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第一部 DEAD END「閉幕」
一面に充満した死の匂い。
床へ視線を向けると、畳がペンキのような何かに塗りたくられている。
そこへいるだけで、自分の中の何か本能的な部分が悲鳴を上げているのだと理解できる。
ここにいてはいけない。早く出ていくべきだと。
けれど、何度目を閉じようと思っても、出ていこうと思っても、それが叶うことはなかった。
虫が羽音を立ててやっててくる。
次々とやってくる。
音は重なり続け、不協和音を奏で続ける。
なぜ、こんな光景を見ているのだろう。
なぜ、そこにあるはずの何かが黒で塗りつぶされているのだろう。
なぜ、あれが×××であると確信してしまうのだろう。
思考は断絶し、脳内にはノイズ音だけが鳴り響いていた―――
第一部は強制的にDEAD ENDへと直行します