最後は見せてやろうぜ
Fクラスは残り3分のカウントダウンを聞いて、マージが笑った。
「じゃ、最後ぐらい見せてやろーぜ!」
にぃっとマージの顔に、他の4人も楽しそうに笑い顔を返した。
「あいつら、何をする気だ?」
「おい、1F何を見せるって?」
ざわざわと3年4年もFクラスに視線が向く。
「まずは4つ」
マージの言葉に、補給班が4つずつレンガを重ねる。
全員がせーので4つのレンガを見事に割った。
「なんだと、全員が4つもレンガを割れるのか?」
「はは、なんだよ、F組、力自慢が5人いたとかただのラッキーじゃん」
そういえば、マージは一度にいくつ割れると言ってたっけ?
「次は5つ」
マージの言葉で、補給班が5つのレンガを重ねる。
全員がせーので木刀を振り下ろすけれど、1人が割り切ることができなかった。割り切れなかった一人は座る。
「次は6つ」
嘘だろう、6つなんて無理に決まっていると、他のクラスが信じられないものを見る目を向ける。
「7つ」
7つのレンガを割ったのは3人だ。
もう、他のクラスから言葉がなかった。
地面に置いたレンガを割ろうと思えば、3つか4つがせいぜいだ。その常識しかないで見れば、7つも一度に割るなんて非常識もいいところ。
その非常識な人間が3人もいるともなれば、言葉が出てこないのも分かる。
「8つ」
一人脱落。
「9つ」
「10」
あと15秒ですと、アナウンスが入った。
静かな生徒たちの目の色が変わる。
10なんて行けるわけない、そう思いつつも、割るんじゃないかという期待で皆が息を飲む。
マージの振り下ろした木刀は、10のレンガを一度に割った。
「11」
補給班がレンガを11積み上げている途中で、終了の合図の笛が鳴る。
「はぁーっ」
シーンと息をつめていた人たちが息を吐きだした。
「時間切れで、終わりかよっ」
「おい、小僧、11に挑戦してみろよっ!」
「そうだ、そうだ!打撃競技とは別に、レンガ割りチャレンジやっちまいなよっ」
誰かの言葉に、わーっと拍手が巻き起こる。
見たい。
だけど、マージは木刀を補給班に手渡した。
「終了の合図で終わらなきゃ失格だろ。その手には乗らない」
え?そうなの?
まさか、失格させようと誰かが扇動した?
Fクラスが勝つのが気にくわない誰か?
「よくやったぞ、1F、すげーぞおまえたち」
「レンガ10割りなんて、学園最高記録じゃないのか?」
ワーッとどこからか拍手が広がった。
うう、なんだよぉ。感動すんじゃないか。
「では、順位の発表です。1位は……F」
当然と言えば当然なんだけど、やっぱりはっきり聞くと嬉しい。
「やったぜ!」
マージたち打撃班と補給班が帰ってきた。
「すごいよ、すごい、本当にすごかった!」
駆け寄って、補給班の子の肩をポンポンと叩く。
いつの間にあんなに特訓したんだろう。マージたち打撃班は途中休みがあるけど、補給班は30分感休みなくペースを乱さずにレンガを運んだりつんだり……。
「えへ、ありがとう、ありがとう……」
ぐずっと、補給班の目に涙がこぼれる。
「ばっか、泣くなよ、まだ俺たち、剣磨きとか本番が待ってるんだぞ……」
と、慰めている子の目にも涙が。
うん、うん。うん、うん、うん。
本当によかったね。私、居残りせずに毎日帰ってたから……どれだけみんなが頑張っていたのかわからないけど、頑張ったっていうのが、練習なんて見なくてもその涙一つで分かるよ。
「リザーク、俺も頑張ったろ?」
マージがにかっと笑う。
あー、はいはい。これ、褒めて、褒めてって顔だね。
今日もありがとう。
ふふ、ふふふ。
頑張ったね。おめでとう!補給班!←




