表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね  作者: 星井ゆの花(星里有乃)
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/27

13


 アランツ王国の召喚技術やゴーレム魔法は、大陸随一だ。辺境地の修道院周辺は開拓がほとんど進んでおらず、一部の農地を省いては、手付かずのまま放置されていた。

 近日中に辺境地の半分はアランツ王国の領土となり、本格的な聖女派遣地の拠点になる予定だが、それに伴うための建築工事の早さは目を見張る。


 いつもなら午前中は奉仕活動として、ギルドや病院に届けるポーションの制作を行う時間帯だが、しばらくはギルド始動までの手伝いがメインだ。

 工事現場は人間も複数いるが、親方は熟練のドワーフ族が仕切っていて、そろそろ休憩時間の頃あいだった。


「まぁ! 昨日の夕方確認した時よりも、建築がかなり進んでいるわね。皆さん、お疲れ様! 差し入れのバケットと飲み物よ! お昼には、大鍋で作ったお肉ゴロゴロシチューが届くから、待っててね」

「おぉっ。美人さん達からの差し入れで、ますます精が出るよ。ビーフシチューは院長の特製かな、ありがとね。まぁドワーフと人間だけじゃ夜半は工事が出来ないけど、ゴーレムや建築魔法を併用してるから、夜の時間も活かしてどんどん建築が進むんだよ」

「アランツのゴーレム技術は凄いと聴いていたけど、想像以上だわ。辺境地に来てからもう2年経つけど、だんだん拓けていって活気付くのかと思うと楽しみが増えるし。そのためにも、ギルドでお役にたたないと」


 今日のルイーゼの予定は、ギルドに冒険者として正式登録を済ませて、サブジョブを上位職まで解放し、ハンナやカナリヤとパーティー登録するところまで進めることになっている。


「お嬢さんは、確かなんとか令嬢で黒魔法が得意なんだっけ? 魔力強すぎで国から出されちまったってもっぱらの評判だが、そんな凄腕魔法使いならギルドは大助かりだ! 無茶は禁物だが、お嬢さんの才能を困ってる人達に役立てておやりよ」

「ふふ。ありがとう! 親方さんも、無理しないでね」


 意外なことにドワーフたちの間では『悪役令嬢ルイーゼは、強力な魔力ゆえに恐れられて国外追放になった』という噂になっていたらしい。結果としては黒魔法というより、聖女としてのスキルの方が稀有だったわけだが。ギルド的には聖女特有の施設魔法の一つ防御壁魔法よりも、実際のバトルで役立つ黒魔法の腕に期待がかかっているのだろう。


「わぁ見てください、ルイーゼ! 間近で見ると結構立派なログハウスですよ」

「あら、本当に!」


 まず、ギルドの受付業務のための数日で建ったのがこのログハウスだ。現時点ではここがギルドの本拠となるだろう。面積としては一般家屋程度の広さで、本命の建物が完成したらそのままギルドの武器防具店として営業するそうだ。


 ドアを開けるとチリンチリンとベルが鳴り、新しい暮らしが始まる予感が響いた。



 * * *



「ようこそ、アランツ王国修道院ギルド支部へ。冒険者登録の希望者は、スキルパネルリストからジョブを選んで申請してください。パーティー登録はそれからになります」


 カウンターのギルド受付嬢からリストを受け取り、記入用のテーブルへ移動。ハンナやカナリヤもそれぞれスキルパネルと睨めっこだ。


「これが、スキルパネルリストか。いろいろ注意点が載っているけど……黒魔法の使い手が気をつけたいこと一覧?」



【黒魔法の使い手が気をつけたいこと】


 ①魔法を封じられた時の対策

 魔法使いは遠距離攻撃など多彩で、非力な女性に人気の職業です。しかしながら、実戦では魔法を封じるスキルや道具を用いて、攻撃手段を失う可能性があります。物理攻撃に対応した装備をしたり、サブジョブを物理攻撃可能なものにしましょう。


 ②マジックポイント切れにならないように

 魔法を封じられる以外にも、バトル前半に魔力を使いすぎて後半負けるという冒険者も少なからずいます。初心者にありがちな敗戦パターンに陥らないように、魔法力回復アイテムを一つは携帯しましょう。


 ③スキル付き武器やアイテムによるサポートもオススメ

 どんなに対策を練ったとしても、時と場合によって魔法が封じられたり魔力切れになることもあります。魔法使いは基本的に誰かとパーティーを組んで、すべての魔法が使えない場合はサポート係に徹することも考えておきましょう!



「ふむむ。黒魔法が得意なルイーゼに対して、魔法を封じられた時の対策を……と」

「確かに、悪い連中なら魔法使いへの最大の対策は魔力封じのはず。風の噂によると、魔族と一部の人間が組んだという話だ。コルネード王国は聖女の防御壁が作れないし、魔族サイドに流れた人間もいるってことだから」

「えぇっ? その話は本当なの、カナリヤ」


 人間が魔族と手を組む。

 元冒険者のカナリヤは当然のように淡々と話しているし、珍しいことではないのだろう。

 悪役令嬢ルイーゼを目の仇にする者がいるであろうコルネード王国なら尚更。


「じゃあ、必然的にサブジョブは物理攻撃に長けてそうなものを考えるしかないわね。けど、私の持つスキル三要素から作れる上位職で、魔法依存無しでもやれそうなものなんて……。あとは土地属性を確認するしかないけど」


 地母神との誓いで祖国の地と縁を切ったルイーゼの土地属性は、現在では辺境地に変更されている。

 そこで一つだけ、辺境地属性と聖女スキルを合わせたことで解放されるルートが目に留まった。


『かつて古代時代はコロシアムで闘う者が多かったという辺境地属性の者には、グラディエーターが解放されます。魔法使いなら魔法が得意なグラディエーターという強力なバトルジョブになるでしょう。特別職の聖女を持つ場合には、グラディエーターを取得後に、剣聖へとランクアップが可能です』


 すっかり忘れてたが、コロシアムの歴史を持つ辺境地ならではの地域属性上位職はグラディエーターだ。即ち、剣闘士。さらにルイーゼはすでに特別職の聖女を持っている。


「グラディエーター経由の剣聖ルート……?」


 意外なところから、ルイーゼの『聖女にして剣聖』という次の目標が見え始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ