さっそくAクラスにディスられてます
チャイムが鳴って、各自片付け……じゃなく、打撃班がレンガを割りすぎたので、全員でレンガのかたづけをしてから食堂に移動する。
割れたレンガを運んだため、制服が砂だらけだ。顔に砂つけてる人間もいる。
さすがにこのまま食堂に入るのはまずかろうということで、食堂の建物の外で、砂を払い落したり手を洗ったり顔をふいたりしていると、横を別のクラスの人が通っていく。
「はーっはっは。Fクラスは、授業もせずに砂遊びでもしてたんでしょうか?」
うぬ?
Aクラスの生徒が聞こえるようにわざと大声で話しはじめた。
制服はみんな同じだけれど、学年によって、胸元につけるバッジの色が違い、クラスによって、女子はリボン男子はタイの色が違う。なので誰が何年何組かすぐに分かるようになっているのだ。
「おやおや、これは、第二王子であらせられるフレッド殿下まで……くすくす」
「郷に入っては郷に従えということでしょうか、ご立派な殿下でいらっしゃる」
「お待ちくださいませ、砂遊びなんて、さすがにフレッド殿下がなさるわけございませんわ……第七訓練場はあのような場所ですし、殿下の指揮のもと、整備でもなさっていたのではありませんこと?」
男女6名ほどのグループが、変わる変わるフレッドをディスるような言葉を発する。
何、これ?
AクラスがFクラスを馬鹿にするのはなんとなぁく、分からなくもない。
貴族が庶民をそしるのも、乙女ゲームのスパイスだから分からなくもない。
だけど、何?攻略対象の一人でもある、第二王子をあからさまに馬鹿にするとか、そんなのありなの?
いくら学内では立場は関係なくて、フレッドも不敬とか気にしないと言っているといえど……。
「彼らは、第一王子派といわれる派閥です」
ぼそりとフレッドが教えてくれた。うおおう、派閥かっ。
「あら?ちょうどその隣には土いじりの得意そうな田舎者もいらっしゃいますし、頑張って第七訓練場の土ならしをしていたのでしょう」
一人はマージをちらりと見て口をひらく。
田舎者って、マージもバカにしたぞ。マージが、握り締めたこぶしを震わせてる。
「あらあら、お兄様たちはみな優秀でいらっしゃるのに、末っ子はFクラスとか……せいぜいお兄様に恥をかかせないといいですわねぇ」
うん。順当に私も馬鹿にされました。いいんだよ。兄公認なんだもん。
と、平気な顔してたら、マージががっと飛び出そうとして、それをフレッドがとめた。
「彼らの矜持はAクラスであるということだけですよ。怒ることはありません。彼らの後ろを見てください」
言われてみれば、その後ろに立ち尽くすAクラスの別の子たちは、どうしていいか分からずオロオロしている。
「私たちは少なくとも、クラス一体となって対抗戦に望むことができる」
王子がにこっと笑うと、クラスの皆が気を静めた。
「そうだ、すぐに第一訓練場は俺たちのものにしてやるっ!」
マージが自信満々に胸を反らせた。
いや、その自信はどこから。そもそも、どう考えても、すぐには無理だよ、スタート地点の点差が……。
平成最後の日です。
あー、平成、終わっちゃうのかぁ……。




