あんな女になりた……
審判が赤い旗を上げた。
うわーい、負けちゃったよぉぉぉ。
ごめん、ごめん。対戦場所は整地されてるだけに、まさか穴があるなんて思わなくって、穴に足を取られるとかっ。
いっそ、全部が凸凹な地面ならこんなミスしないのに……。
「わははははっ、見てみろよやっぱりラッキーだけで決勝戦に進んだだけのことはある」
「1回も剣を振ることなく終わったぞ、面白いもん見せてもらったぞー」
「いや、でもラッキーが重なったって言っても、1年が決勝戦進出なんて前代未聞じゃないのか?」
「聖剣と呼ばれたアルフ様ですら、1年の時は準決勝で敗れたのではなくて?」
まじ?ごめん、お兄様……。どうやら記録を塗り替えてしまったようです……。
「ああ、聞いた話では、2回戦3回戦と優勝候補の4年生と立て続けに1時間を超えるような熱戦を繰り広げ、準決勝では立っているのがやっとで、保険医が出場を止めようとしたのを振り切ったとかなんとか……」
アルフお兄様かっこいいっ!うるうる。
「あー、その兄の1年にして準決勝進出という記録を……」
「出来損ないFクラスの八男が……」
いや、そんな目で見ないでっ!
なんか、めっちゃ「空気読め!」って目で見られてるよぉぉぉぉぉ。
「ラッキーだけで……」
うぐぐぐっ。違うもん。ラッキーだけじゃなくて、少なくとも、3回戦は相手よりも実力あったもん。あ、そういう相手が対戦相手だったところがラッキーなのか……う、うん、そうか。
優勝したクラスの生徒たちがわーっとかけてきた。そして、優勝者を胴上げだ。
「やったぞ、これで、俺たち、学年順位が1つ上がる!優勝加点の1000点!やった!」
へぇ?
なんですとぉ?
優勝、加点?
そんなのがあったんかーっ!
あああああっ。1000点って、すごくない?すごいよね?あああ、チャンスだったんじゃないのぉぉぉぉ。
少し遅れて、Fクラスの生徒が私の周りに駆け寄ってきた。
「やったね、リザークっ!」
フレッドが先頭。あ、いや、押しのけてマージが来た。と思ったらマージの後ろからサーシャが姿を現す。
がつっと力いっぱい抱きしめられる。
「準優勝ですわね!やりましたわリザーク!さすがですわ!ブランカにも勝ってしまうんて!」
右側から今度はサーシャごとガツッとマージに抱きしめられた。
「リザーク、最後はちとあれだったが、よくやったな!」
はい。最期はあれでした……。
左側からはフレッドだ。ぎゅぅーっと。
「リザーク、おめでとう、準優勝、おめでとうっ!」
さらにその周りに生徒が固まっていく。
いや、団子の中心、苦しいっ。
「はっ。ラッキーだと?いかさまじゃないのか?」
「ああ、ブランカにいくら金を積んだんだ?」
喜び合っているFクラスの生徒に暴言を浴びせる者が現れた。
そこに立っていたのは、1Aの生徒だ。
「私が、金で剣を汚すような人間だと言いたいのか?」
1Aの生徒の後ろに、ブランカが立っていた。
「う、ひぃー、すいませんでしたっ」
「ブランカ様が負けるとは思っていなかったので……」
逃げていった。1Aの生徒たちを、仕方がないなぁという顔でブランカが見ている。
「あ、ありがとうございますっ」
ブランカにぺこりと頭を下げる。
「いや。次に対戦する時を楽しみにしているよ」
さっと手を上げて去っていくブランカ。うっひー。まじかっこいいっす。あんな女性になりたい。いや、女性にはなりたくない。
死ぬの怖い。
いつもありがとう。
ところで、今更ですが、今回、サブタイトルに遊びを入れてます。
うーん、考えるの時間かかってめんどくさいから、数字にしちゃうことも多いんだけど……
というわけで、サブタイトルもお楽しみいただけると、喜びます。




