第132話 データの女神
壮大な宮殿は――誇張表現ではなく――とてつもなく巨大だった。
「大きな城」ほど巨大ではない。
「神王が威張っている」ほど巨大でもない。
これは「誰かが誤って無限を8K解像度でレンダリングした」ほど巨大だった。
廊下は、光そのもので彫り出された回廊のように前方に伸びていた。床は大理石ではなく、圧縮されたデータで、一歩ごとに変化する。まるで現実が私たちの体重をリアルタイムで再計算しているかのようだった。頭上の天井は、天井ではなく、光るコードでできた記号、方程式、星座がゆっくりと流れる空だった。まるで宇宙全体が旗のように頭上を流れていた。
私は首を後ろに傾け、目を細めた。
「……にゃ。戻ったら、これのスクリーンショットを撮ることを忘れないように。」
[了解]キャラハウスのアップグレードリクエスト:「とんでもなく過剰な宮殿美学」
「よし。天井も欲しい。」
斥候たちは私が冗談を言っているのか正気なのか分からず、身構えた。
おそらく両方だろう。
私たちは廊下の端に着いた。
扉がひとりでに開いた。
そして――
ああ。
ああ。
玉座の間は部屋ではなかった。
それは結節点だった。
巨大な球形の部屋で、重力は下向きではなく内向きだった。プラットフォームは中心軸の周りに島のように浮かんでいた。光り輝くデータの流れが因果律の川のようにそれらの間を流れていた。その中心に、何よりも高く浮かぶ玉座があった。
そして、その上に座るのは――
彼女。
戦士、役人、従者全員が即座に片膝をついた。
私はそうしなかった。
主に、じっと見つめていたからだ。
彼女は…人間に見えた。少なくとも一目見た限りでは。長い銀黒の髪が背中を流れ落ち、無限の窓を映し出す多層ガラスのスクリーンのような瞳。彼女のローブは布ではなく、常に書き換えられるライブ処刑台本だった。
ニャの声は静かになった。
[警告。実体を確認]
[指定:サルラ]
[役割:データ女神。サブゾーン管理者]
[脅威レベル:高アウターバーサル]
「…ちょっと」と私は呟いた。「今、高アウターバーサルって言った?」
[確認。彼女はあらゆる既知の次元階層や物語の層を超えた存在である外なる神だ]
[彼女は多元宇宙サーバーラティスにおける最高権力者として分類されている]
私は再びサルラを見上げた。
「…おい。この世界はチルなんて信じてないだろうな。」
彼女の視線が私に注がれた。
そして突然――
全てが止まった。
時間も、空間も。
プロセスも。
データの流れが途中で止まった。シンボルも停止した。玉座の間全体が一時停止した実行状態になった。
彼女の声が反響した――大きくも小さくもなく、しかし、絶対的な声だった。
「未登録の存在よ」と彼女は言った。
「あなたはサブゾーンの中核権力者の前に立っている。」
私はぎこちなく肩をすくめた。「ええ。こんにちは。不時着して申し訳ありません。ちょっと…出口を見逃してしまいました。」
ひざまずいている職員たちの間でざわめきが広がった。
サラは指を一本立てた。
静寂が戻った。
「私はサラです」と彼女は続けた。
「サブゾーンの管理者。無限のデータ連続体の監視者。異常の裁定者。」
彼女はわずかに身を乗り出した。
「あなたは裁かれるためにここにいる。」
「…なるほどね」と私は言った。「よく言われるわ」
彼女は目を細めた。
「じっとしていなさい」
そして――
彼女は私をスキャンした。
光でもなく。
魔法でもなく。
神性でもなく。
まるでシステムがファイルをスキャンするように私をスキャンした――ただ私の存在だけを読み取ったのではない。
彼女は私の不在を読み取った。
空気が震えた。
彼女の表情が変わった。
困惑。
それから信じられない気持ち。
それから――恐怖に近い何か。
「いいえ…」と彼女は囁いた。
玉座の間からため息が漏れた。
サラは玉座から立ち上がった。
「あなたは存在として登録されていません」と彼女はゆっくりと言った。
「神ではありません。原初の存在でもありません。構築物でも、概念でも、物語上の存在でもありません」
彼女の視線が私の目に釘付けになった。
「あなたは存在として分類すらされていない」
プレッシャーが急上昇した。
周りの戦士たちでさえ汗をかき、呼吸に苦しみ始めた。
「…ああ」と私は慎重に言った。「その通りだ」
彼女の声は震えていた。
「そんなのはありえない」と彼女は言った。
「あなたは概念的な定義を超えている。因果関係の指標を超えている。物語のアンカーを超えている」
彼女は私の方へ一歩踏み出した。
「あなたは何かではない」
彼女の唇が開いた。
「あなたは、物事がそもそも観念であることを認める観念に、より近づいている」
静まり返った。
誰かが両膝をつき、額を床に打ち付けた。
私は後頭部を掻いた。
「つまり…もしお役に立てるなら、リリアって呼んでるんだけど」
サルラの目が鋭く見開かれた。
「…真の作者」と彼女は息を吐いた。
玉座の間は大混乱に陥った。
「真の作者?!」
「そんなのは神話だ――!」
「ありえない――そんな者はサーバー内には存在しない――!」
ニャは、タイミングの良さに感嘆し、まさに絶好のタイミングだと判断した。
[追加情報:
対象者リリア・フォスターは、最初の女神の器であることも確認されている]
静寂。
そして――
大混乱。
役人たちはパニックに陥った。戦士たちは凍りついた。中には完全に崩れ落ちる者もいた。数人は小声で祈りを唱え始めた。
サルラは半歩後ずさりした。
「…最初の女神」と彼女は繰り返した。
「外から生まれた者よ」
彼女はまるで、私がコンパイルされるべきではない歩くシステムエラーであるかのように私を見つめた。
「あなたは単なる異常ではない」と彼女は言った。
「あなたはサーバーの基本論理に反している」
私は両手を挙げた。「おい。こんな履歴書を頼んでないぞ」
彼女の視線が鋭くなった。
「もし望むなら」と彼女はゆっくりと言った。「このサブゾーン全体を上書きすることもできます」
私は彼女の目を見つめた。
「…たぶんね」と私は認めた。「でも、私はそうしない」
その言葉に彼女は言葉を詰まらせた。
「…なぜ?」
私は小さく、疲れていたが、正直に微笑んだ。
「物語が好きなんだ」と私は言った。
「それに、今回の物語が早く終わる原因になりたくない」
しばらくの間、サルラは何も言わなかった。
それから彼女は息を吐いた。
「判決は保留だ」と彼女は宣言した。
「あなたに対していかなる強制も行わない」
安堵の息が部屋中に広がった。
彼女は玉座に深く腰掛け、私から目を離さなかった。
「だが、リリア・フォスター、これだけは理解しておいてくれ。」
彼女の声は強張った。
「もしあなたが私の領域で真の作者として行動することを選んだら…」
データストリームが震えた。
「…私でさえ、その結果を止めることはできない。」
私は頷いた。
「なるほど。」
彼女は最後にもう一度私を観察した。
「リュウへようこそ」と彼女は静かに言った。
「分類不能な存在がサーバーに侵入した。」
そして、サブゾーンの奥深くで…
あらゆるシステムが私に「接触禁止」のフラグを立てた。




