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水の中の戦争  作者: 葉月 優奈
三話:スキュラ女王の七種族会議
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停戦の為には、お金を払うのが深海世界のルールだ。

イダルというのは、深海世界の通貨で水色メタリックの硬貨。

七種族の国で共通している貨幣で、貨幣には海神ポセイドンの肖像が書かれていた。

物価は国によって少し違うが、貨幣は七種族どこも同じだ。


「1億イダルか……」

「エツ皇帝、いかがでしょうか?」

「断る」少し考えて、エツ皇帝は否定した。

「足らないというのですか?」

「いや、停戦合意ならば1億イダルは相場なのだろう」

「では、なぜ?」

「停戦合意に、そもそも応じる気は無いからだ」

エツ皇帝は、あっさりと否定した。

それに対し、スキュラのクナシュア女王が否定していた。


「我々七種族は、共存が基本だ。

ならば停戦合意を受けるのは、マナーではないのだろうか?」

「マナーとか関係ない」

「では、もっと停戦支度金が欲しいというのか?」

「そうではない」エツ皇帝は、周囲を見回す。

堂々としたエツ皇帝に、俺はしっかりと彼の顔を見上げた。


「ナスチュン王、あなたは深海で起きている戦争の理由をご存じですか?」

「種族が、よりよい生活を行なうために行なうモノ」

「それは表向きの理由だろう。

裏には、もう一つの理由が存在する」

「それは一体……なんだ?」

「トリトンをあぶり出すこと……ではないのか?」

暗黙の了解、それは皆が知っていたことだ。

七種族の中で、違和感がある種族を探して対応していた。

違和感が、トリトンである可能性が高い。

ポセイドンに復讐するトリトンは、ポセイドンが愛したこの海を混乱させようとするのだから。


「あなたは、かつてトリトンであるエキドナ女王と戦ったのでしょう?

そこにいるクナシュア女王と共に」

「ああ」俺は肯定した。

俺の隣に座るのは、スキュラのクナシュア女王。


「クナシュア女王が戦ったのは、トリトンがなりすましたエキドナ女王で間違いないだろう」

「確かに」クナシュアが戦ったのは、自分の母親エキドナだ。

だけど俺は憤った。

「クナシュアに、そのようなことを思い出させるな!」

立ち上がって、俺は怒っていた。

あの戦い、クナシュアの過去でエキドナの話はクナシュアの古傷だ。

だからこそ、俺はエツ皇帝が許せなかった。それでも、エツは続けた。


「だけど、トリトンは死んだのでは無いとお前達は言う。

今現在も生きていてトリトンは、戦争を仕掛けていた。

それは、つまり二年前の戦争。

ナスチュン王!あなたはその後、南洋に戦争を仕掛けましたよね?」

「確かにそうだ」エツ皇帝の正論に、俺は否定ができない。


「二年前の戦い、ナスチュン達半魚人軍は中立のセビド砦を一方的に制圧。

そのまま南洋に侵入した。

その後は同盟軍の反撃に遭い、半魚人軍は南洋から北洋に撤退した。

ナスチュン王こそ、トリトンではないのですか?」

逆に、エツ皇帝は俺を疑ってきた。

その言葉と同時に、周囲の王達の視線が俺に向けられていた。



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