2/104
プロローグ「観測者」
「もう二度と、誰も悲しませずに済むのならーーー」
傷つけてきた多くの人たち。助けられなかった多くの人たち。
自らの行いで悲しむ人を出さないようにするためなら何であろうとやり遂げる。
少年が誓ったのはただそれだけのこと。
これは、人間として大切な何かを欠如してしまった"ニンゲン"が他人の幸福のために生き、最後には己が求めるものを掴み取るまでの物語。
観測者へ。
どうか、彼ら彼女らの在り方を憶えていてください。
どうか、私には出来なかった選択を、在り方を見せてください。
それだけが、私の願いですーーー