どっしーーーーんっ
「殿下だろうが関係ない。ただの生徒同士の喧嘩を、犯罪として罪に問うようなことはありませんよ」
がさがさと衣擦れの音が聞こえる。
制服に着替えだしているのだろうか。
「本当だろうな?」
「ええ、もちろんですよ。よく考えてください。そうじゃなければ、襲撃を依頼した私のことがばれれば、私も罪に問われてしまうでしょう?さすがにそこまでのリスクを冒してまで恨みを晴らそうとは思いませんよ」
恨み?
「そりゃそうか。先生の地位も失って、犯罪者になったら人生おしまいだもんな」
男の声に、ドンっと机を蹴る音が聞こえる。
「そうです。あの糞王子のせいで、私はこの学校の数学教師の職を失いました」
あ?
数学教師?そうだ。この声。セルシーオ先生の声だ。いや、もう先生じゃないのか。
フレッドのせいじゃないだろう。能力テストで能力がないと判断して首になったなら、それ、自分のせいじゃん。逆恨みもいいとこだ。
「はは。それで、学校にいられる間に復習しようって、で、金はちゃんと払ってくれるんだろうな?」
金で雇った?
「ほら」
チャラリと金の音がする。
「金貨10枚?計算が合わないじゃないか?一人金貨4枚の約束だろう?5人で20枚のはずだ!」
うわー。ずいぶん大金だよ。そんな大金払ってまでフレッドに復讐するとか……。
「それは前金だ。後で残りは払う。着替えたか?じゃぁ、木刀を持っていけ。いいな。頭は狙うな。手足を痛めつけてやれ」
木刀?
ちょっとまって、5人で20枚って、5人いるってこと?
「ああ、任せておけ。中学のガキなど俺らの相手じゃないさ」
「だなぁ。1発で足の骨折れちまうかもしれない。……ちょっとやりすぎか?」
「骨の1本2本おれようと生きてりゃ問題ない。喧嘩に巻き込まれた方が悪いんだ。この学校ではそういうことになっている。王子はいつも秘密の通路を通って通っているはずだ。第7訓練場の方にいれば来るだろう。頼んだぞ」
骨を、折る?
秘密の通路を通って……そういえば、フレッドは校内には関係者しかいないから護衛は必要ないと一人で……。
まさか、教師が手引きして不審者を招き入れるなんて……。
命は取らないっていったって……。
助けないと!
男たちが教室から出ていくのを待ち、立ち上がる。
教室に行って知らせれば……。ああ、だめだ。さらりと落ちる長い髪。
この姿では……。
ポケットから紐を1本取り出し、髪の毛を後ろで一つに束ねる。
下駄箱で待っていれば、会えるだろうか。
昇降口に向かい、フレッドの靴箱を見る。
「ないっ」
もう、フレッドは帰ったんだ。
どっちだと言っていた。
そう、第七訓練場……!
カバンを投げ捨て、訓練場に向けて走り出す。
ああ、もうっ!
女の体はなんでこんなに脚力がないんだっ!
悔しくて歯噛みすると、どしんと人にぶつかった。ああ、下なんて向いたから。私の馬鹿ッ。
後ろに倒れそうになる体を、ぶつかった人の腕が救ってくれた。
「大丈夫?」
「ご、ごめんなさい、急いでいて……」
いつぞやの、男の子だ。
マルヴェルのお兄さんみたいな感じの。
いつもありがとうございます。
マル兄登場。
ところで、カップラーメンの味噌味に、電子レンジでチンしたモヤシ入れて食べると美味しい上に野菜を食べればカロリーゼロ




