南の島のやさしい歌声
美香子は6時少し前に特設ステージ前に着いた。波の音のBGMが流れている。近くで飲み物が売っていたので迷わすオリオンビールを買い、飲みながら歌姫の登場を待った。
彼女の名前はEcho。ハワイ出身、石垣島在住のシンガーソングライターと入場の時にもらったチラシには書いてあった。のんびりとビールを飲んでいるとBGMが止まってEchoが登場した。「こころのうた」「涙のRAINBOW」をギターを弾きながらあの素晴らしい声で彼女は歌った。母の死で冷たくなっていた心をマッサージするような歌声。美香子は子供のように涙を流した。
Echoがステージを終えたので美香子は彼女のCDを買いに行った。ミニアルバムを3枚買った。パソコンを持ってこなかったので明日CDウォークマンを買いに行こう。美香子がビールを買いに行ったら、この前行った「あだん」の店も観に来ていた。Echoと知り合いらしく英語で何やら話していた。美香子は今夜の余韻を抱えて宿に帰った。
宿のオーナーに今夜のライブの話しをしたら、「古いけど使って」とCDラジカセを貸してくれた。ありがたい。ビールを飲みながらEchoのCDを聞いていたら、いつの間にか美香子は眠っていた。
目が覚めたら夜中の二時だった。とてもいい気分だったので、外に散歩に出た。空には大きな月が出ていた。
美香子は明日、自分のアパートに帰る決心をした。