yes!
「お兄様、今度はわたくしが相手をいたしますわ」
二人が一息ついたところで声をかける。
「大丈夫かい、リザ?」
「ええ、アルフお兄様。少し休んだので大丈夫ですわ」
兄たちに笑いかけると、兄4がぱぁぁっと表情を明るくした。
「そうか。うん、じゃぁ、来い!」
木刀を構えた兄4の肩を兄1が叩く。
「いいか、リザは今は女だからな。いつものように剣を思い切りぶつけたらどうなるか分からないから気をつけろよ!」
と、くぎをさされた兄4がおうと自信なさげに返事をしている。
「いくぞ、リザ」
と、振り下ろされた剣は、スピードがいつもの10分の1。
いやいや、力の調整なんて器用なことを兄1が求めるから、動きが不自然すぎて……。
「お兄様、大丈夫ですわよ。いつも通りで」
苦笑。兄4はいつも急所は外して狙ってくる。ガツッと当たってもその瞬間剣を止めることができる。まぁ、あざくらいはできるけど、骨が折れるようなことはない。……から、たぶん大丈夫。っていうか、骨折れたらトーナメント出れませんよね?……どうなるんだろうか?
「そうか?じゃぁ、行くぞ」
兄4が構える。
パワーはあるが、兄1ほど早くはない。兄1よりも単調な動き。――よく、見える。
力がどっち向きにかけられているか。どのあたりをどのタイミングで力の流れ、相手のうち方向を変えるように剣を当てる……。
そう、相手が剣を振り下ろしてからではない、違う、攻撃しようとする力を込めたその瞬間に迎え撃つのではない、こちらから打って出る!
兄4が動く、そのタイミングで……。
「はぁっ!」
木刀を兄の木刀にカチリと当てた。
腕にしびれは走らない。兄4は、あらぬ方向に力を流され、バランスを失った。今だ!
兄の後ろに回り、剣先を兄4に向ける。
「勝負、あり!すごいぞ、リザァァァ!」
お父様が、書類をまき散らしてかけてきた。
ばっと抱き上げられる。
いやいや、ずっと見てたのかい。仕事、徹夜になっちゃいますよ?
「すごいじゃないかリザ」
「アレフお兄様、あの、運がよかったのです。お兄様がよろけたので」
やっと1回うまくできただけだ。
謎のマスク男……は、兄1のスピードと兄4のパワーを持ち合わせた人間。兄1の剣をうまくいなせなければ全く駄目だ。
「あの、お兄様明日も特訓していただけますか?」
「もちろんだとも!リザ!明日は俺が先な!先に特訓してやるからな!」
兄4が、笑っている。
「はい、ありがとうございます」
「私も明日も付き合うよ」
兄1も笑っている。
「私も、明日からもちゃんと見守るからな!」
いや、お父様は仕事してください。
……あ、執事が来た。お父様の仕事の補佐もする人です。青筋立てながら書類拾ってます。
知りません。私のせいじゃありません。
はひ。次の日から、朝のトレーニング、学校で授業で訓練、家に帰ってから稽古になろうとは……その時の私は……想像できたよっ。
というわけで、軽く、朝のトレーニングを終え、学校へ。
あ、軽くっていうのは、兄4基準です。
しかし、昨日1回うまくいったのは、何か私の眠れる力が開眼したのか、あれからは全然できません。兄4に完敗続きです。にゅぅ。




