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144/156

兄6

 フレッドのパートナーがばてて休憩に入ったようだ。

「相手しようか?」

 もうな、クラスのためなら女子パートを踊ることに全く抵抗が無くなったので、フレッドに手を伸ばした。

「うぐ、リザーク、今日は、やめとく。明日からまた頼む……」

 へ?

 今日はやめとく?

 フレッドの様子がおかしい。なんだよ、もうっ。まだ怒ってんのか?

「んじゃ、俺の相手頼む。リザーク、俺の特訓の成果見せてやるぜ!足運びの優雅さ100パーセントだぜ!」

 ああ、イーヤミー先生に指導されたたあれね。もうものにしたのかな?

 そうそう、曲を奏でている人、かつらやメイク道具を前に、代表選手の合う色やメイクを相談する人、それからイーヤミー先生の授業で習ったステップを復習している人、必死にステップ名を暗記している人。

 みんなそれぞれが、自分にできることを一生懸命してる。

 下手くそだとか、お前なんてやったって無駄だとか、そんな簡単なこともできないのかとか、そんなことを言う人は全くいない。

 ある意味、すごいクラスだよなぁ。よく、こんないいこたちばかり集まったもんだ。いや、違うか。子供は……いつだって変わるチャンスがあるんだ。きっと「やったってダメだ」とか思っていた子もいる。だけど、剣術大会や数学テストの成功体験が皆を成長させたんだ。うん、そうに違いない。

「って!マージ、ステップを優雅にしたからって、この腕の引き!強引すぎるぞ!女性は、剣とは違うんだっ!もっと優しく扱え!」

 よそ見してたら、うっかりマージに振り回された。

 あかん。サーシャとなら、よそ見してたって平気なのに。

「すまん、いや、ついリザーク相手だと……」

「……まさか、剣の稽古みたいな気持ちになってたりしないよな?ったく、もう練習相手してやんないぞ!」

「それは困る、あ、そうだ、かつら、かつらかぶってくれよ!そうしたら、ちょっとはリザーク相手にしてるって思わなくなるかも……な?」

 何が、なっなんだよっ!

 うわ、フレッドのいる方角から、冷気が。ちょ、私は悪くない!マージに怒ってくれ。マージにっ!

「あ、そろそろ帰る時間だ、いつも先にごめん。じゃっ!」

 逃げよう。うん、そうしよう。さらばじゃ!

 あ、でもちゃんと家で練習するからね!

 男パートの練習をするから……いや、しようと思ってるんだけど、指導役するならもっと女パートに磨きをかけたほうがいいかなと思って、今はままぁんに指導を受け続けています。張り切る私に、兄たちもめっちゃ張り切っておりまして……。

「リザベーナと踊るのは僕だ!」

「リザベーナ、次は私と踊ろう」

「リザベーナは僕と踊るんだ!」

「次は俺の番だよな、リザベーナ!」

 えーいっ!家庭内ダンス大会かっ!入れ代わり立ち代わり。

「私、お兄様と踊りたいですわ」

 と、兄7に手を差し伸べる。

 ガーンとうなだれる兄4。

「え?僕でいいの?僕だとリザベーナにリードしてもらわないといけないのに……練習にならないでしょう?」

 ああ、だからお兄様は遠慮してたんだ。いつもは次は僕とと順番に手を伸ばすのに。優しいなぁ兄7。

「ベスランお兄様はのクラスも、ダンス大会に向けて練習に力を入れているのでしょう?」

 兄7が頷いた。

◆146

「うん。僕も、一応代表選手になったので……」

「一応って、クラスで一番うまいんだろ?そんな謙遜の言葉を使うとクラスメートに悪いぞ」

 と、兄4が容赦ない突っ込みを入れる。兄4脳筋だから、気を使った物言いがない。

「ベスラン、自信を持てばいいんですよ。私たちはベスランより年上ですから、練習してきた年月が違うのですよ。私たちのように踊れないからと言って下手ではないんですよ」

 兄1の言葉に、兄7が私をちらりと見た。

 うん、年下の妹よりも下手だと……いうのが、自信喪失の元なのかな……ごめん。でも、私……。

「ベスランお兄様!私は女の子一人なので、お母さまのレッスンを独り占めしてしまっていますわ。お母さまの指導を独り占めしているのですから、当然、上手くなれるはずですもの。ベスランお兄様は、クラスメイトの誰よりも上手ですわ!」

 ……サーシャよりは劣っているけど。サーシャは男子じゃないから、カウントしなくてもいいよね……。

「クラスメイト……」

 おっと、クラスメイトも兄7の年下だ。あ、よく考えるとフレッド王子の方が上手いかなぁ。どっこいどっこいかなぁ。微妙だな。うーん。それは言わないでおこう。

「それに、確かにお兄様は皆ダンスが上手ですけれど、私をリードすることにばかり気を使って、まったくダンスを楽しんでいらっしゃらなかったり、私の様子を全く気にせず自分が踊りたいように踊ってしまったり、好きな曲では人一倍華麗に踊るのに嫌いな曲だとステップすら怪しかったりしますし……。ベスランお兄様は、その点、どの曲も同じように踊れますし、リードしすぎないし、かといって必要なところではリードしてくださいますしとても踊りやすいですわ」

 という私の言葉に、兄の何人かが撃沈した。

 うなだれている。

 兄4だけは、お前らまだまだだなと、他の兄たちを上から目線で見てますが、お前のことだよっ!兄4踊りたいように踊るってのは、兄4のことだよ!気が付け!

 ……。

「ありがとう、リザベーナ」

 にこっと笑う兄7の笑顔、かわゆすっ。いや、もう、攻略対象ってえぐいほど魅力的なんだよ。困るってばっ!……あれ?

 そういえば、攻略対象って、兄7人と王子2人……年下キャラいなかったよね?普通、一人くらい年下キャラがいるもんじゃない?おや?まて、私!考えるな!考えるとフラグになるっ!

「ベスランお兄様、それで、えーっと、Fクラスでのダンスの授業の様子を教えていただきたいのですわ。大会用に練習をしているのではありませんか?」

 兄7が頷く。

「うん。リザベーナのクラスも大会に向けて練習しているんじゃないの?」

 いいえ。まだ、出場選手すらイーヤミー先生は決めてません……まぁ、勝手に決めてるけど。

「ダンス経験者が少なくて、その……基礎練習から初めているところなんです」

「ああ、そうか。Fクラスだとそもそものダンス経験者の人数が少ないのか……。でも、まるっきりいないわけじゃないんだろ?リザベーナ以外にも踊れる人間いるだろ?」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 話の流れ的にタイトルは兄7ではないでしょうか? 後途中の◆146も何かのミスではないでしょうか? [一言] 面白くてここまで一気に呼んでしまいました。 引き続き更新頑張って下さい。
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