サーシャの情報どこ情報
「ほいっ」
カツンと、マージの剣の力の向きを変えてやる。
マージが勢いを止められず、よろめく。
「はい、ボクの勝ち」
マージの背中にとんっと、軽く木刀を当てる。
「え?ちょ、ま、今のなし、なしな?俺、ちょっとばかり、足の動き気にして力が発揮できなかったから、もう1回だ!」
はいはい。いつもなら、もう一回なんて認めないけど、今はいいですよ。
「じゃ、もう1回」
木刀を構える。
マージが凝りもせず、分かりやすい剣筋で打ち込んでくる。
いなしちゃうもん。カツーン。
「はい、ボクの勝ち」
今度はよろめいたマージのお腹に木刀を軽く当てる。
「え?へ?なんで?ちょっと、俺、調子悪いのかな?」
「……まさか、剣術大会の1回戦……」
フレッドが驚愕の表情を見せる。
ん?剣術大会の1回戦?
「あれは、リザークの実力……」
は?い?
「まぁ、えっと、兄よりは弱かったので、なんとかなりましたけど……」
「え?なんだ?まさか、そうかっ、今見たいに、常勝ブランカにも勝ったってことか!」
マージが私の両肩をつかんで揺さぶる。
「うん、まぁ、マージよりは動きが早かったけど、ブランカも割と分かりやすい動きだったから……」
サーシャが頭を下げた。
「ごめんなさい、リザーク……。私も、皆の言うように、ラッキーだったと思っていました……。ブランカが地面に足を取られてふらついたからラッキーだったと……」
ああ、そういえば、そういう風に言われてたっけ。しまった。そのままラッキーだったことにしておいた方がよかったんだよね……。
「なるほど。おかしいとは思っていたんですよね。あの勝ちにこだわる常勝ブランカが、対戦場所の整備不備で負けたならば、素直に負けを認めるわけはないのに……。なぜかブランカは自分が負けたことにクレームをつけるどころか審判に勝者はリザークだと伝えただろう?」
はい。なんか審判見てなかったのでね。あ、そういえば、数学テストの監視の先生も見てなかったし、なんなの?役立たずばっかなの?
「今の技で、ブランカも倒したんだね?」
技というか……えーっと。
「相手の力を利用するんだ。力ではかなわない相手と対峙したときに、その、相手の力を利用することで、その不足分を補えるというか……剣術だけじゃなくて、体術にもそういうのがあったりして……」
柔道とか合気道とか。小さくて軽くて力の弱い女性が、大きくて重たくて力の強い男性をぽーんと軽々と投げ飛ばしたりする動画は圧巻だよ。
「ただ、相手の動きと呼吸を合わせるというか、その、タイミングだとか合わせるのがすごく難しくて、マージみたいに動きが読みやすい相手じゃないとボクも成功しなくて……兄に相手に練習をしていたんだけど、全然駄目だったんですよ」
サーシャが低い声でつぶやいた。
「それでも、ブランカに勝った……」
うん、ブランカの動きは剣道っぽくてね。体がぱーんと反応したのだ。あれは運がよかった。
「本当に、運がよくて……」
サーシャが首を横に振る。
「運なんかじゃない。リザーク、やっぱりリザークはわたくしの知るリザークです」
は?サーシャの知るリザークって何?
「騎士になるために、日々鍛錬を積んでいる……」
いや、騎士になるなんて言った記憶はないぞー!
どこ情報だ。




