全部兄のせい。いや、兄のおかげ。
「へー、面白そうだな」
マージが食いつく。
「リザークはこれで計算の練習を……」
「これを使えば、私ももっと早くなるのですわね」
フレッドとサーシャも食いついた。
他の生徒には取り合えず縦線横線を引かせる。初めは数字を1~5の間のものを縦横に書かせる。
「じゃぁ、みんな書いた?競争だよ。よーい、どんっ」
競争。一番燃えたのはマージかと思ったら、サーシャだ。
「できましたわっ!ほら、合ってますわよね?」
目がキラキラ。
うん、えっと、うるさいです。ほかの生徒の気が散ります。
さすがにもともとある程度スピードのある人間が1~5じゃ早すぎるので、1~9までにしてマス目も増やした。
……問題の種類を増やすと、答えを用意する私もめんどくさくなるけど仕方がない。
と、いうわけで、ざっつ、100マス計算地獄。……いや、だって、新しい問題作って渡して、解いて丸打って、……あれ?変だな。
なんで、サーシャやフレッドも挑戦者側なの?私といっしょに、問題つくって渡して解いて丸つけ側やらない?
え?いつか、私に勝ってやる?
ど、どうしてなのっ。
んじゃ、マージは?
え?負けるもんかぁぁぁぁっ!
あうぅ。
他の子たちも、1~5までで自信をつけスピードアップしてきたら、時々6を混ぜる。6にも慣れてきたら、今度は6の代わりに7。
7にも慣れたら、6と7を入れるなど、少しずつ難易度を上げていく。
あるていどすらすらとストレスなく解ける問題が多いというのがポイントで、パズルゲームアプリとかでも、サクサクと勧めるところと、難しいところと混ざってないと、次第にやる気がなくなるでしょ?そうじゃない人もいるけど。難しくて進めないパズルばかりになると進まないことがストレスになる。だから、難しいものが解けたという達成感と、サクサク進んだという満足感と両方を持たせるために、難易度高めと低めとうまい具合に混ぜるのが長く楽しむためのコツ。
てなわけで。
1時間が終わりました。
「一回休憩入れよう!同じことばかりしていても疲れるからね!」
ってか、疲れたよっ。
「私、10枚解きましたわ!」
「俺はこの8枚目だ。でも、ずいぶん早くなったぞ!」
満足げな顔。
マージが侍女に命じて新しいお茶を用意してくれた。
はうー。脳みそ使うと糖分欲しくなるからねぇ。さっきの大量のお菓子、少し一緒に出してもらえませんかね?え?
飲んだらまたやろうぜ!って、やめて!私が死んじゃうからっ!
「次行きましょう。次。引き算も、実は足し算覚えると早くなるのです。6-4の答えは2ですが、6と4を見ると、セットで2とひらめくようになるので。計算というよりは記憶を呼び起こす感じですよ。だから、ひたすら足し算の練習をすれば引き算もスピードアップすることができます」
ふむふむと、フレッドが頷く。
「さすがリザークだな。お兄さんたちにいろいろと教えてもらっているというのは本当のことだったんだね」
へ?
いや、数学っていうより、算数は前世の小学校の先生と塾で教えてもらいましたよ?
「ああ、家に帰って兄に教えてもらうって言ってた時は、家庭教師じゃなくて兄で大丈夫なのかと思ってたけど……家庭教師よりよっぽどためになる話だ」
うほー、そっちね。
う、うん。そう、兄のおかげと言うことにしておきましょう。
全部兄のおかげ。前世、なんのこと?
「あの、質問してもいいですか?」
一人が手を上げる。
いつもありがとうございます。
うん、この「全部〇〇のせい」って知ってる。
あっちの作品でも出てきた……作者、単純。いつも同じ……。
って、思った人、挙手!
他の作品も読んでくださりありがとうございます。大感謝!




