表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新しい女神  作者: ジュルカ
星の山の弧

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/170

第100話 トレーニング開始

太陽が黄金の刃みたいに空を切り裂き、草原に昇る。


今日は、ただ星山マウンテン・オブ・スターズへ向かう旅路の一日じゃない。


“全ての終わり”を止めるための訓練が始まる日だ。


私も。


原初たちも。


不死者たちも。


皆まとめてだ。


《凡人の訓練──原初指導編》


最初に進み出たのは、ダリウスとロナンだった。


拳を握り、心を整え……

待っていたのは、混沌の原初・ローグ。


まるでパンクライブからそのまま出てきたようなジャケット。

狂気をコーヒー代わりに飲んでそうな笑み。


「よぉ坊主ども。

強くなりたいんだろ?

じゃあ──死ぬ覚悟しろや」


「ちょっ──」

「言い方!?」


遅かった。


ローグが地面に手をつけて――


BOOOOM!!!


草原全体が溶け、混沌エネルギーの異界アリーナに変貌する。


重力がひっくり返り、

山が出たり消えたり、

現実の裂け目が獣みたいに唸りながら周囲を巡る。


ローグはゲラゲラ笑った。


「十二時間生き残ったら半神デミゴッドにしてやるよ。

死んだら?

お前らが弱かったってことだ」


ダリウスとロナンの悲鳴を背に、訓練開始。


……生きて帰れよ。マジで。


フレイの領域──魔法の本質


次は、カエル、セレーネ、リラの三人。


彼らを待つのは生命と死の原初・フレイ。


銀河を髪の毛の先でくるくる巻きながら、上空に浮かんでいた。


「魔法は力ではありません。

意志。

魂。

そして“あなたが認めたくない自分”そのもの。

限界を壊しなさい……壊せないのなら、あなたが壊れなさい。

私は凡人を甘やかしません」


カエルはゴクリと喉を鳴らし、

セレーネは呼吸を整え、

リラはしっぽを膨らませる。


フレイが片手を振る。


空が真っ二つに割れ、

生命が無限に咲き誇る“陽”の海と、

死が万物を喰らう“陰”の海が渦巻く。


三人の修行が始まった。


アウレリア vs ルナ──神すら超える剣


アウレリアは、空間と時間の原初・ルナと対峙していた。


半神剣聖 vs 原初。


勝負にすらならない相手だ。


ルナの声は冷たく鋭い。


「もしエリサが真なる神へ至るのなら……

あなたはその先へ進まねばならない。


昇神アセンデッド”──

神性の限界を超えた存在へ」


アウレリアは息を呑む。


だが迷わず剣を構えた。


「いいでしょう。

限界なんて壊してみせる。

神ですら、私を恐れるほどに」


ルナの時空オーラが発動する。


空間が歪み、

時間がひび割れ、

現実が幾何学の悪夢に折り畳まれる。


そして地獄の剣稽古が始まった。


永遠エタニティの訓練──無限の未来


一方、永遠はアニーとナリを連れていた。


ナリは震え、

アニーはぽかんとしている。


永遠は天使みたいに可愛い笑顔を浮かべた。


その笑顔が一番危険だ。


「それじゃあ〜……

二人とも“無限の未来”を同時に体験してね♡」


「は!?!?」


黄金の渦に飲み込まれる二人。


千の自分。

万の人生。

億の未来。


全部いっぺんに流れ込む。


アニーの竜気は新星のように爆裂し、

ナリの盗賊本能は神域にまで高まった。


永遠はぱちぱち拍手。


「わぁい! 死ななかった! えらいえらい!」


……たぶん大丈夫だろ。たぶん。


フェンリル vs 無限狼


フェンリルの訓練はシンプルだった。


ローグとルナが言ったのは、たった一文。


「狼から生き延びろ」


フェンリル「狼って何の──」


GRRRRRRRRRRRRRRRR


数万頭の氷狼がどこからともなく出現。


フェンリル「無理無理無理無理!!」


セラフィナ──血の聖女、覚醒へ


セラフィナは木陰で静かに目を閉じていた。


魔力が膨らむ。


かつてザクに捕らわれた過去。

二度と同じ目には遭わない。


血が渦巻き、

大地が割れるほどの殺気を吐き出す。


「誰にも二度と縛らせない……

神にも、虚無にも、運命にも」


創造すら彼女を一瞥して呟く。


「面白い……この吸血鬼は、独自の超越に至るかもしれませんね」


私の訓練──創造の小宇宙


そして──私。


創造が手を上げた。


優しい波動が広がり――


世界が“消えた”。


転移でも、歪曲でもない。

消滅。


気づけば私は“無”にいた。


空もない。

地もない。

音も色も時間も空間もない。


存在の量子すら存在しない場所。


創造だけが立てる領域。


そこに、私。


創造は銀河の髪を靡かせながら浮かぶ。


「ようこそ、リリア・フォスター。

ここは私の訓練領域。

原初ですら、私が許さねば立てない場所です」


私はゴクリと喉を鳴らす。


怖くない。

怖くないぞ。


……うん、やっぱ怖い。


でも拳を握った。


「創造。

準備はできてる。

やろう」


創造が手を伸ばした。


その瞬間――


現実が砕け散った。


壊れたんじゃない。

割れたんでもない。


“砕けた”。


宇宙鏡が永遠に爆ぜるみたいに。


法則、概念、宿命、次元、時間──

存在の破片が渦を巻く。


創造が言う。


「第一課題。

“自分という概念”を制御しなさい。

原初の本質は物質でも精神でも霊魂でもない。

概念そのもの。


“自分の存在アイデア”こそが真の形。


それを掌握しない限り──

深淵の王に書き換えられます」


彼女が指を弾いた。


概念の塊が星になり、

竜になり、

宇宙になり、

“私”になり、

また別の“私”になり、

さらに百の“リリア”が生まれる。


無数の“私”が周囲に立つ。


創造は微笑む。


「さぁ、第一課題。

本物の“あなた”はどれですか?」


背筋が凍る。


ニャが脳内で警告を鳴らした。


【警告:概念過負荷レベル7】

【ユーザーの存在定義が揺らいでいます】

【即時の感情アンカー推奨】


「わ、私は……私だ。ただそれだけ──」


創造が首を振る。


「それでは足りません。

あなたはもう原初。

“自分”を定義できなければ……

深淵の王が代わりに定義しますよ」


心が震える。


でも、拳を握りしめ──


オーラが燃え上がる。


「私は、リリア・フォスター!!!

自由の女神!!!

“無限複写”の原初!!!

家族を守る者!!!

虚無だろうと誰だろうと──

私を決めつけさせるかぁぁぁ!!」


周囲の“私”が全て溶けた。


概念が私の宣言に従う。


創造が嬉しそうに微笑む。


「よろしい。

では第二課題。


──私と戦いなさい」


私は固まった。


「……え?」


創造が手を上げる。


銀河が渦巻き、

小宇宙が震え、

彼女の瞳が超新星より眩く光る。


「戦いなさい、リリア。

“女神”という概念すら超えるまで」


胃が落ちる音が聞こえた。


「ちょ、ちょっと待っ──」


「始めましょう」


背後で星が爆ぜ──


創造が消えた。


私は叫んだ。


そして、本格的な地獄の訓練が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ