種明かし3
―本当、何もなかったみたい。
筋肉痛で痛む足をプラプラとさせながら、あかりは斉藤が出席を取るのを眺めていた。
「―高野原ー。なんだ、高野原もいないのか??」
それは、隣の二階堂がいないことも指していた。ふと、優実と視線が合った。優実はにししと笑って見せた。
―あの二人、何か進展あったのかな。
きっと、そんなことを言っているのだろう。あかりはふわりと笑った。
―そりゃあ、あったわ。進展。
よく分からないけど、千穂はお姫様で、二階堂は騎士様らしいわよ?なんて言ったら、優実は大はしゃぎだろう。
関わってしまったから、自分は彼らに協力しなければならない。優実には言わないでおこうとあかりは思った。何も知らない普通の友人だって千穂には必要だろう。ひとまず自分は今まで通りアンテナを張っておこう。
―それで十分でしょう?
―私は一般人なんだから
教室はいつも通り、廊下に流れる雰囲気もいつも通り。
「誰が、どうやって片づけたのかしら」
あかりは、自分の毛先をいじりながらつぶやいた。当然のごとく、死体が発見されたなどという噂は流れていない。
―誰が情報操作をしているのだろか。それがあかりの疑問だった。
「本川ー」
「はーい」
斉藤に呼ばれて、あかりは返事をした。そしてため息をつく。
「二人とも、疲れたでしょうね」
―特に二階堂。
あれだけ全力疾走したのだ。剣も振り回していたし、相当な疲労をため込んだことだろう。千穂も、狙われていたようだったから、精神的にも疲れているだろう。
でも、それでも。
今日も今日とて、いつも通りの日常だった。




