第15話 冒険ギルドへの入会
数時間後、ついに冒険者ギルドの前に立った。
ああ、なんてこった。ここは巨大だった。今まで見たどの建物よりも巨大だった。高い石のアーチ、巨大な旗、そして鎧をまとった戦士、魔術師、そして盗賊たちが、まるでファンタジーのウォルマートのラッシュアワーのようにひっきりなしに出入りしていた。
私は低く口笛を吹いた。「…ここか。あらゆる異世界冒険の悪名高き出発点か。」
辺りを見回した。冒険者たちは武器を研ぎ、傷跡を見せつけ、巨大な木の板にピンで留められたクエストについて口論していた。ビールと汗の匂いが漂っていた。
「ああ」と私は呟いた。「ここは、すべての主人公がつつましい始まりを迎える場所なんだ。」
私は言葉を切り、隣にいるルナを一瞥した。彼女の虚ろな金色の瞳が部屋を見渡し、冒険者たちの集団が震え上がり、目をそらした。
「…というか、ほら」と小声で付け加えた。「主人公が、超能力持ちの時空ロリを連れてきたせいで追い出される場所よ」
私たちは中に入った。
ギルドホールは賑やかで、活気に満ちていた。テーブルに座る冒険者たちは、話を交わし、酒を飲み、笑い合っていた。マグカップがぶつかり合う音、カードがシャッフルされる音、そして時折、自制心の無い魔法使いが爆発する音。
そして大きな木のカウンターの向こうには受付嬢が立っていた。
20代後半くらいの女性。髪はきちんと結われ、制服もパリッとしていた。彼女は近づいてくる冒険者一人一人に、明るく微笑んでいた。
でも、彼女の目は…その目は、この仕事が嫌いだと叫んでいるようだった。
私はニヤリと笑った。「ああ、典型的な偽りの接客笑顔ね。ああ、その手口は知ってるわ。あなたはずる賢くないわね」
深呼吸をして、私は前に進んだ。ルナは、命令を待つ処刑人のように、私の後ろで静かに浮かんでいた。
カウンターに手を叩きつけ、にやりと笑った。「こんにちは!登録に来ました。」
受付係は瞬きをした。彼女の笑顔は揺らぐことはなかった。「…もちろんです。ご自身のために?」
「ええ」と胸を張って言った。「私の部下もいます。」
私はルナに大げさな身振りをした。
声が届く範囲にいる冒険者全員が振り返った。
部屋は静まり返った。
何十もの目が、ツインテールの小柄な金髪の少女を見つめていた。彼女は原子炉のような恐ろしいクーデレオーラを放ちながら、じっと立っていた。
受付係の笑顔がほんの一瞬歪んだ。「部下…ですか?」
「ええ」と自信たっぷりに言った。「ルナといいます。私と一緒にいます。」
私の後ろで、セレーネは両手で顔を埋めていた。ダリウスが聞こえるほどのうめき声を上げた。ロナンは既に近くの冒険者たちと、どれだけ早く追い出されるか賭け事をしていた。
受付嬢は丁重に咳払いをした。「…なるほど。では、新規冒険者はまず登録手続きを済ませなければなりません。こちらの用紙にご記入ください…」
彼女が言い終わる前に、ルーナが単調な声で話し始め、ホール全体に寒気が走った。
「…女主人様、この手続きを消していただく必要がございますか?」
ギルドの冒険者全員が、武器を半分抜いた状態で、即座に立ち上がった。
受付嬢はペンを落とした。
私はルーナの口を手で覆った。「違う、違う、違う!冗談よ!ただの冗談よ!冒険者の普通のユーモアよ!」
私は緊張して笑った。誰も笑い返さなかった。
「…それで」私は震える手で用紙を受け取りながら、弱々しく呟いた。「えっと…どこから始めればいいの?」




