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猫と旅人と  作者: 伏川 久陰
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そんなものはないんだよ!!

頑張る。

 月と太陽


 俺は独りだった。

 だが、寂しいなんて思ったことは一度もない。

 俺は旅をしていた。理由は特にない。多分、世界も何もかも嫌になって飛び出したに違いない。きっとそうだ。

 ただただ歩き続け、考え続けた。何について?それはたわいのないことだったり、哲学だったりした。時には想像力を働かせて、物語を生み出すこともあった。

 市場や町だとか、人が多い場所は避けた。彼らは俺を不安にさせ、俺を俺でない存在にさせる。俺はとてつもなくそれが嫌だった。だから、俺は夜と闇が好きだった。太陽は俺の足元を照らしてくれるので、別段嫌いではなかった。  

 俺は一度、自分と同じようなものに会ったことがある。よく月が輝く夜、俺は森の中で夜を明かそうと思い、寝床を作り休んでいた。

 すると、どさっどさっと足音が聞こえた。驚き、音が聞こえたほうを見ると、顔はよく見えなかったが髭の生えたちびのおやじだった。

 俺はその時、そのおやじに対し激しい嫌悪感を抱いた。おやじの身なりが気に食わなかったのではない。俺の未来を、おやじが映しているように思えたからだ。

 この時から俺は将来を考えるようになった。人とかかわるのは嫌だ。だけどこのまま老いていくのも嫌だ、と俺の憎い頭はつぶやく。




「はぁーーー。疲れたぁ。もうなんだってお嬢様はこんな面白くないことばかりやらされて、将来の人は自分では選べなくて、じいやは頭硬いの‼」

「お嬢様。普通のお嬢様は皆、やられていることなんですよ。もう少し、ヘッターダ家のご息女としての責任を自覚してください。」

「じいやはそればっかり!もう疲れたから、じいやはあっちいってよ。シッシッ。」

「お嬢様、そんな下品な言葉使ってはいけませんよ。では、じいやは帰ります。おやすみなさい。」

 扉が閉まる。さて、では計画といこう。この数か月間、私は自由になる時間をすべて使って、このお城から脱出する方法、経路を練りに練った。

 そして時はきた。後悔は一切ない。あ、でもお人形さんを置いていくのはちょっと悲しいかも。


 私は服を着替えると、窓から飛び出した




「わぁーー‼なんて活気!」


 市場は人と商品で賑わっていた。

 私は夜中にお城を抜け出した後、寝ずに歩き続け、計画通り、人が集まる所に来た。さすがにこんなに起きたことがなくて眠い。でも、ここからが本当の勝負だ。どうにかして、ヒモになれるための居場所を作らなくては。

 これに関しては、より注意深く行動しなくてはいけない。

 お金持ちはダメ。彼らはがめつくて、人を商品のように見る。最初は優しいが、次第にむちをふるうに違いない。

 笑っているやつもダメ。きっと人生を笑い飛ばして、現実から逃れているに違いない。

 気の強いやつもダメ。なんかうまくいかなそう。

 とりあえず市場を歩いてみた。止まってお店を見たいのに、後ろから次々と人のなだれが押し寄せて、不本意ながら、前に進まざるをえなかった。


 いや、がめついとか、気の強いとか分からないし。大体ここで人探そうなんて無理だし。

 自分の計算の甘さを自覚させられる。

 市場を歩かされた後、疲れて果てて、人気のない市場の隅にあるある階段に座り込んだ。思わず目を閉じると、真っ暗になった。

 気が付くと、もう日が暮れていた。辺りが真っ赤になって、その美しさに見惚れていた。

 すると、階段を、独り上って来る者があった。その者は黒い服に身を包み、大きな大きなリュックを背負っていた。  

 何より、それが漂わせている雰囲気には、今まで一度も触れたことがなかった。初めて出会うタイプに、私はとても興味を惹かれた。彼について行ってみたい。

 よし!


「あの!どうか私を一緒に連れていってください!」


やめないように頑張る。

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