菜々子の過去3
「・・・本当は石橋さんと友達で川端さんにその事を隠しているとでも?」
「そうは言っていません。あなたの態度を見ていれば少なくとも菜々子ちゃんを知らないか、もしくは覚えていないかのどちらかかと。」
自分が石橋さんと知り合い・・・。駄目だ、全く分からない。
幼い頃の記憶というのは個人差があるが大体3〜4歳ぐらいから残ると、ネットか何かで見たことがある。つまりは幼稚園に入園する時期辺りからは多少なりとも記憶が残っているということである。
広大は卒園式辺り以降の記憶はかなり明確に残っているが、それ以前の記憶は曖昧で断片的なものとなっている。勿論おかしなことではない。あくまで
3〜4歳頃から記憶が残りはじめるだけで全てを覚えている方がむしろおかしい。
「すまんが、記憶に無いな。」
「・・・そうですか。謝ることはありません。
菜々子ちゃんに問い詰めてみるしか・・・。」
「・・・なあ。川端さんが石橋さんのために何かしらの考えがあってこんな話をしてるのは分かったから、もし俺にして協力して欲しいことがあるなら言ってくれよ。あまり、石橋さんにストレスを与えるようなことはしないで欲しい。」
あと、この際だからずっと気になっていたことも言ってしまおうか。
「あと・・・。ずっと気になっていたんだが、何でタメなのに敬語を使うんだ?」
「やめて欲しいのですか?」
「まあ、出来れば。」
「なら、私に死ねとおっしゃるのですね。」
「おいおい、どこがどうなってそうなるんだ!?」
「冗談です。ただ物心ついた時からこの喋り方ですので、これが一番落ち着くのです。」
「・・・分かった。」
「まああくまで敬語で話しているだけで、別に石川くんや菜々子ちゃんのことを敬う気持ちはカケラもありませんので、安心してください。」
「何も安心できないが。」
広大は少し安心した。昨日あれだけ出ていたマシンガンジョークがここまで全く出ていなかったが、ここにきてやっと出たからだ。
「では、お願いを一つだけ。菜々子ちゃんと友達になってあげてください。」
「・・・そんな事で良いのか?」
「そんな事じゃありません。さっき言いましたよ。
菜々子ちゃんは私以外に友達がおらず、軽い男性恐怖症だと。」
「そういえばそうだったな。・・・そう言えば、
何で男性恐怖症に・・・。」
「あの男・・・いえ、お父様の仕業です。」
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