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3. サクラサク?

その頃の私は自分の事に精一杯だったと言うか、他の人、他のチームの事には余り興味がない、深く関わらない感じでした。

凄く大変な患者さまもいたと思う。特に2人部屋にいる患者さまはかなり重篤な人もいて、呼吸器が乗っていたり、亡くなったりした人も居た様な気がする。そんな患者さまを担当していた同期もいた訳です。が、全くノータッチでしたね。

後は、厳しい先輩は何処にもいるのですよ。トイレで泣いている同期もおりました。


毎朝のカンファレンスは時間は苦行の時間。

看護学校の病院実習の延長な感じでした。

始業時間の30分前には病棟に入り、担当患者さまの情報収集から始まります。準深夜勤の様子や本日の検査やら看護計画による処置の確認、医師のオーダーの確認などなど。前日帰る前にザッとチェックして、患者さまの既往、病態、検査があれば全処置、どの様な検査であるのか、検査後の観察点、与薬投与される薬の効能、副作用なんかを家で調べてくるんですよ。

そして、8時申し送りの始まりです。

深夜帯の入退院の有無から抗精神薬の残量のダブルチェック、担送、護送の人数、患者さまの人数と空き病床数。コレが全体のもので、そこから各チームに別れます。

問題なければ問題なし、有れば何があったのか、どう言う処置をしたのか、そしてどうなったのかなど口頭で伝えられます。何故口頭なのか?深夜帯の朝6時以降はメチャメチャ忙しいのです。記録自体、申し送りが終わるまで出来ない事が多かったですね。今は電子カルテが導入されている所もあるので、ベッドサイドで記入出来るのかもしれませんが、当時は紙媒体ですから。後に記録時間の短縮化のため温度板だけ検温に持っていって、その場で記載出来る様になりました。確か。

その後から日勤チームのカンファレンス。新人による行動計画の発表なのです。

例えば「◯号室の◯◯さん、今日はCFがあるので、お通じの確認と検査後の症状の確認、◯号室の△さんは昨日から熱発しているので、全身状態、創部の観察、注意して行きます。」と発表すると、CFってどんな検査?どう言う症状に注意するの?ふーん、後はないの?などなど質問が返ってきます。緊張の中、それはー、こんな所です、後はー、と返して行き、返答が出来ないでいると「調べて」で、次の人に回って行くのです。これで取り敢えず試練クリアなのです。

そしてまだまだ信用ならない私達は、午前と午後で必ずチームリーダーにご報告。バイタルはどうだ、検査は終わってるのか、午後の検査で延食になっいるのか、血糖測定はどうだったのか、与薬投与はしたのかなどなど。もちろん看護記録もチェックが入ります。ここが抜けてる、コレの記録がされてない、もっと看護用語使って書いて、サイン忘れてる。‥‥‥注意された所を全て直して、自分のサインと先輩のサインがダブルでされたらOKなのです。

それ先輩達が良しとするまで繰り返されました。流石に看護師免許取得後はダブルサインではなくなりましたが。

新人の中でも当たり外れ、多分あったはずです。重篤な症状ではない患者さま、穏やか先輩。なので私は当たりを引いた方だったのだと思うのですよ。泣きそうになった記憶もないので。比較的穏やかな4月を過ごしていました。


そして向かえる合格発表の日。もちろんその日も皆でで勤務、です。

結果は病院に通知されるでもなく、本人宛にも届きません。今みたいにネットもなかったので、卒業生の結果がまとめて通知される学校に直接問い合わせる、というレトロなものでした。しかも、病棟に設置されている公衆電話でね。学校の事務に名前を言って合否を聞くんです。恐怖の瞬間だったかな。「おめでとう。受かってますよ。」親にはこれで全てのラッキーを使い果たしたといわれました。

「良かったね!」同期と喜びあいです。


見込みから看護師へ昇格の瞬間です!



しかし、落ちる人ももちろんいる訳です。

自分の苗字を名乗ったら、少し間が空いて、下の名前を訪ねられた友達がいました。フルネームで答えたら「あ、貴方は合格ね。おめでとう」と言われたそうですよ。同じ苗字の子がいたので、もう1人の◯◯さんは落ちたってことだよねーと遠い目になってました。

そして、同期にもいました。落ちてしまった人。同じ部屋を半分受け持っている子でした。泣きながら看護師長と話していたのを覚えています。


試験に落ちて、看護師になれなかったらどうなるか?


他の病院ではわかりませんが、就職した病院では来年の再チャレンジまで看護助手としてそのまま働けました。看護師の制服着てそのままです。処置とかはできませんが、助手さんがするお仕事をしてました。配膳、物品の補充、患者さまの検査出し、洗い物などなど。同期で新しい事をする時は一緒にならったり、珍しい処置とかあれば声をかけて一緒に見学たりもしてました。来年の春には看護師として動ける様に。

でも、結構キツイと思いませんか?看護師の様で看護師じゃない。かなり葛藤もあったと思いますが、グチも言わず、色々な場面で手を貸してもらってました。



もちろんその子は翌年の春、看護師になりましたよ!

凄く真面目の頑張り屋さんでしたから。









・CF→colon fiberscope大腸ブァイバーの事。2ℓの下剤を2時間位で飲み干し、透明で水様なお通じにならないと検査ができないのです。下剤は味見した事ありますが、塩味。美味しくないです。

・新聞の地方版なのか、看護師の合格をズラーっと掲 載してましたが、今もあるんですかね。個人情報保護とかあるし。


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