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水の中の戦争  作者: 葉月 優奈
四話:天下無双のクロコノイド女将軍
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049

――首都センブレル・城壁前――

(GIMA’S EYES)

ここは、センブレルの水魔砲が置かれた場所だ。

神器水魔砲は、センジー門を向けていた。真っ白な砲台は、珊瑚の城壁の中で堂々と鎮座していた。

青い髪に黒のローブを着たマーマンの私は、水魔砲を操れる数少ない一人。


この水魔砲は、威力は高いが水弾魔術の原理で放たれていた。

一般的に水弾魔術は精神エネルギーが高く、水流魔術は詠唱時間が長い特徴がある。

その精神エネルギーは、水神結晶で代用もできた。


水神結晶は、海神ポセイドンの力を得たエネルギー源。

水魔砲を放つには、大量の水神結晶を用いて使うことができた。

最も使うことは、半魚人の国の中でも使うことをためらわれていた。

精度が悪く、コスパも高い武器だから。


「ギマ様」マーマンの兵士が、水魔砲の前にいる私に声をかけた。

「センジー門にいたイエンツーユイ将軍は倒せたか?」

「残念ながら、当たりませんでした」

「そうか、まあ良かろう。本当はここで始末をしておかったのだが」

水魔砲を苦々しく、私は見ていた。


私にとって、これは賭けだった。

不意打ちで放つ一発は、最初で最後の逆転のチャンスだ。

この好機を逃した場合、当然こちらに攻めてくる可能性が高い。


「次の装填時間は?」

「あと十五分はかかるかと」

後ろでは、必死に燃料の袋を運ぶマーマンがいた。

水神結晶の入った袋だ、センブレルの城壁から、別の兵士が声を飛ばて指示を出していた。


「厳しいな、水魔砲は近づかれると討つことができない。

守護兵は、センブレルの守護に回れ」

「ギマ様」そんな中で、私に近づくマーメイドの兵士がいた。

「なんだ?」

「ナスチュン王が、こちらに」

「ナスチュン王が?」

確かに、私もいきなりのことで驚いていた。

聞いた後振り返ると、半魚人軍の王は、私の後ろから泳いできた。


真っ赤な革鎧を着ていた、青い髪の青年王のマーマンが姿を見せた。

ナスチュン王は、険しい顔で私を見ていた。

お供には三人の親衛隊のマーマン兵士。その他に、軍師ビンナガも一緒だ。

長い茶髪で黄色いコートを着たマーマン、下半身の魚は黄色い鱗だ。

半魚人軍の軍師であり、ビアス殿の副官だったマーマン。


「ギマよ、もうよい」

出会って一言目、それは衝撃的な一言で幕を開けていた。

それと同時にナスチュン王は、険しい顔で私を見ていた。



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