9. 千差万別、患者さま ②
今回も患者さまのお話です。
大学病院的な感じの小話。
#1 全然外科じゃないけど、教授さまのコネで入院して来る認知症のお爺様
今みたいにショートステイとかディケアとか無かった頃、多分自宅で介護していたんだと思います。そこら辺ははっきりおぼえていないのですが、コレだけはインプットされてました。
『教授がらみの患者さま』
家の人が介護に疲れると1週間位入院していましたね。本当に外科疾患とかはなくて、するのは日常生活の介助のみ。昼夜逆転していて、日中はグーグー寝てしまい、夜になると目がランランでかなり攻撃的になってました。2人部屋にはいましたが、流石に同じ部屋の人が寝られないので、消灯と共にナースステーションにベットごといらしてました。
準夜か深夜か忘れましたが、もの凄く叫びまくりの暴れまくりで、車イスで散歩に出る事に。立ち上がったり、暴れられると大変な事になるので、体幹と両手を抑制させてもらって出発しました。行き先は屋上です。到着して話しかけても会話のキャッチボールは出来ていなかったと思います。抑制されていたので、その辺りをさすっていたら、カブっと噛まれそうになりました。何とかかわしましたが、もうビックリね。
オモイッキリですよ。ガブって擬音が聴こえそうな。
マジっすか!って感じですよ。
取り敢えずその患者さまの前に立たず、触らずで頑張りました。
いゃ〜噛まれないで良かった(汗)
季節の変わり目頃に良くいらしてました。教授の口利きなので予定入院で必ずナースステーションに1番近い2人部屋をキープです。
#2 教授さまの患者さまのムンテラは教授室で行われます。看護師厳禁?
担当医師に教授の名前が入っている患者さまは病状説明とか、手術の話とかをする際は必ず別棟にある教授のお部屋でしてました。時間になると担当の研修医がカルテとレントゲンと患者さま、ご家族を連れて教授室にご案内〜なのです。教授が担当に入っていないと病棟にあるカンファレンス室を使い、看護師も同席していましたよ。看護師は誰も教授室には入った事ありません。
この密室で何が行われているのか、一度研修医に聞いた事がありました。
『察しろ』とのことです。
テレビみたいに厚い封筒もらってる?とか。教授に執刀してもらいたければ‥‥‥とかオペ後に必ず‥‥‥とか噂はありましたよ。
真相は医師達しか知らないのです。
本当の所はどうなんでしょう?
#3 都心にある病院には芸能人がやってくるのか。
はっきり言えば、一般病棟に来る事はまずないですね。入院しても個室病棟に入ります。個室病棟の友達に聞いた事がありますが、我が儘であったり、勝手気ままだったりしたみたいです。
たまたま入院したのを知ったのは、誰もが知っているお笑いの大御所様。軽くアポって入院して来たけれど、回復しちゃったら朝から晩まで外出して消灯過ぎても帰ってこない。困っていたらひょっこりお土産持って帰って来たそうな。余りにも沢山のお土産だったのでうちの病棟にもおこぼれが来ました。隣の病棟だったので。
後はエレベーターに乗り込んだら、当時売れていたお笑いの人が奥様の車イスを押していたとか。
まぁ、そんなものです。
アナムネを取ったけど全く気がつかなかった人もいました。内科のベットがなくてやって来た急性胃腸炎の緊急入院の若い女の人。具合が悪過ぎてボロボロだったのは覚えてます。で、一緒に来た付き添いの男の人に話を聞いたのですが、ご職業は「ミュージシャン」。
ご関係は?と尋ねたら一緒に住んでますと。ふぅ〜ん大変だね!としか思ってなかったかな。そう言うの興味無かったし、記憶にも無かったので全てスルーでした。次の日に行ったらもう退院していて、同期の子に今売り出し中のバンドのボーカルじゃん!気がつかなかったの?と。
その人のバンドのCD持ってましたけど、全然気がつかなかったですよ。名前は本名だったし。なにせ、痛みでボロボロだったし(笑)
後は、研修医が他の病院で当直バイトしてたら白鳥麗子がやって来たって話を聞いた事があるです。風邪だった様ですが、結構夜にコソッと薬貰いに来る人多いらしいです。
有名な大学病院では無かったのでこんな感じですね。そんなに来ないって事で(笑)
大学病院的な話だと教授の存在とか入院患者さまの質が高いとかでしょうか。
教授回診もありました。医師総出ですよ。
白い巨塔とか大門先生みたいな感じではなかったですが。その話は次の機会に。
・アポる→略語です。脳梗塞の事です。軽くアポるとは、軽い脳梗塞の事を言ってたと思います。大御所さまの状態から見るにTIA(一過性脳虚血発作)に近かった感じですかね。