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翌日火曜日の昼休み、冴が漸く顧問が決まったので、放課後は部室で着替えて第二体育館に集合と教えてくれた。
着替える必要があるのかと疑問の声が出たが、演劇部は体力も必要だから準備運動の他走ったりしたほうがいいとのことで、放課後の運動を覚悟しておくように言われた。
午後の授業はいつも少し眠くって、たまに船を漕ぐこともあったアリーシャだが、今日ばかりは、顧問となった先生はどんな人だろうかだとか、部活動はどのようなことをするのだろうかとか、そんなことばかり考えていたため、気はそぞろとなったが、眠たくはならなかった。
「と、いうことで。顧問の先生は原先生になりましたー、拍手」
放課後四人で集まって、部室で着替え、冴が持ってきた第二体育館の鍵を使って体育館を開けて、誰もいない、第一体育館よりも小さな体育館が、なんだか特別な空間に思えて、なんとなく追いかけっこが始まって騒いでいたら、いつの間にか冴が消え、制服の真由美と悠紀がやってきて、そして冴が顧問の原先生を連れて戻ってきたので、体育館入口付近で全員集合となった。
「はーい、よろしくね。私は劇とかはやったことないから、名ばかりの顧問になっちゃうけれど、こう見えて家庭科の先生だからね。衣装とか作るっていうなら協力できるよ」
冴に促されてまばらに起きた拍手が終わった後に、原先生はそう自己紹介をしてくれた。
原 早織先生は、自己紹介の通り家庭科の先生で、長い髪をいつも一つにまとめて縛っている、はきはきとした女性の先生だ。
「んじゃこっちも先生に自己紹介ね。私が部長の笹島 冴です。部活はできたばかりですが、部長として頑張るのでよろしくお願いします」
「あ、じゃあ次は私か」
冴の自己紹介が終わったの見て、隣に立っていた真由美が自己紹介を始めた。
どうやら座っている順番で自己紹介をしていく流れのようだ。
「四組の佐藤 真由美です。台本を担当しています。まだ台本が途中なので、暫く部活動に参加というよりは、一人で台本を書いていると思います。よろしくお願いします」
「三組の花森 美緒莉でーす。衣装担当を目指してます。原ちゃん先生、家庭科室のミシンって使えたりする?」
自己紹介の途中での質問に、原先生はちゃんと答えてくれた。
「使えるよ、糸も布も結構古いのがあって、最近使われてないから、これを機に使ってくれてもいいって許可も取ってきてあるよ。いい色の物はあんまり余ってないかもしれないけど、使えるものは使いなさい」
「わあ、やったあ、すごーい。ありがとー原ちゃん先生」
顧問が決まるまでに時間はかかったが、決まってからはきっちり仕事をしてきてくれたようだ、非常に頼もしいばかりである。
美緒莉の質問が終わったところで、自己紹介がアリーシャの番となった。
「三組のアリーシャです。文化祭で白雪姫をやりたいと言ったのは私なので、精一杯頑張りたいです、よろしくお願いします」
「二組の関田でーす、よろしくー」
「あ、同じく二組の清水でーす。俺は英会話部との掛け持ちなんであんまりいなんですが、よろしくお願いしまーす」
アリーシャがそれなりに一生懸命行った自己紹介の後に続いた二人の自己紹介が、あまりにも適当で、アリーシャは心の中で小さくコノヤローと悪態をついてしまった。
全員の自己紹介が終わると、原先生は笑顔で拍手をしてくれた。
「はい、自己紹介ありがとう、よろしくね。先生は基本的に何かあった時にしか顔を出さないので、何かあったら呼びに来てね。基本的に職員室か家庭科室にいると思うから」
この間、部室の掃除をしていた時に職員室にいたテニス部顧問の前島先生然り、顧問の先生は指導者というわけではないので、部活動に付きっきりというわけではないようだ。
尤も演劇部に付きっきりでいてもらっても、何もやって貰うことはなさそうではあるが。
「十二月は期末テストも冬休みもあるから、そんなに活動できないと思うけれど、年明けまでには私も家庭科室の余っている布とかの整理をしておくから、来年には衣装の話とかもできると思うので、その時は私からも声をかけるよ。先生も顧問として何ができるかわかってないから、その都度一緒に相談しながら頑張っていきましょう」
部の活動に手探り状態なのはお互い様のようだ。
それでも原先生の心強い言葉に、皆よろしくお願いしますと頭を下げたので、アリーシャもそれに続いた。
挨拶を終えた原先生は、その後仕事があると去って行ったので、それに続いて挨拶のために来ただけという悠紀は英会話部へ、真由美は台本をやると去ったので、第二体育館に残ったのは、結局いつもの四人だけとなった。




