1.就職
4月1日。
新社会人には大きな一歩を踏み出す日。
良くニュースにもなっているアレだ。
揃いの様なリクルートスーツでズラーッと並んで座る、春の祭典。
「入社式」
自分の時はどうだっただろうか。
昔の事で一体何を着て行ったのか覚えてない。
……そう言えば、式自体は皆、制服着てた。事前に寮の鍵、ロッカーの鍵、選んであった制服をもらいに行ったわ。
そうそう呼び方も「入社式」ではなく「入職式」だった気がする。その会場は別館にある会議室みたいな所で、見渡す限りの「白」一色。ほぼ女しか居ない、私の就職先は小さいながらも「大学病院」。一緒に就職を決めた友人が2人いた。まだ、国家試験の結果は出ていなくて、「看護師見込み」のまま3年以上は働く事になる職場への初出勤の日でもあった。
バブルの泡が弾け飛んだ後、若干の残り泡をカスった時代に就職となった世代。専門学校に入った時の説明では100%都立に就職できますと謳っていたと思う。それが卒業時には800人試験に挑み200人弱しか突破できなかった惨状だ。各言う私も落第組で、再度の就職活動を余儀なくされた。奨学金は貰っていなかったので、都以外でも選択肢はあったのだけれど都会に慣れてしまった身としては地方に行くのはチト辛い。で、友人に誘われ首都圏内にある大学病院に面接に行く事になりました。友人曰く、3年分の奨学金がまとめてもらえる上、3年働けばチャラ。即ち、返済しなくOKなのです。看護部長と面接?というかお話ししてその場で就職決定!後は、健康診断に制服のデザインとサイズを決めて、ハイ終了です。こんなに簡単で良いのですか〜って位、呆気なく就職活動が終わりました。
そして4月。
何人取ったのですか。
会議室は人の海ですよ。
正解は120人でした。
病床数400の病院で120人の新人看護師。
ケッタイな数なのではないでしょうかね?
配属先には何と16人もの看護師見込みが勢ぞろいです。当時は何も思いませんでしたが、今考えるとナント恐ろし。患者さまもそうですが、指導に当たる先輩方の苦労が目にしみます。
これから試験の結果が出るまでは日勤のみ。何せ見込みですから、大した事はできないのです。先輩の指導の元、看護業務を覚えていくのです。
ナノで暫くはナースステーションには新人16人+先輩10人、看護師長の計27人が犇めき合うのです。
ナースステーションは満員御礼てか、定員オーバーではないでしょうか?