10話
すみません。あと、もう一話続きます。
「最初は勘違いしただけだと思ってたけど、お前は自分の大嫌いなやつになってたんだな。彼女はちゃんと意思表示をしていたぞ」
今考えると、確かにそうであった。確かに彼女は自分の意思を遠回しながらちゃんと伝えていた。
今思い起こしてみると、そのような行動が沢山ある。
まず、好きな人を頑なに言わなかったこと。あの時俺が強がって、彼女がいるような発言をしたから、彼女も好きな人を言うことができなかったのだろう。
次に、水族館の発言もだ。楽しい、もうちょっとこのまま居よう。
そのような言葉も意思表示になっていて、
最後にキスの件だ。いくら信用できる友人とはいえ、異性の友人にキスの練習なんて普通は頼まない。それを頼んだんだから、その時に彼女の思いは気づくべきだった。
それなのに、俺は「幼馴染」という一番よくない禁句を軽々しく使ってしまった。
もし、俺が逆の立場でも同じように涙を流していたに違いない。それを一度ではなく、玄関先でも同じようなことをしてしまった。
どんだけ……勘違いをふりかざせばいいんだよ……
自分への怒りがますます強くなっていく。なにが、彼女が大好きだけど、思い人がいるから……だ。
勘違いさせたのは、こちら側じゃねぇかよ………
「理解したようだな……」
「ああ、考えれば思い当たる節が多すぎたわ……」
「ホントに大罪人だよ………」
「だな……」
「認めてるなら、次にすることは当然わかってんだよね?」
「ああ、勿論だ」
俺はもう、間違わない。
しっかりと正直に彼女に告げるのだ。
――貴女が好きです。
と。