第10話 神々を模倣する
ちくしょう。
もうじっとしていられなかった。他の連中はひそひそと言い合い、パニックに陥り、祈りと希望で月ほどもある巨人を止められるかのようなふりをしていた。私が?待つようには生まれてこなかった。
だから私は突進した。
教会の中へまっすぐ。
大きな木の扉を押すと軋んだが、私の気分にはそれでは物足りなかったので、蹴り開けた。
ドカン!
その音は聖堂に雷鳴のように響き渡った。
中には誰もいなかった。司祭も、修道女も、聖歌隊の少年もいない。よかった。これから起こることは、見苦しいものになるだろうから。
私は書庫へとまっすぐ駆け込んだ。何列にも並んだ棚、巻物、聖典が、まるで退屈な聖なる図書館のように積み重なっていた。
そして私は本を破り、投げつけ、狂ったように床に積み上げた。
「何でもいいから!」私は呟いた。「さあ、手がかりか地図か、神のカンニングペーパーか、あの馬鹿げたドミニオンの印がどこにあるかを教えてくれる何かが、きっとあるはず!」
背後で、不安げな足音が響いた。
「リリア!」セレーネの声は非難めいて鋭かった。「何をしているの? 不謹慎よ! こんな風に神の王国を冒涜するなんて、許されないわ!」
私は腕いっぱいに巻物を散らばらせ、彼女に振り返った。
「申し訳ありません、聖杖姫様。でも、踏み潰されて絶滅しない方法を探しているんです!」
彼女は私の声量にたじろいだが、引き下がらなかった。いかにも巫女らしい。
「これらの書物は神聖なものよ! こんな風に…」
「お願い!」私は怒鳴りつけ、巻物を空中に投げつけた。ページが死にゆく鳩のようにはためいた。「こんなのは全部賛美歌か聖歌だ!『神よ、我らを祝福したまえ、神よ、我らを導いたまえ』などと、どうでもいい!くしゃみ一つで大陸の半分を消し去ってしまうような巨人を、どうやって止めればいいのか、そんなことは教えてくれない!」
セレーネの唇が細く結ばれ、一瞬、罪悪感が私を突き刺した。彼女はこんなものを信じていた。私は?そうでもない。
私は両手で銀髪をかき上げ、怒りに駆られて歩き回った。「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!私たちは死ぬ。死んでも神々はただ見て笑うだけ!」
声がかすれた。全ての重みが私にのしかかった――巨人、逃げること、そして私が既に引き起こした破壊。
私は聖なる書物の山に崩れ落ち、まるで神の残骸のように崩れ落ちた。「…もうだめだ。」
その時――ある考えが浮かんだ。
むち打ちになりそうになるほど急に起き上がった。金色の目で部屋の中を見回した。
「セレーネ」と私はゆっくりと言った。「ここ。教会でしょ?」
彼女は瞬きをした。「…当然ね。」
「いや、つまり…」私は身を乗り出した。「この場所に聖なる魔法が?神々の魔法が?」
彼女はためらった。「…もちろんよ。教会は神の存在を宿す器として建てられるのよ。壁も、祭壇も、空気さえも聖なる魔法で満たされているの。」
私は満面の笑みを浮かべた。
「ああ…どうしてもっと早く思いつかなかったんだろう?」
セレーネは眉をひそめた。「考えてみれば…」
私は立ち上がり、トーガについた灰を払い落とした。狂気じみた考えが脳裏に根を下ろし、心臓がドキドキと高鳴った。
「いいか、聞いてくれ。もしこの場所が神聖魔法で満たされているなら…」
私は手を掲げた。手のひらに火花が散り、私のチートな存在の象徴が胸の中で燃え盛った。
「…なら、コピーするよ。」
セレーネの目が大きく見開かれた。「待って…できない…」
「もう遅い!」私は叫んだ。「コピー!」
世界が凍りついた。
私の目は青く燃え上がり、教会全体をまるで設計図のように見渡した。彫刻が施された壁、ステンドグラスの窓、天井から差し込む聖なる光の線…あらゆるコードと神聖な文字が視界に溢れた。
私はすべてを見た。
祭壇は何世紀にもわたる祈りの音色を響かせていた。壁は王国よりも古い防護の結界でかすかに輝いていた。床さえも神聖さを放ち、タイル一枚一枚には、はるか昔に忘れ去られた祝福のささやきが宿っていた。
そして私はそれを手にした。
全てを。
[完全コピー発動]
[獲得対象:聖域コア]
[スキル作成:神権]
[スキル作成:聖域]
[スキル作成:神々の声]
魔法は炎と雷鳴のように轟き、しかし燃えるのではなく、体にフィットした。肌は輝き、髪は銀の炎のように揺らめき、全身に力がみなぎるにつれ、声は震えた。
私は息を呑み、よろめきながら前に進んだ。「わ…感じる。これは単なる魔法ではない。信仰そのもの。幾千もの人々の信念が凝縮されている。」
ニャの声が、いつものように得意げに口を挟んだ。
[訂正:あなたは神権魔法をコピーしただけではない。それを完璧にしたのだ。あなたは今、あらゆる司祭、パラディン、教会関係者よりも優れた権威を持つのだ。]
セレーネは杖を落とし、顔面蒼白になった。 「え、あなた…教会の聖なる基盤をコピーしたんですか?!」
私は振り返った。目はかすかに金色に輝いていた。声は重なり合い、聖歌隊のように響き渡った。
「ただコピーしただけじゃないわ、セレーネ」微笑んだ。その時は少し得意げすぎたかもしれないが。「アップグレードしたのよ」
彼女は畏怖と恐怖の間で引き裂かれ、膝をついた。
「あなた…まるで女神ね…」と彼女は囁いた。
私は顔をしかめた。「ええ、思い出させないで」
でも、心の中では?興奮を否定できなかった。
私はもはや、ただのバグだらけの転生者ではなかった。火、水、土、雷、影、空間――そして今や神の権威そのものをも手に入れていた。
外の巨人が再び地面を揺らし、低い轟音が地平線に響き渡った。
私は拳を握りしめ、炎と閃光を放った。一緒に。
「…よし、エルダー・タイタン。神様ごっこをするか?」
炎と神性が血管の中で融合し、私の目は燃え上がった。
「わかった。神々の完璧なコピーと戦うのがどんな感じか、見てみよう。」