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菜々子の過去2

 由香里は表情を変えることなく話を進める。


「石川くん、昨日菜々子ちゃんと初めて話してみてどういう印象を持たれましたか。」


 段階を踏んでとは言っていたが、えらく根本的な話を由香里はしてきた。

(それが昨日の話とどう繋がるんだ。)

とは思いつつも、質問に質問で返してばかりでは話が平行線を辿るばかりだ。


「基本的には気さくで話しやすい。友人も多そう。

そんなところだ。」

「・・・でしょうね。ほぼ想像の通りの回答です。

ですが、私の知る限り菜々子ちゃんに友人と呼べるような人は、私以外にいませんね。」


 広大は由香里の意外な発言に少し驚いた。だが、広大自身、学校や部活以外で付き合いのある人間と言えば新太を含む同じ野球部の同級生三人だ。そういう意味では由香里の言うことも分からなくはない話である。


「要するに誰とでも普通に話せるだけだけで、特に仲良くしようとはしない、ということか。」

「そうですね。少なくとも女子に対しては。」


 由香里はまた、含みのある言い方をした。


「人によるだろうが、俺だって普段女子と話すことはないぞ。必要な時以外は。」

「石川くんとは違います。菜々子ちゃんは必要な時でも男子と話しません。いえ、話したくない、話せないと言った方が正しいでしょうか。」


 由香里の言葉から広大の脳裏に浮かんだのは、

「男性恐怖症」、だが仮にそうだとすると昨日自分と普通に話せていたのは・・・。

 広大は深く考え込む。


「石川くんも何となく察したようですね。菜々子ちゃんは男性恐怖症です。ただし、重度のものでありませんので男性が近くを通ったとか、その程度では問題ありません。何なら数秒程度の短時間の会話も可能なレベルです。」


 由香里は更にこう続ける。

「勿論、お兄さんとの会話は時間関係なく問題ないようです。」


 広大は黙ったまま話を聞いていた。


「私も驚きましたよ、昨日は。いくら見続けていたとはいえ、ほぼ初対面のどんな性格かも分からない男子に対してあそこまで違和感なく長い間話すことが出来たのですから。」


「さて、単刀直入に伺います。石川くん、あなた本当に菜々子ちゃんと話したのは昨日が初めてなのですか?」



 


 

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