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平凡な日常...?
俺らは今ハンドルを握っている。
といってもスポーツカーとかそういうものじゃない。
ひねると玉が飛び出し、画面の液晶が動き出す。そうパチンコ台のハンドルだ。
「あーあ、今日もでねえな。」
「そうだね...今月はもう来るのやめようか。」
なんて言って来なかった月はない。でも、お金を沢山使うわけでも、何万単位で勝ったりすることも無い、平凡な遊戯を続けている。
「平凡」...そうこの言葉こそ俺らの人生を示すのには十分すぎる言葉だった。それ以上でもそれ以下でもない。つまり平凡なのだ。
そんな俺らが携帯電話でメッセージのやりとりをしていた。
「俺らの記憶このままさ、子供のころからやり直したらめちゃめちゃ強そうじゃね?www」
「絶対強い、でも俺は記憶保持より時間を巻き戻す能力のほうが好きかなwww」
といった中学生の男子なら一度でも思うこんな「くだらない」会話だった。
...あの瞬間までは。