勝負の行方……なぁ?
まるで、ブランカの動きがまるでスローモーションのように見える。
いや、決して遅いわけじゃない。兄1ほどではないにしろ、兄4程度にはスピードがある。
神経を研ぎ澄ませていたからだろうか。
ああ、ここだ……。
どこをどの方向にどんな力で打てばいいのか、ぱぁーっと啓示を受けたように頭の中に浮かんだ。
不思議な感覚。
そう、繰り返し繰り返し見たあのビデオの中の達人が、自分の中にいるような感覚。
そうか。
ブランカの動きが剣道のそれに似てるんだ。
カッっと、ブランカの剣をいなす。
その瞬間、ブランカは繰り出した剣の勢いそのままに斜めに体制を崩した。
ああ、これだ。相手の力を利用して体制を崩し、そのすきに攻撃する。
「こてぇーーーっ」
思わず、発声する。
そして、見事に、私が繰り出した小手狙いの木刀は、ブランカの手を打った。
籠手で手を防御もせず、竹刀ではなく木刀で思い切り叩かれれば、そりゃ、剣を握っていられないよねぇ。
からん、からん、からん……。
ブランカさんの持っていた木刀が地面に落ち、2度ほど小さくはねて転がった。
しぃーん。
あれ?
勝負がついたんじゃないの?
えーっと、勝者誰々みたいな、そういうのないの?
立っていたはずの審判を見る。
おーい、旗をもった審判、お前、どっち見てる。そっち、第3競技場でしょっ。
そんなんで審判務まるの?
ブランカさんが落ちた木刀を拾う。
「私の負けだ。すまなかった。完全に侮っていたが……」
木刀の持ち手を渡しに向けてブランカさんが差し出した。
受け取れってことかな?
「聖剣や剣豪とよばれる者がいるボンパール家の八男だ。いい気になっていた自分が恥ずかしい」
いえ、私は助かりました。いい気になって油断してくれてありがとう。
「次は、負けないからな」
にこっと美しい顔で男らしく笑ってビアンカさんは背中を向けた。
うわー、かっこいい。
「おい、よそ見をするな。勝負はついた」
っと、ビアンカじゃなくて、ブランカだった。ブランカさんが審判の肩をぽんっと叩く。
「あ、ああ、早い、さすがです」
と、審判が赤い旗を上げようとして、ビアンカが腕を止める。
「逆だ」
「あ、そうでしたか?すいません。勝者、白!」
と、審判が白い旗を上げた。
うーんと、とりあえず白は私で合ってますよね?自分でも不安になっちゃうよ。
ちらりと、Fクラスのクラスメイト達がいる場所を見る。
唖然としてこちらを見てる。
え?何、そのびっくり顔。
もしかして、審判が間違えてる?白って私で合ってるよね?特に目印もなく、確か白と赤はトーナメント表の右側に書かれた側が赤とかそういうルールって聞いた気がするんだけど。
あれ?
勝ったんだよね?
「ほら、さっさと出て。次の試合が始まるからっ!」
審判にぞんざいに追い出された。あうー。
そんなわけで、第2試合、第3試合と終わり、私のグループの1回戦が終わりました。
次から2回戦。2回戦の第一試合は、シードだった1Sとの対戦です。
ここで負けてもいいかな。……1Sに負けるなら不自然じゃないよね?
てなわけで、選手は位置について。
という言葉で、一人の少年がてこてこと開始線まで歩いてきて、木刀を置いて競技場から姿を消した。
ん?
なんだろう。補給班みたいな人がついてて、選手のために木刀を用意したのかな?
ありがとうございます。
見てないにもほどがある……。おい、審判……




