よし。優勝しよう。
「おおー、兄弟対決だっ」
って、盛り上がってる。
「お兄様、代表選手だったんですか?言わなかったじゃないですかっ!」
なんと、準決勝の相手は兄7だった。
「んー、まぁ、言うほどでもないかと思って?そんなことより、リズ、本気出すよね?」
うわ、兄の目が怖い。
「わざと負けたりしたら怒るからね?僕には嫌というほどリズの力は分かってるんだから」
ひゃいっ。
兄7と私の対戦成績は、ほぼ互角。
ほぼ互角ってことは……。こう、本気出してるふりして、わざと負けるなんてそんな器用なことができるような相手じゃないってこと。
っていうか、ほぼ互角だけど、兄7はついさっき、4年生との激戦を制して準決勝に進んだところ。一方私はといえば……。
不戦敗だったり、初心者相手に一振りで勝負が決まったり、全く疲れていない。
どう考えても、私が有利じゃない?
「くっ、だめだ。もう、握力が……」
兄が力尽きた。
うえーい。
「まぁ、お兄様は優しいのでかわいい弟を傷つけられなかったんですわね」
「2回戦3回戦と強敵相手に戦って体力の限界だったんですわ」
とかなんとか言われて同情される兄7。
「しかし、どこまで運がいいんだ、あの1F。出来損ない八男」
「兄たちは何かの能力に秀でているが、もしかして、あの八男、運の良さに人一倍秀でているというのか?」
「かもしれない。だが、本当に運が良ければFクラスになるだろうか?」
「1回戦で4Cとの対戦カード引き当てるだろうか?」
「うーん、わからん」
決勝戦に進んでしまいました。いやいや、さすがに優勝とかないでしょう。
どうしようか。えへ。
え?もう十分目立ったから、この際勝っても負けても一緒だ?
しかし、目立ったというか、運がいいなぁってことでうまいこと落ち着いてるよ?
八男も意外とやるやつなんじゃないの?って声が全然聞こえてこない……。ん、じゃぁ、もう、ラッキーだけで優勝した男とかでもいいのかもしれないなぁ。
1Fを見る。
皆がいつの間にか腕につけていた布を取って手にもってぐるぐる頭の上で振り回している。
声が聞こえなくても「頑張れリザーク!」
と全力で応援してくれているのが分かる。
私、こんなに誰かに応援されたことなんてあったかな。あ、身内は別でね。
前世にだってなかった。
よし。優勝しよう。
「両者、開始位置へ」
学校中の人に注目される中、開始位置に着く。開始の合図で、剣を構える。
相手は、何年何クラスの誰なんて知らない。
剣の構えは、さすがに決勝まで進むだけのことはある。
微動だにしない。相手に先に動かせるタイプか。
……だとすると、相手が攻撃を仕掛けきた剣をいなすという戦い方はできない。
どれだけの実力があるか分からない……。兄1や兄4との訓練を思い出す。大丈夫。格上との戦いは慣れてる。勝とうと思わなければ、剣を避けることならば得意だ。
「はっ」
こちらから動くことにした。
大きく一歩を踏み出す。
ふにゃぁーっ。
「たぁっ!」
なんじゃこりゃぁ、足元に穴開いてるとか、思いっきり踏み込んだら、グラっと、グラっとなったわ!ちょ、まった、まった、!
相手の剣が私の背中に当たる。
ああ、力加減してくれて、ぽんっと軽く当てられただけだ。
「勝者赤!」
あれ?




