受験勉強と、普通の勉強と……
「じゃぁ、同じ問題を用意し」
「持ってきました!」
じゃーんと出すサーシャ。
「俺も作ってきたぜ!スペシャルバージョンだ!」
と、100マスどころか240マスくらいあるのを取り出すマージ。
「クラスみんなでできるようにたくさん用意してきましたよ。ちょっと手伝ってもらいましたけど」
フレッドはさすが王子てきな気遣いで、クラスメイトの問題も準備したようだ。すごい量。誰に手伝ってもらったんだろう。
フレッドが用意した問題は生徒たちに飛ぶように売れた。いや、売ったわけじゃないけど。すんごいやる気。
「じゃ、勝負な、勝負。よーい」
あ、はい。やっぱり強制参加ですか。うぐぐ。
「どんっ」
8、7、6、10、12、13、9……ほいほいほいーいっと。
次の数字見ながら計算した数字をかきこむ。っていうか、書く時間もったいないくらいだ。ああ、覚醒だよ。
なんだろう、そうか。私も問題と模範解答作りでかなり昨日は100マス計算やったもんなぁ。頭が計算脳になってる。
「できた」
「ぐあー、負けた!」
「さすがリザークですわ。私も早くなったと思ったのですが」
「もう1回やりましょう」
ガラリと、ソフィア先生が教室に入ってきた。
「おはようございます、皆さん、えーっと、授業を始めますよ?」
いや、100マス計算の途中でストップするのはこう、気持ち悪いのは分かるけど、おーい、みんな。先生戸惑ってるから。手を止めて顔を上げようか?ほ、ほら先生、無視されたと思ったみたいで涙目になって……。
「まずは、計算練習をしましょうか。テストは足し算と引き算です。問題数も、クラス分けテストよりは多くなりますから、スピードもないといけません」
フレッドがびしっと手を上げた。
「先生、計算練習は各自時間のある時に行います。計算以外の対策を授業では進めてください」
ソフィア先生が一瞬言葉に詰まる。
「えーっと、ではまず全体的な注意事項から話をしますね。用紙が配布されたら、問題を解く前に名前を必ず書いてください」
皆の目がマージに向けられる。
「それから、1問でも多く回答するために、難問は後回しにして簡単な問題から取り組んでください」
こんどはフレッドに注がれる。
「それから、今回のテストは、足し算と引き算しか出ません。問題文を呼んで足すか引くか分からなくても、とりあえず出てきた数字を足すか引くかして答えを書いてください。運が良ければ二分の一の確率で当たります」
ふおう、空欄は無くそうっていうのはわかるけど、うん、まぁ、そうだね。足し算か引き算しか出てこないんだもんな。
「合わせて、全部でなどの単語が出てくれば足し算、残りはおつりはなどの単語が出てくれば引き算」
思わずつぶやいたつぶやきに、サーシャが食いつく。
「ああ、そうですわね。問題文を読むことが苦手な人もいるでしょう。そういう目印になる単語が出てきたときに、何算の可能性が高いか徹底的に調べてみましょう。その単語を目印にして計算してしまえば全文読む必要は無くなりますわ」
あー、答えさえあっていれば意味など考えないっていう受験スタイルになってきたぞ……。
本来は、テストで点数を取るのが目的ではなく、なぜその式になってその答えになるのかの過程が、過程がな、大事なんじゃよ?
「リザーク、たしかお兄さんに過去の問題を教えてもらったと言っていなかったか?」
ああそういえば。
「覚えている限りは書きだしてもらいました。数字は違っているかもしれないということですが……」
なんせ7人も兄がいるので。
「私も、お姉ちゃんに聞いてくる!」
「僕も!」
と、次の日にはもっとたくさん過去問が集まりました。




