選手選抜
なぁ?おかしいだろ?
ダンスって、男同士で踊ったり、女同士で踊ったり、それを見て王子が大爆笑したり、そういうイベントじゃないよね?
……まぁ、いいか。
なんだかんだと楽しそうだし。
……ん?いいのか?
ダンス大会が待ってるんだよね?楽しけりゃいってもんじゃないよね?
「皆さんの実力は分かりました。まずは代表選手を発表します」
よかった。ソフィア先生はちゃんとしてた。
「まず、初めに。見た感想から。ダンスの実力、そして知識ともに、一番あるのはリザーク君とサーシャさんのようです」
ほへ?
「ただし、選手にするにはいささか問題が……」
いや、まて。フレッドがまた笑いをこらえている。
先生、あのね、いささかの問題じゃないの。っていうか、選手にしないならわざわざ名前上げなくていいからっ!
「というわけで、残念ながら今回のダンスの代表からは外れていただきます」
そりゃそうだろうよ。
「代表は、フレッド君に、マージ君、それから……」
と、男女とも実力順に名前を呼ぶ。
「組み合わせに関しては、並んだ時のバランスも大切ですが、ダンスのスタイルや実力も考え、上級者同士で組み合わせようと思いますから」
と、組み合わせも発表した。
「センスを競う、衣装担当の10名は……」
と、先生が次の組みを発表する。
それから、美しい歌声を披露した女生徒と、音楽に関して盛り上がっていた生徒たちは筆記テスト班。
「サーシャさんとリザーク君も、知識は豊富ですので、筆記テスト担当でお願いしますね。他の人がわからないことを教えてあげてください」
そうだね。それが妥当だよね。
「はい、わかりましたわ」
サーシャが快諾すると、ソフィア先生が続けた。
「それから……ダンスの指導もお願いしてもいいかしら?」
にこっと先生が笑う。
……まぁ、そうだよね。
Fクラスにダンスの教師が授業に来るの待ってたら、どんどん遅れそうだもんね……。
「ボクが女性パートの指導、サーシャが男性パートの指導ということですよね?」
まぁ、一応確認する。
ソフィア先生は無言で行程を示した。
そうだよね。いいんだ。男らしく、素直にみんなの役にたつことにするよ。
「では、早速、練習しましょう。まずは、筆記テスト班のために、同じ曲を耳になじませましょう。何の曲がいいかしら?」
一番ポピュラーな曲から練習はスタート。
「見本をお願いできる?」
はいはい。踊りましょう。
お手をどうぞ、お嬢様……と、サーシャが完璧な所作で私に手を差し伸べてきた。
……はい。わかってます。私は女優。今は女。女なのに男になって女の役をする。謎の人物。謎でもなんでもないけどなっ。
踊りながら、説明する。筆記テスト班に教えないといけない。
「これが、ナチュラルターン。基本は6歩。ただし、前半3歩で別のステップに移ることもある」
と、私とサーシャで何度かナチュラルターンを繰り返す。