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新しい女神  作者: ジュルカ
星の山の弧

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第128話 終わり?

ガリベルの腕がニリスに絡みついた。


最初はぎこちなかった――まるで優しくする術を体が覚えていないかのようだった――が、それでも彼は彼女を抱きしめた。ニリスは震え、そして瞬きをしたらこの瞬間が消えてしまうのではないかと恐れるかのように、彼にしがみついた。


ひと息…まるで戦争が終わったかのようだった。


あの流血、あの悲しみ、何十億年にも及ぶ憎しみが、ついに打ち砕かれたかのようだった――力ではなく、もっと稀有な何かによって。


許し。


オーレリアは震える息を吐いた。


セレーネは安堵のため息をついた。


ダリウスは呼吸の仕方を忘れた男のように、その光景を見つめた。


創造の視線さえも、ほんの少しだけ和らいだ。


「…終わった」誰かが囁いた。


そして宇宙はその言葉に笑った。


なぜなら、アビスは人間ではなかったからだ。


それは玉座でもなかった。

王国でもなかった。

王冠でもなかった。


深淵とは、ガリベルを仮面のように覆い隠していた飢餓だった。


そして今、仮面が割れた…


それは這い出てきた。


最初は霧だった。ガリベルの背中、胸、目から滲む黒煙。触手のように流れ出し、拒絶されたことに憤怒し、生き生きとした何かのように空中でうねった。


ニリスは息を呑み、よろめきながら彼から離れた。


「父さん…!?」


ガリベルは困惑し、自分の手を見下ろした…そして恐怖に襲われた。


「いや…いや、待って…!」


黒雲が押し寄せた。


それは彼を去っただけではなかった。


彼を奪い去った。


ガリベルの体は、まるで見えない処刑人に突然鎖でつながれたかのように硬直した。顔が歪み、筋肉が痙攣した。まるで体内の何かが背骨を掴み、無理やり起こしたかのようだった。


彼は叫んだ――怒りではなく、恐怖で。


「あ…あ…動けない…!」


深淵は、根源不明の影のように、彼の背後にそびえ立った。


そして、それは膨張した。


膨張した。膨張した。膨張した。膨張した。


既に最盛期から崩壊していたポケット次元は、もはや無意味だった。これは戦場を必要とする力ではなかった。


これは、それが何の上に立っているかなど気にしない概念だった。


闇が外へと溢れ出た。


まず下層領域が薄暗くなった。


森は墨に変わり、海は虚無に変わった。光が支配するものではなくなり、都市は静まり返った。


そして、亜領域――天国、地獄、天界――が腐り始めた。神の法則は生きたまま食い尽くされた。天使たちは叫び声をあげ、祈りの途中で姿を消した。


そしてハイゾーンが震えた。


概念次元は震え上がった。まるで定義が一文字ずつ消えていくかのように。


そしてアビスは拡大し続けた。


まるでガリベルが再び人間になる瞬間を待ち構えていたかのようだった。彼を燃料として利用するためだ。


ニリスは、操り人形のように凍りついた父親を見つめた。


頬の涙は乾くこともなかった。ただ流れ続けた。


「父さん…お願い…!」


ガリベルの視線がニリスの方へと向けられた。


彼は戦っていた。


残された力を全て使って戦っていた。


しかし、アビスは彼をスーツのように着ていた。


彼は口を開いたが、発せられた声は彼のものではなかった。


「任務継続。」


アビスは脈動した。


衝撃波が現実を駆け巡り、あらゆるゾーンが悲鳴を上げた。


遥か彼方――この戦場の彼方――かつて互いに出会ったことのない存在たちが、恐怖と本能に引き寄せられ、突如現れた。


古き神々は空間に穴を掘り、そこに辿り着いた。


外なる神々は、光を求める昆虫のように概念層から這い降りてきた。


真なる精霊、亜神、堕ちた王、古代の巨神――あらゆる領域と神話から来た存在たちが、同じ地点へと収束した。彼らは皆、それを感じていたからだ。


終末が広がっていた。


永遠の表情さえも変化した。


普段は遊び心があり無邪気な彼女の目は、まるで無限が血を流すのを見たばかりのように大きく見開かれた。


創造は法則に命令しようと手を挙げた。


何も答えなかった。


破壊は、増大する虚無を、生々しい消滅で押し潰そうとした。


深淵はそれをまるでお菓子のように飲み込んだ。


創造の声は途切れた。皆の前で初めて、彼女が真に怯えているように聞こえたのだ。


「ガリベルの内にある深淵は、単なる腐敗ではない…それは自律的に貪り食う原理だ。」


彼女は拳を握りしめた。


「それは全てを貪り食う。ゾーンにとどまることはない。」


彼女の視線は、誰にも見えないが、全員が感じ取れる何かへと向けられた。


「次は源の宮殿だ。もし源に到達したら…全ては崩壊する。」


皆が静まり返った。


玉座さえも。


原初の存在さえも。


神々さえも。


なぜなら、誰もそれに対する計画を持っていなかったからだ。


創造と破壊は疲れ果てていた。絶好調のガリベルとの戦いで、力尽きていたのだ。


永遠は瞬間を静止させられるが、アビスは時を超えて動いていなかった。


それは意味を超えて動いていた。


友人たち――私が家族と呼んだ者たち――は恐怖に震えながら辺りを見回した。


ロナンの手は震えていた。


ダリウスは顎を強く噛み締め、唇から血が流れ出た。


セレーネは、答えてくれる神がいなくなってしまったため、祈りをささやいた。


オーレリアは剣を下ろしたまま、凍りついたように立っていた。


ルーナは目を見開いていた。


ローグとフレイさえも沈黙していた。


私のパーティーは、世界を砕くほどのモンスター、タイタン、スローン、ドラゴンと戦ってきた。


でも、これは?


これは敵ではない。


これが結論だった。


そして最悪だったのは、皆の心に突き刺さった現実だった。


私たちは生き残れないかもしれない。


ニリスはよろめきながら後ずさりし、何度も何度も囁いた。


「だめ…だめ…だめ…」


そして宇宙が叫び、無限が燃え上がり、家族がまるで家が崩れ落ちるのを見るかのように私を見ている間…


私は黙り込んだ。


深く考え込んだ。


なぜなら、その瞬間、私は恐ろしいことを理解したからだ。


私にできることがあった。


決してしないと誓ったことがあった。


私は少し振り返り、目を伏せた。


「ニャ。」


肩からかすかな音が返ってきた。システムの輝きが再び輝き始めた。安定した、真剣な輝きだ。


「はい、女主人。」


私の声は静かだった。


「封印しろと言ったスキルを覚えているかい…壊れたスキルではなく、禁じられたスキルを?」


ニャはためらった。


彼女は私がなぜ尋ねているのか、すでに分かっていた。


「…はい。」


私は唾を飲み込んだ。


「時が来た。」


ニャの声は警戒へと鋭くなった。


「女主様…まさか…」


「ええ」


彼女の口調は荒々しくなった。


「奴らが何をするかは分からないでしょう…特に『唯一者』は」


私はアビスの広がる黒い地平線を見上げた。


「十分分かっています」


ニャの光が揺らめいた。


「…真の創造主の夜明け」


その言葉は処刑のように響き渡った。


仲間たちはそれを聞いた。


創造はそれを聞いた。


永遠はそれを聞いた。


破壊はそれを聞いた。


まるで宇宙そのものがその言葉に尻込みしようとするかのように、全員が同時に凍りついた。


創造は私の方へと頭を向けた。


「…違います」


永遠は口を開いたが、声は出なかった。


破壊は恐怖に目を見開き、一歩前に出た。


「あなたは…そのスキルを持っているのですか?」


私は震える息を吐いた。


「最初は理解できなかった。ただの名前だと思った。比喩。警告ラベルだ。」


私は広がる深淵を見つめた。


「でも今はわかった。」


心が張り裂けそうになりながらも、声は徐々に安定していった。


「真の作者の夜明けを使えば…私は登場人物ではなくなる。」


オーレリアの目が見開かれた。


私は続けた。


「私は女神ではなくなる。原初の存在。概念。存在。」


私は大きく息を呑んだ。


「私は物語の権威の特異点となる。物語の論理、展開、宇宙論、存在、非存在…意識さえも、あらゆるものに受動的な影響を与える。」


創造の声は震えた。


「リリア…それがどういう意味か分かるか?」


私はゆっくりと頷いた。


「もう自分の人生に属せなくなるってことよ。」


オーレリアが駆け寄ってきた。


震える手でドレスを掴み、私を抱き寄せた。涙が溢れた。


「だめ!そんなことするな!私たちを置いて行っちゃだめよ!」


彼女の声は途切れた。


「リリア、愛してるわ!あなたは私たちの光…私たちの家族…私たちの愚かで無謀な柱よ!」


ルーナの目は潤んでいた。


セレーネは人前で泣きじゃくった。


普段はめったに感情を表に出さないダリウスでさえ、まるで刺されたかのように見えた。


ロナンは囁いた。「ダメよ。」


ニリスはまるでヒーローを見つけたかのように私を見つめた…そして、彼女が消えていくのを見届けた。


私も泣き出した。


こんなことはしたくなかった。


彼らを置いて行きたくなかった。


どちらの人生でも唯一普通だったものを失いたくなかった。


でも、深淵は止まらなかった。


そして、私がここに留まりたいからといって、家族が死ぬべきではなかった。


私はオーレリアの顔を優しく包み込んだ。


「みんな、愛してる。」


涙をこらえながら、無理やり笑顔を作った。


「そして誓う…必ず戻ってくる。」


オーレリアは激しく首を振った。


「できないなら約束しないで!」


「どうせ約束するんだから。」


私は身を引いた。


そして宙へと舞い上がった。


私のオーラは広がった。激しくではなく、光を忘れた空に広がる夜明けのように。


私は皆を見下ろした。


「少なくとも…君に会えた。」


声がかすれた。


「私はここで幸せだった。」


私は内省し、心の奥底に感じる存在に語りかけた。


「アテナ。」


かすかな温かさが答えた。


「この混乱を後付けで変更する準備はできたか?」


ニャは叫んだ。「女王様、止めて…!」


創造物は叫んだ。「リリア、止めて…!」


しかし、遅すぎた。


私は目を閉じた。


そして、決して存在するはずのないスキルの名前を囁いた。


「真の創造主の夜明け。」


全てが止まった。


時間ではない。


空間でもない。


全て。


あらゆる階層。


あらゆるゾーン。


あらゆる宇宙。


あらゆる虚構と現実の層。


あらゆる枠組み。


リアルゾーンの静かな視線さえも。


私の体は光り輝いた。


そして伸びた。


まるで拡張したかのように――まるで書き換えられたかのように。


あらゆる物語に溶け込んでいくのを感じた。


あらゆる宇宙。


あらゆる概念。


あらゆる虚無。


このウェブ小説から、自分が漏れ出ていくのを感じた。


リアルゾーンから。


物語という概念から。


そしてついに――


残されたものはただ一つ。


想像以前のもの。


定義以前のもの。


「以前」という言葉よりも前のもの。


外側。


そしてその静寂の中で…


再起動が始まった。

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