脅したりするわけないかぁ。だって、兄のクラスだもん。
だって、Bクラスの選手からは逃げたんだよ?
逃げて、逃げて、逃げてってドッジボールだって逃げ役、逃げ切り役もあるんだもん。この戦いだって、最後に残ってる人数の多さが勝敗に関わってくるなら、逃げ切り役になったっていい。
逃げるなら……なぜ、わざわざ目立つマントをつけたSクラスの選手のところへ走っていくのか。
勝ち目がない相手のところに逃げていくのはおかしい。
ただやみくもに逃げ出してそうなったのかとも思ったけれど、2人、3人と同じような状況の選手を見てしまえば、そうじゃないことが分かる。
「Fクラスの選手はSクラスを勝たせようとしてる?」
思わずつぶやけば、フレッドが頷いた。
「そうみたいだね」
「ずるいっ」
憤る私に、フレッドがふっと笑った。
「どっちだろうね。ルールが分からない」
ルール?
「もし、事前の根回しも含めて、団体戦というのであれば、司令塔が上手くFクラスを取り込むことに成功したと褒めるべきだし」
ああなるほど。そうか。
戦争だって、どこの国とどこの国が事前につながっているとかそういうのはよくある話だ。戦国時代の日本だって、どこの領が寝返っただの覚えられるかー!ってくらいコロコロ戦況が変わったりしてたんだよね。よく知らないけど。
「もし、事前の打ち合わせなど他のクラスと共闘することが禁止されているなら……」
いかさまじゃんっ。禁止されてる方法使うとかダメじゃんっ。
フレッドの言葉にマージが怒りをにじませた。
「正々堂々と勝負できねぇ弱虫かよっ!Sクラスなんて大したことねぇな!」
本当だ。Sクラスっていったって、実力大したことないんだっ。汚い方法だけ長けてるだけじゃんっ。
って、待って、待って、
「兄上は、全員Sクラスだったんだけど……」
兄たちがそんな卑怯ものだったなんて思いたくない。
フレッドが私の肩をぽんと叩く。
「4年生になるまでの3年に卑怯な手段を使わずとも掌握する方法はあると思いますよ」
掌握する方法?
「SクラスがFクラスに自ら模擬剣を渡して勝たそうとする?は?勝負を捨てるなんて、弱みを握られてるか、脅されてるか、金に目がくらんだかのどれかじゃねぇの?」
マージがぷんすか怒っている。
「……そっか。自分たちが勝てないなら、勝たせたい人を勝たせるために働く……」
それなら分かる。
だって、4Sには兄6がいるんだもん。たぶん、クラスの中でも結構存在感があるはず。リーダー的存在のはず。生徒会長だしね。
えへへ。自慢の兄だもん。
「勝たせたい人のために?」
「例えば、僕たちAクラスの生徒には馬鹿にされたけど、まだSクラスの生徒には馬鹿にされてないじゃない?AクラスとSクラスが優勝争いしてたらどっち応援する?」
マージが、ああと手を打った。
「もしかすると、4年生は、Aクラスに何か言われているところを、Sクラスの生徒が助けたりもしたかもしれないね」
うん。兄6ならきっとそうするよ!武芸に秀でた兄じゃないけど、知識量には人一倍長けた兄だもん。
成績の良しあしだけが人の価値じゃないって知ってるんだ、兄6は。自分自身が、成績に関係ない無駄だと言われる雑草の研究したりしてるから。
でも、その雑草だと思われるものが、実は漢方に使われてる薬だったり、ハーブだとか香辛料だったり、人の生活を向上させるものの可能性もあるから無駄な研究じゃないですよねって言ったら兄6に思いっきり抱きしめられたことがあったっけ。
どんな知識が何に役に立つか分からない、人が馬鹿にするようなことが、実はとても大切なこともある。だから、自分の……一般的な世間の基準だけで人の優劣は決められないんだよって。
兄たちはみな知ってるはずだし。
いつもありがとうございます。
リザはおにいちゃまのこと信じてます。
……うん、リザが絡まなきゃいい人だと思うよ。リザがからまなきゃ……げふげふ




