オタクなので、繰り返し同じビデオを見続け完璧に覚えてますが、何か問題でも?
「力が……この姿では……」
体ならしすらろくにできないなんて……。
「すまなかった、リザ!そうだ。今のリザはか弱い女性だったんだ!」
悔しい。悔しい。女騎士だっているんだ。だから、呪いが解けてこの姿になったって……ここまで力が足りないなんて……。
いや、違う。
力が足りないのは、女になったからじゃない。
謎のマスク男を思い出す。
あの時も私には力が足りなかった。
男の時だって上には上がいる。力があればなんとかなるわけじゃない。
違う、そうだ。力が足りなくたって勝つ武器を身につけないと駄目なんだ。だったら、今の状態で訓練するのは、いつでも力が足りない立場で訓練できるんだからラッキーなんじゃない?
「大丈夫か、リザ?やっぱり剣の稽古は昼間にしようか?」
心配そうな兄1の顔を見上げる。
「いいえ。大丈夫です。こうして手がしびれたら少し休憩を入れていただければ……」
思い出した。
日本では柔道がある。
柔よく剛を制すと言われる柔道だ。小柄で力の弱い選手だって、大柄で力の強い選手を投げ飛ばすことができる。それは、相手が向かってくる力をうまく利用するんだ。
日本生まれの合気道もそうだ。相手の力を利用する武道と言われる。
それから……剣道。
名人ともなれば、ほんの少し相手の剣の軌道を変えて隙を作り、打ち込む。
剣道の授業で見たビデオ。70歳を超える小柄な剣道の達人が、30歳前後の段持ちの選手を次々と倒していた。
……そう、剣をいなすのだ。まともに剣を受けるのではない。剣をいなす。いなしながら相手に隙が生まれればそこをつく。
打ち合う必要なんてない。受ける必要なんてない。
相手が力いっぱい繰り出した剣を、その力を利用していなしてバランスを崩させる。そして攻撃をする。
ふぅーと、大きく息を吐きだし呼吸を整える。
木刀を手に取り、構える。
簡単なことじゃない。だけれど、私にはそれしかない。
よけるだけでは勝てない。逃げるだけでは勝てない。
やるしかない。たった1週間で何ができるか分からないけれど、マスク男のように力のある人間が1回戦の相手になっても勝つためには……。
「お願いします、お兄様」
剣道は授業でしかやったことがないけれど、楽しかった。
あの、対峙する静かな時間。
「ああ、分かった」
オタクなめんな。好きなビデオは何十回何百回エンドレスで見られるんだよっ。先生にビデオ借りて(その時代はビデオだった)友達にダビングしてもらって(ビデオ2台いる。社会人オタクが兄か姉にいる友達は当然ダビング環境完備してた)何度も見た。
あ、当然だけど、当時剣道アニメが大ブームでね。授業で剣道やることもあって、自分にもできるんじゃないかと、繰り返し見た。
当然、できるわけもなかった。でも、中学んときはなんかできるかもしれないと夢を見てた。
今は、あの繰り返し見た達人の腕のすごさが分かる。一朝一夕で真似できるものじゃないことも分かる。
だけど、中学のあの時と違う。体は動く。
4歳から毎日欠かさず7年間トレーニングを続けたこの体なら。毎日剣を握ってきたこの体なら……。
「いくよ、リザ」
兄の木刀に、イメージを繰り返した動きで対応する。
カッ。
木と木がぶつかる音。
手に響く衝撃。
ダメだ、失敗だ。まだ当て方が悪い。
いつもありがとう。
って、話には書いておいてなんですが、私は繰り返し見るのが苦手です。
漫画も小説もアニメも……ほぼ、読み返しません。……ほとんど1回読んで終わりなタイプなので雑誌で読んだ漫画は単行本では買わない人でして……そう考えると、なろうで読んだ小説は本屋で買わないって思うじゃないですか?ところが、最近、とんと記憶力が悪くなって、読んだこと忘れるようになったから、新鮮な気持ちで買っても読めるんだよなー。ふはははは
あれ?進化なの?退化なの?




