黒い王子が召喚する
「なぜ、点数がよかったというそれだけで不正を疑われなければならないんですか?一生懸命勉強したと、なぜ、そう思わないんですか?」
信じられない。教師が、点数がよかった生徒に対して、頑張ったなとほめるどころか、こんな点数取れるわけない、カンニングしたんだろうというなんて。
「そうです。主任。Fクラスですが、彼らはクラス分けテストで優秀だった者も」
イリス先生が私たちをかばうような言葉を発する。
「だったら、その優秀だった者が他の屑に答えを教えたのでしょう。教えた者も同罪です。ですから、全員0点。分かったらもう出て行きなさい」
主任が踵を返した。
「ほら、これ以上ここに居座るというのなら、全員にイエローカードですよっ!」
セルシーオ先生がしっしと追い払うしぐさをする。
「証拠は!俺たちが不正をしたっていう証拠はあるのかよっ!」
イエローカードという脅しにも屈せず、マージが先生セルシーオ先生に詰め寄る。
「これが、教室に落ちていました」
セルシーオ先生の後ろに、1Fのテストの監視だったやる気のない教師が姿を現す。
手には、トランプが一枚。
「テストには必要のないトランプが、教室に落ちているなんて不思議だと思いませんか?」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべトランプをひらひらとさせる。
「大方、監視だった私の目を盗んで、トランプを使って答えを後ろの席の人に教えていたんではないですか?サーシャさん」
名指しされたサーシャがピクリと肩を震わせる。
「私が?そんなことしてませんっ!」
「君は、席は一番前だから、トランプを後ろの席の人たちに見せるのには都合がいいですよね。そして、確か、クラス分けテストで満点を取ったそうですから」
監視の先生がサーシャに詰め寄る。
「だから、私は、そんなことしていません!」
「本当でしょうかねぇ?このトランプは、君の席の真下に落ちていましたよ?」
くそっ。
どうせ、違う違うっていったって、何も信じる気がないくせに。厭味ったらしく、責め立てて。
「分かりました。不正はあったとしましょう」
フレッドが、サーシャの前に立った。
「おい、何を言うんだフレッド、いくらお前でも」
マージがフレッドの腕を取る。
フレッドがふっと小さく笑う。
「さすが殿下。クラスの不正は見逃せないということですか」
だから、不正なんてしてないしっ。
「その不正に、このトランプが用いられたと、あなた方は主張されましたね?」
く、黒い。黒い煙が。こ、これは……終わったな。
数学教師たち、終わった。
フレッドが監視役の教師の手からトランプを取り、くるくると回して、監視役の教師の目の前につきつけた。
「この印は、王家の印。王家の物を盗み出した犯人は捜さねばなりません。呪われし裁判官を召喚します」
びしっと言い切ったフレッド。
「呪われし、裁判官?」
マージが首を傾げる。
「呪いがかけられ、いかなる力にも屈することなく正しい判断を下す裁判官のことよ。横領だとか国家を揺るがす犯罪に出てくるようなすごい人……」
マージにサーシャが小声で教える。
「な、わざわざ学校のテストの不正で、呪われし裁判官を召喚するなど……」
フレッドが慌てるセルシーオ先生を見て笑った。
間が空かないように努力はするのです……うぐぐぐ、うぐぐぐ、開いたらごめんね。




