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新しい女神  作者: ジュルカ
その リュウ アーク

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第146話 中央ゾーンの復元

混沌の王が消えた瞬間――いや、彼が独立した「物」として存在しなくなった瞬間――空気が変わった。


風ではない。


マナではない。


何かもっと深いもの。


まるで現実の計算が途切れ始めたかのようだった。


まず肌で感じたのは、まるで世界が本来あるべき姿を思い出そうとしているかのような、ゾクゾクするような感覚だった。


ニャの目が瞬き、瞳孔に記号が流れ落ちた。


「警告」と彼女は言った。「システム整合性障害を検知しました。」


アカリは鼻を鳴らし、まだ半分私の腕の中にいた頬に溜まった涙を拭った。「何が故障してるの? 例えば…学校のWi-Fiとか?」


ニャは瞬きもしなかった。


「セントラルゾーン。」


その名前は、まるで弔いの鐘のように響いた。


セントラルゾーンは国でも領土でもない。それは果てしないアーカイブ。積み重ねられたデータベースだった。無限の多元宇宙、無限の記録、無限のフレームワーク――データの中にデータ、データの中にデータが積み重なった「サーバールーム」。


そして、私たちはカオスキングの存在によって、それが消滅していくのを目の当たりにしたばかりだった。


私は急に振り返った。私たちの周りの空間――次元階層を超えた奇妙な虚無――は、今、ガラスのようにひび割れ始めていた。物理的にではなく、論理的に。


空中に銀色の細い線が現れた。まるで壊れたコードのように。いくつかは切れ、静電気となって崩壊した。


そして、その静電気は虚空そのものを蝕み始めた。


「ちくしょう」と私は呟いた。「ここを離れなければ」


ニャは一度首を横に振った。


「無理だ」


私は彼女を見つめた。「何ですって?」


「中央ゾーンを修復せずにここを離れれば」と彼女は冷静に言った。「サブゾーンはアンカーを失う。そして、そのサーバーアーキテクチャは連鎖的に機能不全に陥る。そして、それに依存する下位のフレームワークも次々と崩壊するだろう」


アカリの顔が青ざめた。「それで…全てが死ぬの?」


ニャは頷いた。


「全てがアンインストールされる。」


サルラはここにいなかった。


彼女はカオスキングによってトロフィーのように虚空の牢獄へと引きずり込まれ、今まさにサブゾーンは無限に続くジェンガの塔が崩れ落ちるように崩壊しつつあった。


アニメの主人公のように虚空に向かって叫びたい衝動を抑えながら、私はゆっくりと息を吸い込んだ。


「わかった」と私は言った。「サルラなしでどうやって元に戻すんだ?」


ニャの視線がアカリに向けられた。


アカリはそれに気づき、まるで狙撃兵に狙われたかのように、すぐに後ずさりした。


「…どうしてそんな目で見ているの。」


ニャは片手を挙げ、まるで単なる宿題のように彼女を指差した。


「アカリ」彼女は無表情で言った。「サルラを回収して。」


アカリは口をぽかんと開けた。


「何だって?!外なる神みたいな存在に進化したばかりなのに、ミッション回収をしろって言うの?やり方も知らないのに…」


「わかるわ」ニャは言った。「本能的にね。あなたの魂には今、矛盾とゲートウェイの権限が宿っている。彼女のエネルギーシグネチャーを見つけて、扉を想像すればいい。簡単よ」


アカリは両手を振り回した。「簡単だって?!お嬢さん、私、数学でマイナス1%で落第したのよ、いい?!」


笑いたかった。


泣きたかった。


しかし、亀裂は広がっていた。「空間」の一部がピクセル化された虚空と化し、そして消えていった。


これは劇的な破壊ではない。


これは消去だ。


アカリは大きく息を呑んだ。表情が変わった。恐怖はまだ残っていたが、何か別のものが重なっていた。


決意。


彼女は息を吐いた。


「…わかった。わかった!私がやるわ」


彼女は両手を挙げた。


最初は何も起こりませんでした。


その時、彼女のオーラが脈動した――赤と黒、優雅でいて激しい、まるで銀河から滲むインクのようだった。


彼女は目を閉じた。


「彼女の存在を感じる…」アカリは囁いた。


彼女の目の前にかすかな糸が現れた。震える青い光の線、まるで死にゆくスクリーンのように弱々しく。


「彼女は…傷ついている」アカリは呟いた。


ニャの声色は落ち着いていた。「集中して。道を想像して。門を創って。」


アカリの指がぴくぴくと動いた。


そして彼女は、私さえも黙らせるようなことをした。


彼女は呪文のように門を無理やり開けたのではない。


彼女はそれを招き入れた。


まるで大切な人のために扉を開けるように。


空気が裂けた。


円形の門が形作られた――縁はぼろぼろで、不安定で、定義されることを拒んでいるかのようだった。


アカリは歯を食いしばった。


「さあ…さあ…!」


門が開いた。


そして誰かがよろめきながら出てきた。


サルラは「地面」に足をつけた瞬間、片膝をついた。息を荒くし、髪は乱れ、ドレスはまるで一人で黙示録と戦ってきたかのように引き裂かれていた。


彼女はゆっくりと視線を上げた。


彼女は私を見た。


それからニャを見た。


それからアカリを見た。


「…聞かないで」サルラはしゃがれた声で言った。「中で何があったの?」


アカリは瞬きをした。「えーと…」


「聞かないで」サルラは真剣な顔で繰り返した。


私は両手を挙げた。「了解しました。質問は受け付けません。」


サルラは立ち上がろうとした。足が震えていた。


そして私たちの向こうに視線を向け、死にゆく中央地帯の崩れ落ちる亀裂を見た。


彼女の顔は真っ白になった。


「…ああ」彼女は静かに言った。「つまり、私たちは死ぬのね。」


「直せば、死ぬことはないわ」と私は言い返した。


サラは一度、乾いた、苦々しい笑みを浮かべた。「直す?どんなエネルギーで?私はもう枯渇した。蓄えは尽きた。私の真の姿は――」


声が詰まった。


彼女は何かを悟ったからだ。


ニャはまるで、これが危機ではなく、ただの迷惑だとでも言うように、サラを見ていた。


サラはニャを見つめた。「あなたは…心配していないのね」


「心配しているのは」ニャは答えた。「私はただ装備しているだけよ」


それから、サラの方へ軽く顔を向けた。


「サラ」ニャは言った。「あなたは中央地帯を修復するのよ」


サラの口元が引きつった。「私には無理」


ニャは反論しなかった。


彼女は手を差し出した。


「概念生成器」


その言葉は違和感があった。


まるでまだ存在するはずではないかのようだった。


ニャの掌から脈動が噴き出した――マナでも、エネルギーでも、データでもない。


エネルギーの概念以前の、エネルギーの概念。


それは洪水のようにサルラへと流れ込んだ。


サルラの体が反り返った。


彼女の目は砕け散るんじゃないかと思うほど大きく見開かれた。


「何…これは一体何なの…?」サルラは震える声で囁いた。「この量は…有限じゃない。無限じゃない。それは…」


「無限よ」ニャが言い終えた。


アカリは顎をぽかんと開けて見つめた。「無限って一体何なの?まるで…超無限?!」


私は答えなかった。


サルラのオーラが爆発したからだ。


彼女の肌から光り輝くコードの波が噴き出した。記号の列、フラクタル図、システムアーキテクチャ全体が、まるで生きた計算の輪のように彼女の周りに咲き誇った。


まず彼女の髪が変わった。


それは長くなり、流れるような青いコードへと変化した。まるでこれまで書かれたあらゆるプログラミング構文が彼女の髪に編み込まれているかのようだった。


彼女の瞳は水色のスクリーンと化した――深く、果てしなく、反射的な。


彼女のドレスは、ありえない何かへと展開した。幾重にも重なったデータシート、星座の模様、そして流れゆく方程式が、銀河を包み込もうとするかのように外側へと伸びていくガウン。


原始人が子供に頭を下げるのを見た、愚かにも壊れた元人間である私でさえ、喉が締め付けられるのを感じた。


「サラ…」私は囁いた。


彼女は頬をほんのり赤らめながら、私を見返した。


「…じっと見ないで」と彼女は恥ずかしそうに言った。「忙しいの。」


そして彼女は両手を挙げた。


私たちの周りの虚空が震えた。


現実のあらゆる亀裂が崩壊の途中で凍りついた。まるで時間そのものが停止したかのようだった――時間操作ではなく、システムの権威によって。


サルラの声が虚空に響き渡った。幾千ものハーモニーが重なり合い、まるでサーバーの合唱団が応答しているかのようだった。


「中央ゾーン再構築プロトコル」と彼女は言った。


彼女は指を広げた。


そして無限が戻ってきた。


徐々にではなく。


瞬時に。


まるで宇宙が存在すら知らなかったバックアップからファイルが復元されるかのように。


巨大な格子構造が出現した。光でできた果てしないサーバータワー。サルラが書き込むたびに、無限に積み重なったアーカイブが自ら再構築された。


世界はデータの塊として再形成され、


タイムラインはフォルダのように入れ子になった。


マルチバースはドライブのように積み重なった。


「データの中にデータ、そしてデータの中にデータ」という無限ループは、安定した再帰構造へと戻った。


セントラルゾーン――オムニバースレベルの概念すら玩具のように思えるほど巨大な構造――が、一つの、そして簡潔な動作で再び姿を現すのを、私は見ていた。


力ずくでではなく。


処置によって。


そしてサルラは拳を握りしめた。


最後の亀裂が閉じた。


静電気は消えた。


サブゾーンは安定した。


まるで宇宙が窒息した後に深呼吸をしたかのように、全てが正しい位置に戻った。


静寂が訪れた。


アカリはゆっくりと手を下ろし、まるで神がITを行うのを見守ったばかりのように見つめた。


「…つまり」アカリは静かに言った。「誰かが宇宙を修復するとは、こういうことか。」


サルラの真の姿が揺らめき、より穏やかな輝きへと安定していった。彼女は少し顔を背けたが、サブゾーンを文字通り支えているわけではないかのように、まだ顔を赤らめていた。


ニャはいつもの落ち着いた声で言った。


「最新情報:サルラは昇天しました。」


私は瞬きした。「何に昇華したの?」


ニャの目に記号が刻まれた。


「デジタル・プリモーディアル。」


私の魂が体から抜け出した。


「…待って。」


アカリはニャの方を向いた。「待って、待って。プリモーディアルって、ルナやフレイやローグみたいなもの?」


「ええ。」ニャは言った。


アカリの声は一オクターブ上がった。「一体全体、このパワーシステムって何なの?!」


サルラはぎこちなく咳払いし、頬がさらに赤くなった。「まさか…私が…したかったわけじゃないのに。」


「謙遜するのをやめなさい。」私は彼女を見つめたまま、即座に言った。「まるでアプリのバグを直すみたいに、セントラルゾーンを再構築したばかりじゃない。」


サルラはぶつぶつ言った。「…バグだったの。」


私は息を吐き、顔をこすった。


「わかった。」私は言った。 「リュウのところに戻る。今すぐだ。誰かが強くくしゃみをして、現実がまた壊れる前に。」


ニャは頷いた。「テレポート準備完了。」


アカリは自分の手を見下ろし、それからサルラ、そして私を見た。


「…それで、私は一体何なの?」と彼女は静かに尋ねた。


ニャはためらうことなく答えた。


「外なる神:カオスクイーン。」


アカリは顔をしかめた。「その名前、ちょっとメタルっぽいわね。」


それから彼女は少し間を置いた。


「…まだモールに行ってもいい?」


私は彼女をじっと見つめた。


「アカリ」と私は無表情で言った。「マルチバースを消し去るところだったわね。」


彼女は肩をすくめた。


「…わかった。でもね。モールも重要なのよ。」


サルラはため息をついたが、笑いをこらえているかのように口角がピクピクと動いた。


ニャの声は相変わらず真剣なままだった。


「最優先:リュウの元へ戻る。次善策:モール。」


私は顔を覆った。


「…人生が嫌だ。」


そして青白い閃光とともに――


私たちは消えた。


リュウの元へ。


「普通」に戻った。


ただ、何もかもが普通ではなかった。


今や私の弟子は外なる神、友人はデジタル・プリモーディアル、そして私の助手である妻は「restore.exe」と言えば多元宇宙を従わせることができる、この世で最も恐ろしい存在だった。


ああ。


この物語は長くなりそうだ。

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