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第73話 俺達の冒険はこれから……。

 俺とシャルロットは再びルカ・レスレクシオンの屋敷を訪れていた。


 まず俺達は驚いた。何にといえば、建物全体に関してだ。

 庭の雑草は全て刈り取られ。美しい芝生の絨毯が広がっている。

 窓ガラスも陽の光を反射してキラキラと輝いている。

 外壁も初めて見たときは灰色をしていたが元々は白かったんだと実感した。

 

 ――なんということでしょう。あのゴミ屋敷がすっかり綺麗で見通しのいい家に生まれ変わっていたのです。

 最初は別の家と間違えてしまったのかとシャルロットは言っていました。

 でも、間違いなくルカ・レスレクシオンの屋敷です。


「……驚いた。セバスティアーナさんは武術家として優れているけどメイドとしても完璧だったんだ」


「ええ、そうね……一昨日のアレが、なんという事でしょう……」


 玄関から見渡すルカ・レスレクシオンの屋敷にはゴミ、いやホコリひとつないのではないだろうか。

 廊下は物一つなく、木目にはワックスが掛けられピカピカに輝いていた。

 そして、最初に来た時には分からなかったが。この屋敷は10人位なら暮らせる位の部屋数がある。


 まあ、地下施設に比べれば全然規模は小さいが。


 俺達はセバスティアーナさんに案内され、地下室に入っていった。


 ルカの執務室には俺達も座れるように大き目のテーブルが用意されていた。

 そしてセバスティアーナさんはお茶の準備をしていた。


 ルカは仕事中のようだった。彼女は分解された二十番の魔剣の部品を一つ一つ手に取り。何かぶつぶつ言いながら紙に何かを書いていた。

 俺達が来たのに気づくと、一旦、眼鏡を掛け直し。俺達を迎えた。


「ようこそ、さて、自己紹介をしよう。吾輩がルカ・レスレクシオンじゃ、吾輩に関しては道中、セバスちゃんから聞いておろう。ということでよろしく」


 聞いていた通り随分フランクな人のようだ。


「はい、こちらこそ。俺は、カイル・ラングレンです。ルカ様の魔剣のおかげで無事ここまで来ることが出来ました。お会いできて光栄です」


「私はシャルロット・レーヴァテインです。同じく魔剣に助けられました。感謝の念に耐えません」


 俺達は軽く握手を交わすと促されるまま席に座る


「ふむ、いい感じの若者じゃな、よろしく。吾輩としても二十番を再び、吾輩の元まで届けてくれたのには感謝しておる。ではさっそく今後の事について話そうではないか」


「はい、でも、先に謝らせてください。俺はその魔剣を壊してしまいました……」


「うむ、一通り分解してみたがのう。どうにも根本的に機械部分の強度不足じゃな。お主が気に病む必要はない。むしろ喜ばしい事じゃ。

 何事も実験よ、壊れたのは設計者である吾輩の責任、カイル少年よ、そんな不良品を使っても、それでもよく生きてくれた。

 だが、こうしてモノ作りは進歩していくのじゃ。よし、吾輩は今この時より、二十番の最適化のため研究にうちこむ。

 駄目だった部品は新たに業者に発注。いや、それが致命的な欠陥になったか。やはり吾輩が一から全て造る必要があろうて」


 ルカは、ぶつぶつ言いながら再び紙になにか書きなぐる。

 そして、紅茶をがぶ飲みしながら叫んだ。


「よし! これは一から設計の見直しじゃ! 少し、というかだいぶ時間が掛かるのう……だが、まあ、やれんことはないじゃろう。カイル少年はしばらくは九番のノダチを使うことになるが……」


「いいえ、これも素晴らしい魔剣です。それに剣士としての修行もまだまだです。その魔剣にたよってたら俺はいつまでも強くなれません」


「ふむ、殊勝なことじゃ」


 後ろからセバスティアーナさんが発言する。


「私も、カイル様の修行を約束しましたので。微力ながらお手伝いさせていただきます」


 それにシャルロットも元気よく答える。


「そうよ、私達は強くなったけど、まだまだよ、それにここは最北端。冒険者としての仕事もたくさんあるし。バシュミル大森林はすぐそこ。強い魔物はいくらでもいるわ」


「ほう、ではお主らはここで冒険者として生活するという事じゃな? では家はどうするつもりかの? ここにもいくつか部屋はある。よければ好きに使うとよい」


「何から何まですいません。いずれお金が貯まったら恩返しさせていただきます」


「うむ、よい若者達じゃ。では期待するとしよう」


「ところでルカ様、皇帝陛下からお手紙を預かってるんですけど、……俺から渡せば読んでくれるはず……とのことですが、どうされます?」


 俺は皇帝陛下から預かった親書をルカに手渡す。露骨に嫌な顔をするかと思ったが案外普通の表情で溜息を着くのみだった。


「ふぅ……。 まったくオリビアちゃんはまだ諦めておらんかったか。ああ、お主らは気にするほどのことではない。吾輩を国の要職に即けて首都で暮らせといったものだ」


「良い話ではないですか? なぜ断り続けるのですか?」


「……だって、めんどくさいじゃろうが。それに……友の仇を取るまではここを離れるつもりはないしな……。それはさておき、お主らの冒険譚でも聞かせておくれよ」


 こうして俺達は正式に冒険者として迷宮都市タラスに根を下ろすことになったのだ。


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