Fラン高校に入学して、名門校の幼馴染に馬鹿にされたが、親の権力使って教員を入れ替え、どっちが馬鹿かわからせてやる~気付いたところでもう遅い~
・タイトル
「Fラン高校に入学して、名門校の幼馴染に馬鹿にされたが、親の権力使って教員を入れ替え、どっちが馬鹿かわからせてやる~気付いたところでもう遅い~」
※この物語は、フィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
・起
今日は、高校入試の合格発表の日だ。密かに好意を寄せる幼馴染と同じ高校を受験した。いわゆる名門校だが、俺(=政治家の子供)が推薦入試を受けてるのだから、落ちるわけがなかった。一方、幼馴染は成績優秀、容姿端麗、生意気で性格はちょっと問題ありだが、彼女もきっと合格している。合格発表の瞬間まで、俺はそう信じていた。
・承
「落ちた…?」
あり得ない。おかしい。何度探しても合格者一覧に、俺の番号はなかった。今年はたまたま倍率が高かっただけかもしれない。だから、みんな落ちてーーー視界の端、幼馴染の受験票をチラ見すると、彼女は合格したようだった。
くそっ。なんなんだこれ。俺の才能を見抜けないなんて馬鹿な教員どもめ。公務員の癖に、上級国民に楯突く気か。許せない。
俺を不合格にするくらい頭の悪い高校は、名門な訳がない。どうせ、名門の皮を被ったFランだ。一般受験でわからせてやる。
そう意気込んでいたはずなのに。一般受験もさんざんな結果だった。それは、一般受験の形式が悪かったからだ。あんな暗記だけのものじゃ本当の学力は測れない。でもまあいい。高校入試なんてお遊びだ。大事なのは、大学受験だ。高校に受かれさえすれば、どこだって関係ない。高卒認定だっていい。
まあ、俺の才能を見抜いた有能がいる高校なら、見込みがある。通ってやるか。Fランと言われてるが、それは俺を合格にしたやつ以外が足を引っ張ってるからだ。待ってろよ、お前に見合う最強の布陣を父に口利きして、揃えてやる。
・転
卒業式になって、幼馴染を呼び出した。もちろん、告白するためだった。彼女は呼び出した時間通りやってきて、俺の期待は確信に変わっていた。
「私、あなたのこと好きじゃないの」
「でも俺、付き合ったら、何でも買ってあげるし、どこだってつれていってあげるよ。庶民の彼氏じゃ無理なことでもね」
「私は、お金持ちとかじゃなくて頭のいい人が好きなの。それに、人を見下す人は大嫌い。さよなら」
彼女は、逃げるように走り去っていった。これまでも、生意気なことはあったが、ここまで言われることはなかった。
合格したから、調子に乗ってるに違いない。馬鹿にしやがって。どうせ、面接官に色気でも使ったんだろ。
良いことを思い付いた。お前の高校の有能教員と、俺の高校の無能教員を入れ替えてやる。馬鹿な生徒には同じく馬鹿な教員がぴったりだ。せいぜい教員に媚びへつらって、Fラン大学に進学するんだな。その時になって、俺に泣きついても手遅れだからな。
父に言ったが、あまり派手なことはできないそうだ。教員本人の意向で動かせないことも多いからだそう。他の名門校やFランともミックスして異動させるらしい。名目は、高等教育の均質化と知見の交流だそうだ。不合格になった前々から教員の配置転換を父にお願いしておいて良かった。このままいけば、間に合うらしい。それと「ロ○コン無能教師があの女の担任にしてくれ」と言ったら、「うん」と承諾してくれた。ざまあみやがれ。
・結
数年後、この配置転換は大成功したようだった。俺の思惑と違って。
本当に、人材交流が役に立ったらしくFラン高校だったのに、学力があがった。それは良いとして、Fラン教師が有能教員に生まれ変わっていた。これじゃ、思惑は大失敗だった。父親は結果に大満足のようだった。
あとに聞くと、父は人材交流というアイデアの良さに気づいて取り入れただけで、俺の計画を叶えたというのは冗談だったらしい。俺が怒ると、冗談だと気づかないくらい馬鹿だったのかと呆れられてしまった。
まあ、あのときは中学生だったから仕方ない。俺のアイデアで成功した父親には、きっちりお小遣いをせびっておいた。数年も経つとあの女のことは全然気にならなくなっていた。いまは、後輩の女の子にアプローチを仕掛けている。
おわれ
・あとがき
最初の注意書について。最後まで読まない馬鹿が、タイトルだけで勘違いして炎上させて、人気でないかなと思っていますが、なろうの規約で虚偽はダメらしいので外せません。
これを書いたのは、裏口入学は難しいが、有能な教員を引き抜いて担任にしてしまうとかは可能ではという疑問からでした。現実にそういうことが行われてないといいですね。
ついでに、主人公は意図的にクズで馬鹿っぽく書きました。いい教員と出合って、彼もちゃんと良識ある人間に育って欲しいものですね。
筆者は教育格差の問題をかなり深刻に捉えています。そして、人材交流という手段もある意味、効果があるのではないかと考えています。もちろん、失敗するリスクや、教員への負担というのも恐ろしいですが、対処しないことが何よりも怖いと思っています。ひとりでも多くの人が教育について考えてくださると、幸いです。