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白雪姫になるための魔法  作者: sin
長い長いプロローグ
4/9

03

そうして勉強をしているうちに、アリーシャの成績はメキメキ伸びていった。

成績という形で一番結果が出たのは数学だったが、たくさんの知識をつけることにより、視野が広がり、考え方が柔軟になった気がした。

がり勉とクラスメイトに馬鹿にされて笑われたが、アリーシャは昔ほどその言葉を気にしたり、傷ついたりすることはなくなった。

心が強くなったというより、考え方が変わったように感じた。

悪口を言ってくる相手は、そういう人を(おとし)めたりする方法でしか自己顕示欲を満たすことができないのだと、憐憫(れんびん)すら抱くようになった。


***


アリーシャの留学が決まる前に、アリーシャに日本語を教えてくれていた美奈(みな)が、日本に帰ることとなった。

というのも、実は美奈(みな)が妊娠し、安定期に入った為、当初の予定より早めの帰国となったのだという。

父は約束通り彼ら夫婦の借りていた家の庭の手入れをきっちり行っていたようで、美奈(みな)の旦那さんである陽介(ようすけ)は父にとても謝していた。

彼らが日本に帰るなんて話が出た時に発覚したのだが、父は庭の手入れの後に、美奈(みな)の手料理をご馳走になったりしていたのだという。

その中には日本の家庭料理も含まれていただなんて聞いてしまい、アリーシャだけでなく、弟と母からもずるいと非難轟々(ひなんごうごう)だった。

そんな話をアリーシャの父が、美奈(みな)の旦那さんにしたらしく、旦那さんごしに話を聞いた美奈(みな)が、帰国前に小さなホームパーティーを開いてくれた。

美奈(みな)が妊娠中ということもあり、参加したのはアリーシャの家族と主催者夫婦だけの、本当に小さなパーティーだ。

鬱一歩手前まで暇を持て余して料理を作り続けていたという過去がある、美奈(みな)の手料理で彩られたテーブルを囲んでのパーティーは、大変楽しく、そして美味しい料理ばかりだった。

アメリカで手に入る食材で作られた料理は、日本でいつも食べている味とは少し違うらしいが、唐揚げも餃子も玉子焼きも、アニメで見たことがある料理に弟と一緒に大興奮しながら食べ、全部が全部美味しかった。


そんな楽しいパーティーを過ごした数週間後、彼らとはお別れとなった。

今までずっと、アリーシャに勉強を教えるために一生懸命だった美奈(みな)と別れるとなって、アリーシャは寂しくて仕方なかった。

連絡先はもう貰ってあったが、時差があるため通話なども頻繁に行えるわけではないだろうし、毎週の授業はなくなってしまうのも悲しい。

空港まで見送りに行った先で、感極まって泣いてしまったアリーシャに、美奈(みな)も貰い泣きをしていた。

美奈(みな)の住まいは東京にあるのだという。

関東圏内なら間違いなく、そうでなくても日程を調整して絶対に行くから、留学先の学校が決まったら絶対連絡してほしいと、約束をして彼女たちは帰国していった。


***


高校留学にあたって必要な、ビザだとか、留学先の高校だとか、アリーシャの住む場所だとかの手続きは、両親がやってくれることになっていた。

ミドルスクールの卒業は六月、日本の高校の入学式は四月だ。

日本で高校生になるには、十五歳からということなので、アリーシャは少しの間だけハイスクールに通い、四月に日本の高校に正規留学することになる。

高校生になるという話が近づけば近づくほど、アリーシャの心は落ち着かなく、指折りでその日を数えるようになっていった。


その間にやらねばいけないこともある。

受験勉強はそれはもう毎日のようにやっているから、それではない。

やらなければいけないこと。

それは、家族との思い出作りだ。

今生の別れというわけではないが、毎日一緒にいる家族と、三年間会えなくなってしまう。

美奈(みな)の帰国ですら、あんなに悲しかったのだ。

家族との別れはもっと悲しいに違いなかった。

十歳の頃に頼った掲示板でも、大人たちは両親を大事にしなければいけないと言ってくれた。

アリーシャはその言葉を、今だって大切に覚えていたのだ。

家族で公園へピクニックへ出かけたり、母親であるイザベルに、故郷の味が恋しくなるかもと料理を教えてもらったりもした。

父のアントニオと、弟のエミリオは揃って映画好きで、アメリカ映画から日本のアニメまで、何でも観ているので、母も楽しく観られるジャンルのものは、家族全員で集まって観るようにして、同じ話題で盛り上がり、家族団欒、とても良い時間を過ごせるように努めた。

出かける毎にコツコツと写真を撮って、いい写真は印刷して、リビングにあるコルクボードに飾っていった。

特にアリーシャの映っている写真を多く飾って、アリーシャは家族の映っている写真を自分のスマートフォンに保存していった。


こうしたお別れの準備をしている時間が、アリーシャは少し悲しくなって苦手だった。

一生の別れではない、三年経ったら戻ってくる。

日本の留学は、自分があんなに泣いてまでやりたいと願った夢なのだ。

それでも、やっぱり寂しいのは寂しいのだ。

高校への正規留学については、一応調べはしましたが、資料請求などを行ったわけではないので、正しい情報でない可能性があります。申し訳ありません。

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