誰だ、誰だ、誰だ?
どこ、いるんだろう。
と、廊下を歩いていると、大荷物を抱えたソフィア先生と一緒に、大荷物を抱えているサーシャを見つけた。
ああ、そういえばソフィア先生いないと思ったら、あの大荷物なんだ?
「手伝います」
「うん、ありがとう。まだ食堂に荷物あるから、それ運んでくれる?」
「食堂ですか?」
「ええ。数学テストは学年トップでした。そのお祝いを授業後にしたいと思って。飲み物と軽食を買ったので」
うわー。なんか、こののり!日本でもあった。体育祭のあととかで、先生が自腹でジュースをみんなにおごってくれたり、部活の試合のあとに先生が自腹でラーメンおごってくれたりとか、そいう系だ。
ソフィア先生熱い先生だなぁ。大好き。
「じゃぁ、取りに行ってきます」
授業修了の鐘がなったら、宴会だぁ!ちがった。打ち上げ。打ち上げ。ソフィア先生ってば、奮発したんだね……。
飲み物も食べ物もてんこ盛りだよ。
へへ。みんな頑張ったし、こういうご褒美いいよね。
もぐもぐ。おいしいなぁ。食堂の普段のメニューにはない、ケーキ。
「マージ、食べ方汚い。食べ方もマナーの一つでチェックされるぞ!」
「いいだろう、こういう時くらいん。なぁリザーク」
「良くありませんわ。マナーのテストまでに改善できるとは思いませんもの。普段の食事からきちんとしませんと」
3馬鹿トリオがじゃれてる。サーシャの様子もいつも通りに戻ったようだ。良かったよかった。
「あ、ご、ごめんなさい、私、暗くなる前に帰らないと」
窓の外を見て、サーシャが立ち上がった。
うおうっ!本当だ。楽しくてうっかり忘れてた。私も、帰らないと!
やばい、まずい。
「ボクも、兄の訓練が待っていました。先生、今日はありがとうございました。マージはフレッドにちゃんと指導してもらえよ」
と、くぎを刺して置く。
これなら、フレッドも教室でマージの相手をしてもし、まんがいち、女の姿になっちゃっても偶然会うハプニングは起きないだろう。って、やばい、マジ時間がない。
「じゃぁ、また明日!」
とあいさつして教室を飛び出す。
ちょ、まずい、なんか、足の裏がムズムズする。
廊下を走り、人気のない教室に飛び込んでしゃがみこむ。
男から女の姿に変わるところを見られるわけにはいかない。このペースなら、どっか廊下の途中とかで変身しちゃいそうだ。
教室で隠れて女になってから移動したほうが無難そう。
とりあえず、クラスと学年が分かるバッチとタイをはずす。
「来たか、たのんだぞ」
ふえっ。
人の話し声。や、やばい。
四つん這いで机の間を奥に進み、見つからないように隠れる。
人の声はしたけれど、教室に電気がともされることはなかった。
これなら、外はすでにかなり暗く、教室の中は影になっているところなんてろくに見えないはず。ああ、早く女に代われ。
「おい、聞いてないぞ、襲撃相手が王子だなんて」
「そうだ。さすがに、王子を襲うなんてまずいんじゃないのか?」
え?
王子を襲う?
何の話?
「大丈夫ですよ、制服さえ着てれば。さっさとそれに着替えてください」
「はぁ?この年で制服?さすがに無理があるだろう」
「もう日は落ちてますから、顔なんて見えませんよ。とにかく制服を着てればこの学校の生徒にしか見えません」
制服を着ろ?
学生じゃない人間に制服を着せて何する気だ?
「この学校は、徹底して身分による特別扱いを排除していますからね」
この声、どこかで聞いたことがある……誰だっけ。
いつもありがとうございます。
なんだか怪しい計画を耳にしたよ?




