いなせない
「ふふふ、その分誰にも負けない知識を持ってますけどね」
と、兄2が兄6をフォローする。
うん。兄6の知識量半端ないんです。歩く図書館。
「それで、そのお前の目から見て、強いのか?」
兄6が首を横に振った。
「兄さんたちに比べたら、全然弱いですよ」
そうかぁ。弱いのかぁ。
うんうん。
って、比較の対象が兄とか、そりゃ聖剣とか剣豪いるから、ちょっと基準おかしかろう?
「ブランカって、もしかしてディル家のブランカか?同じクラスにブランカの兄貴がいるが、妹は鍛え方が足りないとしょっちゅう言ってるな」
へー。兄5と同級生のお兄さんがいるんだ。って、兄は高等部の総合科に通っている。
「総合科でたいして剣が強くない兄が妹はさらに駄目だというのだから、それほど強くないんじゃないのか?」
ふぅん。やっぱり弱いんだ。
「まぁ待て、弱い弱いとリザが相手を侮って油断したらどうする」
兄1が口を開く。
「もし、本当に相手が弱かったとしても、いや、弱く見えたとしても油断はするな。全力で立ち向かえ。そして、もし相手が強かったとしても、やはり全力で立ち向かうんだ。諦めるな」
うん、流石兄1。その通りですね。相手の実力を入手したって結局全力で戦うことに変わりはないんです。こんな情報収集に無駄な時間をかけるよりは……。
「よし、特訓だ!まだあと5日あるだろう。優勝目指して特訓するぞ!」
練習あるのみっていうのは分かるけど、兄4が言うと、なんていうか……兄1と印象ががらりと変わるのはなぜだろう。
っていうか、優勝はしないですよ?
1回戦勝てばいいんです。それだけで1年としては普通よりちょっといい成績なので。クラスの足を引っ張らなければ大丈夫なのです。
目立ったりしないです。
昼夜問わず……家にいるときは、男んときも女んときも剣の練習に励む。あと5日。やるしかない。
兄たちは弱いと言っているが、4年生だ。女子でラッキー、Cクラスでラッキーとはいえ、3学年の差はきっと想像以上にある。油断できない。
もし、女子なのに兄4くらいのパワーの持ち主だったら……。
カッ。
「っつ……」
ずっと剣をいなして攻撃につなげる練習をしているのに、うまくできない。
あの時1度できただけで。あれからは一度だって成功しない。
頭には剣道の達人の映像が焼き付いているのに。何が違うのか。どうしてできないのか。相手が攻撃を仕掛けようとするその瞬間、方向を変えるように打ち込む。
「あ……」
いなす、いなすと考えすぎて、打ち込むという気持ちはなかったけど……。
攻撃につなげようとするならば、打ち込み?つまり、相手へ踏み込む。踏み込み方が足りなかった?
勢いも踏み込みも足りなければ、兄1や兄4に通じるわけはない。
もっと、気持ちを前に。
……はい。できません。いろいろ考えてやってみたものの……。
やっぱり駄目かも。1回戦、勝てるかなぁ……。
クラス対抗戦当日。
「うわー」
グラウンドには、東に4年、北に3年、西に2年、南に1年の席が配置されている。それぞれの協議になったら選手がグラウンドに出て戦うようだ。




