉が悲鳴を上げながら、踏みとどまった。
そして彼が飛び降りた。
その落下だけで、重力は螺旋状に歪んだ。
彼は地面に叩きつけられた。
私はかろうじて横に転がった。
衝撃で一つの地域が消滅した。
私は見上げた。
街の半分が消え去った。
精霊の建物は跡形もなく消え去った。
次の瞬間、叫び声が私を襲った。
血が凍りついた。
あれは――
限界を超えた。
私はゆっくりと背筋を伸ばした。
周囲の空気が変わった。
ヘラクレスもそれを感じた。
「……ああ?」彼は目を細めて言った。「あの表情を。」
私は目を閉じた。
この戦いが始まって以来初めて――
私は心の中でためらうことをやめた。
「解放されたコピー。」
目を開けると、目が青く輝き始めた。
世界は凍りついた。
時間ではない。
意味だ。
私の知覚は層を超え、構造を超え、規模を超えて拡張した。精霊界が目の前に広がった――大地や空ではなく、情報として。
その起源。
その基盤。
その支配原理。
私は最初の精霊が形をとるのを見た。
感情を形にするための法則。
人間が消え去ったところで魂が生き続ける理由。
そして私はそれを手にした。
いや――
完璧だった。
目がぱっと開いた。
青い光が戦場を満たした。
ニャの声が私の中に響いた――澄み渡り、敬虔な声だった。
[コピー完了]
[霊界統合完了]
[新たな権能獲得]
力が私の中に湧き上がった――暴力的でも、混沌でもなく――絶対的な力だった。
精霊たちはそれを即座に感じた。
領域中の精霊たちが私の方を向いた。
すべての真の精霊が凍りついた。
ヘラクレスは一歩後ずさりした。
「…今、何をしたんだ?」
私は息を吐いた。
ゆっくりと。
落ち着いて。
「私はお前にとって最悪の相手になった。」
空気が結晶化した。
私の背後に、法の冠のように、黄金の印章と霊妙なグリフが浮かび上がった。
解放された権威:
[精霊王]
[精霊の女王]
[礎の王国]
[究極の精霊召喚]
[無限の精霊エネルギー生成器]
[現実生成]
戦場は形を変えた。
荒廃した大地は癒された。
砕け散ったレイラインは安定した。
堕落した精霊たちは光の糸に包まれ、その存在は消滅するのではなく、強化された。
ヘラクレスは見つめた。
「…ただ領域をコピーしただけではないな。」
私は微笑んだ。
「私はそれを完璧にした。」
私は前に進んだ。
精霊界そのものが私と共に動いた。
あらゆる精霊――高位の、偉大な、真の――が圧倒的な引力を感じた。支配ではない。
認識。
ヘラクレスが振り下ろした。
私は彼の拳を受け止めた。
銀河を滅ぼすはずだった衝撃は、空気をほとんど揺らさなかった。
彼の目が見開かれた。
「何だ――?」
私は身をよじった。
投げつけられた彼は現実を滑るように飛び、精霊界の空に輝く傷跡を刻んだ。
私は手を挙げた。
精霊たちが答えた。
召喚されたのではない。
整列したのだ。
私の背後に巨大な影が浮かび上がった――かつて存在したあらゆる精霊の原型から構成されたアバター。
精霊王の影。
私は指さした。
「ヘラクレス」私は静かに言った。「この世界はお前の試練の場ではない。」
アバターが襲いかかった。
その一撃は派手ではなかった。
爆発的ではなかった。
決定的だった。
ヘラクレスは現実の層を突き破り、神聖なオーラを激しく揺らめかせながら、精霊界の地平線の彼方へと消えていった。
静寂が訪れた。
戦場が息を吹き返した。
精霊の女王マリアは私を見た――恐怖はなく、ただ畏敬の念だけだった。
「…あなたは私たちを征服しなかった」と彼女は優しく言った。
私は彼女の方を向いた。
「征服する必要はなかった」
精霊たちは頭を下げた。
服従のためではなく。
承認のためだった。
そしてどこか遠くで――
神々は理解し始めた。
彼らは反逆者と戦っていたのではない。
彼らは基盤に宣戦布告したのだ。




